閉経前の生理痛がひどい…更年期の生理はどのように変化する?

生理
更新日:2024.10.02

 

閉経前の生理痛がひどい…更年期の生理はどのように変化する?

閉経前になると、生理痛がひどくなったり、生理が乱れて生理不順が起きたりすることがあります。なぜ閉経前生理が変化するのでしょうか?

閉経するまで生理はどんな風に変化していくのか、生理痛を和らげる対策とあわせてご紹介します。

閉経前に生理痛がひどくなる原因とは?

「閉経」とは、卵巣の活動が次第に失われ、生理が完全に停止することをいいます。要するに、女性が12ヶ月以上無月経となって初めて”閉経”となります。

そして閉経前の5年間閉経後の5年間をあわせた10年間を「更年期」といいます。日本人女性が閉経を迎える平均年齢は50歳頃、つまり40代なかばから更年期になる方が多いということです。

閉経前、つまり更年期になると、体にはさまざまな変化が表れてきます。そんななか、生理痛がひどくなる方がいます。閉経を迎えるなら生理痛は軽くなりそうと思われるかもしれませんが、生理痛がひどくなるのはなぜでしょうか?順に見ていきましょう。

閉経前にあらわれる生理の変化

閉経前になると、生理に変化が表れてきます。その変化は人によってさまざまですが、例えば次のようなことが起こります。

生理の周期

閉経前に表れることで多いのが、生理周期の変化です。生理の周期が短くなるケースが代表的ですが、長くなることもあります。

生理の日数

生理の日数にも変化が出てくる場合があります。生理の平均的な日数は7日ですが、閉経前になると3~4日程度で終わることもあれば、少量の出血が数週間続くこともあります。

経血量

生理になったときの経血の量にも変化があります。経血の量が少なることが一般的ですが、ショーツが汚れるほど出血量が増える場合や、だらだらと出血が続く場合もあります。

生理痛

閉経前になると、生理痛が軽くなるケースが多いです。しかし、生理痛がひどくなる方もいます。周期的な月経が乱れることによって、子宮内膜が肥厚することによるプロスタグランジン量の増加などの要因が、重い生理痛に影響を与えていることも考えられます。

排卵

若い世代は毎月排卵が起きて、妊娠しなければ生理が起こります。しかし閉経前になると、排卵が起こらない周期も増えていきます。

PMS(月経前症候群)

PMSは月経前症候群と呼ばれるもので、生理前になるとイライラしたり攻撃的になったり、憂うつになったりするものです。人によって症状はさまざまですが、肌荒れが起きたり胸が張ったり、頭痛や腹痛を感じたりすることもあります。そんなPMSも、閉経前になると変化することがあります。PMSがひどくなる方軽くなる方などさまざまです。

閉経前の生理不順の原因

閉経前になると、なぜ生理に変化が出てくるのでしょうか?

女性ホルモンの量が変化による影響

生理の周期が変わったり経血量に変化が表れたり、生理不順になったりする原因のひとつは、女性ホルモンの量が変化することです。
生理には「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンが関係しています。この2つの女性ホルモンは脳の指令によって卵巣から分泌され、女性らしい体を作ったり、妊娠に向けて子宮内膜を厚くしたりと、さまざまな働きを行います。

しかし閉経が近づいて更年期になると、脳から指令が出ても卵巣が正しく反応せず、女性ホルモンが分泌されなくなることがあるのです。

卵巣の機能の低下

年齢を重ねるにつれて、卵巣の機能は衰えていきます。卵巣がもっとも活発に機能するのは20代頃で、それを過ぎると低下していき、閉経するとほとんど機能しなくなります。この機能低下は老化によるもので、誰でも加齢とともに起きるものです。

閉経が近づくと…

生理不順になるのは、閉経が近づいていることも原因のひとつです。女性の体内では少しずつ卵巣の機能が落ちていき、やがて閉経を迎えます。生理不順は、体が閉経を迎えるための準備をしているともいえるのです。

