糖尿病の治療中でも、ピルを飲むことはできるのでしょうか?今回は、糖尿病とピルの関係性や、ピルを飲める場合/飲めない場合の違いについて解説していきます。ぜひこの記事を参考にして、糖尿病とピルに関する理解を深めていきましょう。
もくじ
ピルとは?
ピルは、卵胞ホルモンの「エストロゲン」と黄体ホルモンの「プロゲステロン」という2種類の女性ホルモンが配合された錠剤のことで、世界中で1億人以上の女性が服用しているとされています。主に経口避妊薬としての役割が大きく、毎日正しく服用を行えば99.7%以上の確率で避妊が可能です。また、ピルには避妊効果だけでなく、副効用として生理痛の軽減や生理不順の改善などもあります。
糖尿病とは?
糖尿病は、血糖値をコントロールするインスリンという物質が十分に作用しないことで、血糖値が通常より高くなっている状態を指します。早期発見が重要ですが、初期症状はほとんど見られません。のどが乾きやすくなる・尿の量が増える・だるさを感じる・きちんと食べているのに体重が落ちるなどの自覚症状が見られた時には、すでに血糖値が高まっている可能性があるため、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。
糖尿病と避妊
糖尿病の女性が妊娠すると、産まれてくる赤ちゃんが巨大児や未熟児になる可能性があるほか、出産した女性自身も網膜症や腎症にかかるリスクが高まるため、血糖コントロールができるようになるまではきちんと避妊を行うことが重要です。
適切な避妊方法は?
避妊にはいくつかの方法があり、手軽なものとしてはコンドームが挙げられます。それ以外だと、低用量ピルも有名です。低用量ピルは正しく服用を継続していれば99.7%の避妊効果があります。ただし、低用量ピルには性病予防効果はないため、コンドームと併用することが大切です。
糖尿病でも低用量ピルを飲める?
結論からいうと、糖尿病の方でも医師の判断により低用量ピルを飲むことができます。
現在使用されている低用量ピルはエストロゲンの含有量が少ないため、糖尿病の方が服用しても問題がないとされています。ただ、服用中の薬との相性なども考慮する必要があるため、ピルの服用を希望する際は必ず医師に相談するようにしましょう。
日本産科婦人科学会によると、糖尿病でピルを飲める場合・飲めない場合の違いは以下のようになっています。簡単なセルフチェックをする際にぜひ参考にしてみてください。
糖尿病で低用量ピルを服用できる場合
・血管病変がない
・収縮期血圧140〜159mmHg以上、拡張期血圧90〜99mmHg以上の値を持続的に示している(慎重投与となります)
糖尿病で低用量ピルを服用できない場合
・血管病変はないが、40歳以上である
・初期の糖尿病性腎症、網膜症、神経障害や血管病変を伴う糖尿病である
・収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧100mmHg以上の値を持続的に示している
参考:日本産科婦人科学会(2015) 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)
糖尿病で低用量ピルを飲むリスク
糖尿病の方が低用量ピルを飲む上で気をつけなければいけないのは、血栓症の発症リスクが上がるということです。ピルに含まれるエストロゲンという卵胞ホルモンには血液凝固作用があるため、ピルを飲んでいる人はそうでない人に比べて血栓ができやすくなります。また、糖尿病の方は高血圧や肥満である場合が多いため、血栓ができる確率がさらに上がる可能性があります。
低用量ピル以外のピルも飲める?
低用量ピル以外に超低用量ピル、中用量ピル、アフターピルがありますが、中でも中用量ピルの服用には慎重になった方が良いと言えます。このピルは低用量ピルに比べて含まれるエストロゲンの量が多く、血栓症リスクが上昇してしまうためです。
ピルの服用ができるかどうかは、血圧や服用している薬など様々な要因によって変わるため、必ず医師の指示を仰ぎましょう。
まとめ
今回の記事では、糖尿病でもピルを飲めるのかどうかについて解説しました。糖尿病の治療中は、血糖コントロールができるようになるまで避妊を行うことが大切です。また、生理不順などの悩みを抱えることもありますが、これらの悩みは低用量ピルで解決できる可能性があります。血栓症リスクなども考慮した上で、ピルの服用を希望する場合は必ず医師に相談するようにしましょう。
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