生理は女性にとって健康状態のバロメーターでもあります。
生理の基礎知識や、生理中でも快適に過ごすためのセルフケアをご紹介。
排卵出血の量・色・期間はどのくらい?生理や着床出血との見分け方
「生理は終わったはずなのに、また出血している…」と戸惑ったことはありませんか?生理周期のちょうど中間あたりに起こる出血は、「排卵出血(排卵期出血)」である可能性があります。
この記事では、排卵出血の量・色・期間の特徴から、生理や着床出血との見分け方、受診が必要なケースまで詳しく解説します。出血があって心配なときの判断材料にしてみてください。
排卵出血とは
排卵出血(排卵期出血)は、次の生理が始まる約2週間前の「排卵期」に起こる、一時的な出血のことです。生理以外のタイミングで出血があると驚いてしまいますが、ホルモン変動によって自然に起こる現象で、病気ではありません。
1か月の女性ホルモンの動きを分けると、下記の4つの期間に分類できます。
- ・生理中
- ・卵胞期
- ・排卵期
- ・黄体期
排卵期の期間に、エストロゲンの分泌量が大きく変化します。この影響で子宮内膜の一部が剥がれ落ちて、出血が起こることがあります。

また、排卵期出血は必ずすべての人に起こる症状ではありません。出血量が少なく、1~3日で終わる場合は心配し過ぎる必要はありません。しかし、出血量が多い場合や1週間以上続く、痛みが強いなどの症状がある場合は医療機関を受診しましょう。
排卵出血が起こる仕組みとタイミング
排卵出血が起こる詳しい仕組みは、まだはっきりと解明されていません。現在は、主に次の2つが原因として考えられています。
iホルモンバランスの一時的な変化
排卵前後にエストロゲンが一時的に減少することで、子宮内膜が不安定になり、その一部が剥がれ落ちて出血するという説
i卵胞が破れる際の影響
卵巣の中で卵子が飛び出す際(排卵時)に生じるわずかな出血や、卵胞液が腹膜を刺激し、それが子宮を通って排出されるという説
排卵出血は病気ではなく、「排卵に伴う自然な現象」であることがほとんどです。数日で止まり、痛みも軽いようであれば過度に心配する必要はありません。
排卵出血の量・色・期間の特徴
排卵出血の量や色、期間には以下のような特徴があります。
i排卵出血の目安
- ・量:おりものに血が混じる程度〜数滴。おりものシートで対応できる量
- ・色:ピンク色〜薄茶色が多い。まれに鮮血(赤色)の場合もある
- ・期間:数時間〜2〜3日程度(生理より短い)
- ・痛み:軽い下腹部痛・腰のだるさを伴うことがある
排卵期出血は、通常の生理とは異なり「おりものシートで十分対応できるほど少量」かつ「長くても2〜3日程度」で終わるのが特徴です。この際、軽い下腹部痛(排卵痛)や腰の重だるさを伴うこともありますが、日常生活に支障が出るほどではありません。
ただし、以下の場合は注意が必要です。
- ・出血が4日以上長引く
- ・生理と同じくらい量が多い
- ・痛みが激しい
これらに当てはまる場合、子宮筋腫や子宮内膜症、あるいはポリープなど、ホルモンバランス以外の疾患が隠れている可能性もあります。「いつもと違うな」「何日も出血が続くな…」と少しでも違和感を覚えたら、念のため婦人科を受診して原因を確かめましょう。
排卵前と排卵後、どちらで出血が起きるの?