閉経までの道のり

更年期を迎えて閉経するまで、生理や体にはどんな変化が出てくるのでしょうか?更年期を迎える年齢は人によって幅があります。ここではよくあるパターンのひとつをご紹介しましょう。

30代後半〜40代前半

生理の周期が短くなり、経血量が減り、生理の日数も短くなります。生理が起きていても、排卵が起こらない周期もあると考えられます。

40代後半

それまでは一定だった生理の周期が乱れるようになり、生理不順になります。また経血量や生理の日数についても変化が出て、不安定になっていきます。

50歳頃

生理不順が続き、やがて生理の回数が2~3か月に1回程度に減っていきます。最後には、生理が1年以上こない状態となり閉経を迎えます。

閉経前の生理痛を和らげる方法

長年生理を経験してきた女性であっても、生理痛はつらいものです。もし閉経前に生理痛がひどくなったら、「仕方がない」「我慢していれば大丈夫」などと思わず、痛みを和らげる対策をとってみましょう。ここでご紹介する方法を試してみて、生理痛が軽くなるものがあったらぜひ継続してください。

体を温める

女性にとっては、何歳になっても冷えは大敵です。体が冷えていると生理痛を感じやすく、ひどくなりやすいのです。お風呂に入るときは、シャワーだけで済まさずに湯舟に浸かって体を温めましょう。腹巻きカイロ毛布などのアイテムも使って、お腹や腰のあたりを温めます。血行がよくなれば、痛みが緩和されることが多いのです。

適度な運動

生理痛があるときは、体を動かすのも面倒に感じて、じっとしていたくなるかもしれません。しかし同じ姿勢のままで長時間いると、全身の血流が滞り、さらに痛みを感じやすくなることがあります。無理のない範囲で軽いウォーキングやストレッチをして、体を動かしてみましょう。

また生理痛を感じたときに限らず、普段から適度な運動を行うことで、基礎代謝が上がり体に筋肉がついて、冷えにくい体になります。

体を冷やす食べ物を避ける

普段から体を冷やさないためにも、体を温める食材を積極的にとるのがおすすめです。野菜青魚海藻大豆食品などをふんだんに使った和食料理がその代表です。一方でカフェインは体の熱を奪い体を冷やす効果があるため、緑茶、コーヒーなどは避けた方がいいでしょう。

低用量ピル

生理痛の緩和に、低用量ピルを飲む方法があります。低用量ピルは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の成分でできた錠剤で、ホルモンバランスを整えることで高い避妊効果と生理痛軽減の効果を発揮します。ただし低用量ピルは年齢が上がると血栓症などのリスクが上がるため、40歳以上の方の服用は慎重に検討しなければなりません。低用量ピルの服用がいいのかホルモン補充療法がいいのか、医師に相談しましょう。

40歳以上の方の低用量ピルの服用についてのリスクなどは下記の記事で詳しく説明しているので、あわせてご覧ください。

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閉経前の生理痛・生理不順で困ったときは医師に相談を

女性なら誰でも、50歳頃に閉経を迎えることになります。その前には生理痛がひどくなったり、生理不順が起きたりすることが多くあります。生理痛がひどくなったときや不正出血が止まらなくなったときなどは、子宮筋腫、子宮体がんなどの病気が隠れていることもあります。生理トラブルで困ったときは我慢せずに医師に相談して、低用量ピルの服用やホルモン補充療法などの選択肢も考えてみましょう。

監修者

産婦人科専門医、がん治療認定医、mederiドクター
mederiドクター
産婦人科専門医、がん治療認定医 女性のヘルスケアアドバイザー(女性医学会認定)、F U S E certificated personnel(米国内視鏡外科学会認定)、JOHBOC研修終了(日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構) 大学病院に入局し高度周産期センター、婦人科腫瘍専門施設で研修・修練後、総合病院で良性疾患の腹腔鏡手術や、不妊治療、女性内分泌・更年期障害など幅広く女性診療を行う。米国への留学を経て、現在はmederiドクターとして、メデリピルのオンライン診療や体調相談を担当している現役産婦人科医。

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