生理は女性にとって健康状態のバロメーターでもあります。
生理の基礎知識や、生理中でも快適に過ごすためのセルフケアをご紹介。
生理がきそうでこない原因とは?こさせる方法と受診の目安を解説
下腹部がじんわり痛い、おりものが増えた、胸が張る…「もうすぐ生理がきそう」な感覚があるのに、なかなか始まらないことはありませんか?数日の遅れであれば珍しいことではありませんが、1週間以上遅れが続くと不安になりますよね。
この記事では、生理がきそうでこない原因や、こさせる方法として実践できるセルフケア、受診の目安を詳しく解説します。「妊娠の可能性はあるの?」「病院に行くべき?」と迷っている方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
もくじ
生理の仕組みと「きそうでこない」の関係
「生理がきそうなのになかなか始まらない」と、不安になることはありませんか?
生理前の症状があってもすぐに出血が始まらないことは珍しくありません。これには女性ホルモンの変化や排卵のタイミングなどが関係しています。
まずは、生理の仕組みと「きそうでこない」と感じる理由を見ていきましょう。
生理周期と正常な遅れの範囲
生理は、妊娠に備えて厚くなった子宮内膜が、妊娠しなかった場合にはがれ落ちて体の外へ排出される現象です。この流れは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンによってコントロールされています。
一般的な生理周期は25〜38日で、この範囲であれば正常とされています。ただし、生理周期はストレスや睡眠不足、体調の変化などの影響を受けやすく、毎月ぴったり同じ日に始まるとは限りません。そのため、数日程度の遅れであれば心配のないケースも多くあります。
一方で、生理が1週間以上遅れる場合や、遅れを繰り返す場合は、ホルモンバランスの乱れや妊娠、婦人科の病気などが関係している可能性があります。「生理がきそうでこない」と感じたときは、遅れている日数だけでなく、体調や普段との違いもあわせて確認してみましょう。
※参考:「正常な生理(月経)の目安を教えてください!」(日本産科婦人科学会)
「きそうでこない」と感じる症状の正体
生理が近づくと、下腹部の張りや腰痛、胸の張り、おりものの変化、眠気、イライラなどの症状が現れることがあります。これらは、排卵後に増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で起こる月経前症候群(PMS)の代表的な症状です。
こうした症状があるのに生理が始まらないと、「きそうでこない」と感じることがあります。これは、ストレスや睡眠不足、体調の変化などで排卵が遅れ、生理開始も後ろにずれているケースが少なくありません。
数日程度の遅れであれば珍しいことではありませんが、症状が続くのに生理がなかなかこない場合や、1週間以上遅れている場合は、妊娠やホルモンバランスの乱れなど別の原因も考えられます。
生理がきそうでこない原因
生理がきそうでこない背景には、ストレスや生活習慣の乱れから婦人科系の疾患まで、さまざまな原因が考えられます。妊娠以外で起こりやすい原因を確認しておきましょう。
①ストレス・生活リズムの乱れ
ストレスが原因で生理がこなくなってしまうことはあります。女性の身体は、過度なストレスが加わると生理周期を調整している女性ホルモンに影響を及ぼし、ホルモンバランスが崩れて生理が止まってしまうのです。適度な運動や、デジタルデトックスなど日ごろからストレスを発散させることが大切です。
睡眠不足や夜更かし、不規則な食事なども体内リズムを乱す原因となるため、直近の生活を振り返ってみましょう。
②過度なダイエットによる体重減少
過度なダイエットは、生理が来なくなる原因の1つです。特に、食事制限によって短期間で急激に体重が減ると、女性ホルモンの分泌が乱れ、排卵が止まることで生理がこなくなることがあります。
ダイエットをするときは、1日3食を基本に栄養バランスのよい食事を心掛け、無理のないペースで体重を減らすことが大切です。
また、BMI18.5未満の方だけでなく、肥満や急激な体重増加でも排卵が起こりにくくなり、稀発月経や無月経につながることがあります。極端な体重の増減は避け、適正体重を維持することを意識しましょう。
③過度な運動
強度の高い運動が長期間続くと、エネルギー不足や体脂肪率の低下が起こり、脳の視床下部が「妊娠するには不適切な状態」と判断して排卵の指令を止めてしまうことがあります。