排卵出血は、排卵の直前〜直後のタイミングで起こることが多いとされています。排卵前はエストロゲンが急上昇してから一時的に低下するタイミング、排卵後は卵胞が破れて排卵が起きるタイミングで出血が生じやすいと考えられています。
ただし、排卵のタイミングは毎月完全に一定ではなく、出血がいつ起こるかも人によって異なります。「排卵期に当たる時期(前回の生理から約2週間後ごろ)に出血があった」という場合は、排卵出血の可能性が高いといえるでしょう。
基礎体温をつけていると、低温期から高温期へ切り替わるタイミングが排卵日の目安になります。そのころに出血があれば、排卵出血の可能性が高まります。
排卵出血と生理・着床出血の見分け方
「この出血、生理?排卵出血?それとも妊娠のサイン?」と迷うこともあります。量・色・タイミングから見分けるポイントをまとめます。
着床出血と生理の違い
排卵出血と生理(月経)は、次のポイントで見分けることができます。
| 排卵出血 | 生理 | |
|---|---|---|
| タイミング | 前回の生理から約2週間後ごろ | 周期(25〜38日)、変動が6日以内 |
| 量 | 少量(おりものシートで対応) | 多め(ナプキンが必要) |
| 色 | ピンク〜薄茶色 | 鮮紅色〜暗赤色 |
| 期間 | 数時間〜3日程度 | 3〜7日 |
| 痛み | 軽い下腹部痛・腰のだるさ | 強い生理痛が出ることも |
「出血量が多い」「1週間近く続く」「タイミングが生理予定日に近い」という場合は、生理の可能性があります。明らかに生理と違うと感じるのに出血が繰り返す場合は、ほかの原因も考えられるため、婦人科に相談してみてください。
※参考:「正常な生理(月経)の目安を教えてください!」(日本産科婦人科学会)
排卵出血と着床出血(妊娠による出血)の違い
「排卵出血かと思っていたら実は妊娠していた」というケースもあります。着床出血と排卵出血は出血量が少ない点が似ているため、混同しやすいところです。
| 排卵出血 | 着床出血 | |
|---|---|---|
| タイミング | 前回の生理から約2週間後 | 生理予定日の前後1〜2週間 |
| 量 | 少量(おりものシートで対応) | 少量(おりものシートで対応) |
| 色 | ピンク〜薄茶色 | 薄ピンク〜薄茶色 |
| 期間 | 数時間〜3日程度 | 数日以内が多い |
タイミングの大きな違いは、排卵出血が生理予定日の約2週間前に起こるのに対し、着床出血は生理予定日の前後に起こる点です。ただし、どちらも出血量が少なく見分けが難しいため、妊娠の可能性がある場合は、排卵出血と自己判断せず、妊娠検査薬で確認することが大切です。検査を行う際は、生理予定日から1週間後以降に行いましょう。
排卵出血が起きたときの確認ポイント
これまで出血がなかったのに突然「初めて排卵出血が出た」という方や、30代になってから初めて起きたという方もいます。初めての排卵出血は特に不安になりやすいですが、まず落ち着いて出血の様子を確認してみましょう。
- ・前回の生理から約2週間前後のタイミングで出血した
- ・出血量が少なく、おりものシートで対応できる程度
- ・出血が2〜3日以内に止まった
- ・強い腹痛や発熱を伴わない
上記の条件をすべて満たしている場合は、排卵出血の可能性が高く、大きな心配は不要です。
30代で初めて出血を経験したときに注意すること
30代は子宮内膜症・子宮筋腫・子宮頸がんなどが見つかることもある年代です。30代で初めての不正出血が続く場合は、自己判断せず産婦人科を受診しましょう。
定期的な婦人科検診を受けていれば、万が一のときにも早期発見につながります。定期検診をまだ受けたことがない方は、この機会に一度受けてみると良いでしょう。
受診を検討すべき症状の目安
次に当てはまる場合は、産婦人科への受診をおすすめします。排卵出血の可能性があっても、病気が隠れているケースがあるためです。
「いつもと違う」と感じたら、早めに産婦人科を受診しましょう。
i受診を検討すべき症状
- ・出血量が多い(ナプキンが必要なほど)
- ・出血が3〜4日以上続く
- ・毎月のように繰り返す出血がある
- ・強い腹痛・腰痛を伴う
- ・性交後に出血する
- ・生理とは関係なく出血が2週間以上続く
排卵出血と間違えやすい主な病気
「排卵期のはずなのに出血が多い」「毎月繰り返す」という場合は、以下のような病気が隠れていることもあります。
i子宮頸がん
子宮頸がんは子宮の下の部分である管状の子宮頸管や子宮の入口に発症するがんです。HPV(ヒトパピローマウィルス)に感染することで起こります。HPVは性交渉をしたことがある女性の50〜80%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。90%の人は感染しても2年以内に自然に排出されていきますが、10%の人はHPV感染の状態が続きます。
そのまま自然排出されなかった人の一部は、異形成というがんの前段階の病態を経て、年数をかけて子宮頸がんに進行していきます。初期段階では、体調の変化をほとんど感じないケースが多いのが特徴です。