これにより生理が止まる「運動性無月経」が起こります。アスリートに限らず、食事量を減らしながら急に運動量を増やしたときにも見られる状態です。慢性的な疲労や体重の低下と重なると、影響がより強く出る傾向があります。
④婦人科系の病気
生理がきそうなのに始まらない場合は、婦人科系の病気が原因になっていることもあります。
考えられる病気としては、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)や子宮内膜症、早発卵巣不全(POI)などが挙げられます。
- ・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):排卵が起こりにくくなり、生理不順や無月経を引き起こす
- ・子宮内膜症:強い生理痛や下腹部痛、生理周期の乱れがみられることがある
- ・早発卵巣不全(POI):40歳未満で卵巣機能が低下し、ほてりなど更年期のような症状が現れたり、生理が止まることがある
生理がこない状態が続く、強い痛みや不正出血を伴う場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
⑤甲状腺の病気
甲状腺ホルモンの過剰分泌や分泌の低下が起きる「バセドウ病」や「橋本病」では、ホルモン量のコントロールができなくなるため、生理がこないことがあります。
疲れやすい・寒がり・体重の変化など、生理の遅れ以外の全身症状も気になる場合は、甲状腺の機能も含めて検査を受けてみることをおすすめします。
⑥高プロラクチン血症
生理がこない、または遅れる原因として、排卵が起こっていない状態(無排卵)やホルモンの異常が隠れていることがあります。
高プロラクチン血症:プロラクチンが過剰に分泌されることで排卵が抑えられ、生理不順や無月経を引き起こす
生理が長期間こない、繰り返し生理不順が続く、妊娠していないのに乳汁が出る場合は、婦人科を受診して原因を調べてもらいましょう。
⑦薬の影響
普段から常用している薬の副作用によって、生理が遅れたり止まったりすることがあります。特に一部の「抗うつ薬」や「胃薬(胃腸薬)」などは、脳の下垂体に働きかけてホルモンバランスの調整を狂わせてしまう成分が含まれているケースがあるため注意が必要です。
もしこれらの薬を現在服用していて生理不順などのトラブルがある場合は、薬が原因となっている可能性も考えられます。服用中の薬がある場合は、生理不順が続くことを医師に相談しましょう。
生理がきそうでこないときに妊娠の可能性をチェックする方法
「生理がきそうなサインがあるのに始まらない」という状態は、妊娠の初期症状でも同じように起こります。以下の2つの方法で妊娠の可能性をチェックしてみましょう。
基礎体温を確認する
基礎体温は、妊娠の可能性を判断する目安の1つです。
通常は、生理が始まるころに高温期が終わり、体温が低温期へ移ります。一方、妊娠している場合は、高温期が続くのが特徴です。高温期が3週間以上続いている場合は、妊娠している可能性があります。
下腹部痛や胸の張り、眠気などは、生理前と妊娠初期のどちらでもみられるため、症状だけで判断することはできません。基礎体温もあわせて確認しましょう。
妊娠検査薬を使用する
妊娠の有無を確認するには、市販の妊娠検査薬を使用してみましょう。
一般的な妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後から使用できます。早すぎるタイミングでは、妊娠していても陰性になることがあるため、使用時期を守ることが大切です。
検査薬で陽性が出た場合は、正常妊娠かどうかを確認するため、早めに産婦人科を受診しましょう。
陰性でも生理が来ない場合は、数日後に再検査するか、婦人科で相談することをおすすめします。
i生理前症状と妊娠初期症状の違い
生理前症状(PMS)と妊娠初期症状は、下腹部痛や胸の張り、眠気、だるさなど共通する症状が多く、症状だけで見分けることは難しいとされています。
見分ける際の目安になるのが基礎体温です。高温期が3週間以上続いている場合は、妊娠の可能性を考えて妊娠検査薬を使用してみましょう。
また、妊娠初期には生理前症状に加えて次のような症状がみられることがあります。
- ・吐き気・食欲の変化
- ・においに敏感になる
- ・めまい
- ・便秘
- ・強い眠気やだるさ
これらの症状があり、生理もこない場合は妊娠検査薬で確認しましょう。陽性だった場合は、早めに産婦人科を受診してください。
生理をこさせる方法・セルフケア
婦人科的な疾患が原因でない場合、生活習慣を整えることが生理周期を安定させる近道になります。今すぐ試せるセルフケアをご紹介します。