一方で、不正出血や性交渉後の出血、下腹部痛、さらさらしたおりものや粘液状の分泌物が増えてきた場合は、病状が進んでから気づくことも少なくありません。20代〜30代の方に発症が多いことが分かっており、ワクチンの接種や1年に1回の定期検診で予防、早期発見・治療が可能です。
※参考:「HPVワクチンに関するQ&A」(厚生労働省)
i子宮頸部異形成
子宮頸部異形成は子宮頸がんの前段階の状態で、初期症状はほとんどなく、まれに不正出血がみられる程度です。排卵出血と見分けがつきにくく、子宮頸がん検診で発見されるケースもあります。20〜30代の女性に多いため、定期的ながん検診が重要です。
i子宮筋腫
子宮筋腫は、30歳以上の女性の約20〜30%が発症しているといわれる身近な疾患です。子宮の平滑筋という部分にできる「良性の腫瘍」であり、悪性腫瘍のように命に関わるものではありませんが、放置すると貧血や強い痛みなど、さまざまな不調の原因となります。筋腫は発生する部位によって、子宮の内側に突き出す「粘膜下筋腫」、子宮の筋肉内に埋まっている「筋層内筋腫」、子宮の外側に向かって膨らむ「漿膜下筋腫」の3つに分類されます。
このうち、特に不正出血を引き起こしやすいのが「粘膜下筋腫」です。このタイプは出血以外にも、水っぽいおりものが増えたり、生理の量が異常に多くなる過多月経、生理期間がダラダラと長引く過長月経などの症状が現れます。
また、筋腫が大きくなってくると周囲の臓器を圧迫し、ひどい腰痛や頻尿、便秘などを引き起こすことも少なくありません。「最近、生理の様子が以前と違うな」と感じる場合は、筋腫が原因となっている可能性があるため、早めに受診してチェックしておきましょう。
i子宮内膜症
子宮内膜症は、本来は子宮内膜にしか存在しない組織が子宮の外に出現する病気です。不正出血がみられることがあり、排卵出血と間違えられることもあります。生理痛が強くなっている場合や不妊を心配している方は、早めの受診をおすすめします。
排卵期に出血があっても、「排卵出血だろう」と自己判断せず、気になるときは産婦人科で確認することが大切です。
排卵出血に関するよくある質問
ここでは、生理とは別のタイミングで起こる排卵出血に関するよくある質問にお答えします。
排卵出血が毎月くる場合、病院に行ったほうが良い?
毎月のように排卵出血が繰り返す場合は、一度婦人科への受診をおすすめします。排卵出血は一時的であれば様子を見ることが多いですが、毎月繰り返すのは一般的ではありません。
出血量が多い、痛みが強い、1週間以上続くなどの症状がある場合は、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮頸がんなどほかの疾患が背景にある可能性も考えられます。自己判断せず、医療機関で一度確認してもらいましょう。
鮮血が出たら病気なの?
排卵出血でも鮮血が出ることはあります。色は個人差が大きく、ピンク〜薄茶色のこともあれば、鮮やかな赤色のこともあります。鮮血だからといって即座に病気とはいえませんが、量が多い、何日も続く、痛みが強い場合は他の原因も考えられます。「鮮血で量も多い」「繰り返す」という場合は、婦人科を受診してください。
排卵出血があると妊娠しにくいって本当?
排卵出血があるからといって、妊娠しにくくなるわけではありません。排卵出血は正常な排卵周期の中で起こる自然な現象で、病気ではないためです。ただし、毎月繰り返す出血には別の疾患が隠れている可能性もあるため、不妊が心配な方は婦人科で相談してみることをお勧めします。
排卵出血だと思っていたら妊娠していたことがあるって聞いたけど本当?
「排卵出血かと思ったら着床出血だった」というケースはあります。着床出血は生理予定日前後に少量の出血として起こることがあり、排卵出血と見分けがつきにくいことがあります。妊娠の可能性がある場合は、自己判断せず生理予定日から1週間後以降に妊娠検査薬で確認することをおすすめします。
排卵出血のまとめ
排卵出血とは、生理周期の中間ごろ(排卵期)に起こる一時的な少量の出血で、病気ではありません。量・色・期間の特徴をおさえておくと、生理や着床出血との見分けにも役立ちます。
少量で2〜3日以内に止まる場合は経過を見ることが多いですが、出血が長く続く、量が多い、痛みが強い場合は婦人科を受診しましょう。ピルを日常的に服用することでホルモンバランスを整え、排卵を抑えることができるため、排卵出血が気になる方は医師に相談してみるのも1つの選択肢です。
気になる症状があれば、一人で抱え込まず、産婦人科に相談してみてください。
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監修者
2013年杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院で研修。 愛育病院、国立成育医療センターを経て、2018年より六本木レディースクリニックで不妊治療を行う。 現在は六本木レディースクリニック非常勤。
2024年よりメデリピルにてオンライン診療によるピル処方や、mederi magazineの記事監修を担当。
不定期で企業講演を行う。主に卵子凍結や、体外受精、治療に対する会社のサポートについて発信
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