ストレス発散と良質な睡眠
強いストレスは視床下部の働きを乱し、排卵の指令がうまく出なくなる原因になります。深呼吸・ストレッチ・好きな音楽を聴くなど、自分に合ったリラックス法を日常に取り入れましょう。
また、睡眠中には性ホルモンの分泌が促されます。就寝・起床時間を一定に保ち、寝る前のスマートフォン操作やカフェインの摂取を控えることで、体内リズムが整いやすくなります。
栄養バランスを整え適度に運動する
ストレスの影響でホルモンバランスが乱れ、それによって生理周期が不安定になることがあります。日ごろからストレスを溜め込むことがないように、定期的な息抜きを心掛けましょう。
食事は炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルを3食バランスよく摂るのが大切です。
あわせて行うウォーキングなどの適度な運動は、全身の血行を促しホルモン分泌のサイクルを整えられますが、過度な運動は体に負担がかかるため、無理のない範囲にとどめましょう。
体を温めて血行を促す
冷えは血行を悪くし、卵巣や子宮の働きに影響することがあります。湯船に浸かる習慣をつける、腹部や腰を温める、末端の冷えを防ぐ靴下や腹巻きを活用するなど、意識的に体を温めてみましょう。
体を温めたからといって即座に生理が来るわけではありませんが、継続的な温活はホルモンバランスを整える大切な土台となります。
生理周期を整えるための医療的ケア
セルフケアを行っても改善が見込めない場合や、生理不順を改善したい場合は婦人科を受診して医師に相談しましょう。
漢方薬による体質改善
漢方薬は、生理不順の原因となる冷えやストレス、血行不良などにアプローチしながら体質改善を目指す治療法です。
婦人科では、冷えや貧血傾向がある方には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、ストレスやイライラが気になる方には「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、血流の滞りがある方には「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが処方されることがあります。漢方薬は体質に合ったものを選ぶことが大切であるため、医師に相談したうえで処方を受けるようにすると安心です。
低用量ピルによるホルモンコントロール
低用量ピルは女性ホルモンを補うことでホルモンバランスを安定させ、生理周期を整える治療法です。服用中は排卵が抑えられるため、生理周期が安定しやすくなり、生理日の予測がしやすくなります。また、生理痛やPMS(月経前症候群)の軽減も期待できます。
ただし、服用してすぐに生理を起こす薬ではありません。また、妊娠を希望している期間には使用できないため、治療を始める際は医師と相談しながら自分に合った方法を選びましょう。
何日で受診すべき?受診の目安と病院でできること
「そろそろくるはずなのに…」と待っているうちに、気づけば2週間以上が経過していたというケースは珍しくありません。焦らず対処するためにも、病院へ行くべき具体的なタイミングと実際の診察でどのような検査が行われるのかを確認しておきましょう。
産婦人科を受診するタイミング
生理予定日から1〜2週間経っても生理が来ない場合は、産婦人科を受診するようにしましょう。特に、もともと生理不順ではないのに生理がかなり遅れているという場合は、何か原因が隠れている可能性があるため注意が必要です。また、以下のような場合は早めの受診をおすすめします。
- ・3か月以上生理がこない(無月経)
- ・強い腹痛・腰痛を伴う
- ・不正出血がある
- ・妊娠検査薬が陽性だった
- ・毎月のように周期の乱れが繰り返される
これらは放置すると将来の不妊リスクにつながることもあるため、早めに受診を検討しましょう。
受診時に行われる主な検査
生理が来なくて医師に相談したいと思っていても、実際に病院でどのような検査を受けるのか分からないと不安ですよね。参考までに、産婦人科で行われる一般的な検査の流れをご紹介します。
問診・基礎体温チェック
これまでにかかった病気や現在服用中の薬を聞かれたり、体重測定や普段の生理周期の確認を行ったりします。また、日々の基礎体温を記録して持っていくと、卵巣機能などについてチェックできる場合もあります。
血液(ホルモン)検査
血液検査を行うことで、ホルモンの値を確認します。調べるホルモンは、女性ホルモンのほかに下垂体ホルモンや甲状腺ホルモンなども含まれる場合があります。
超音波検査
超音波検査では、子宮や卵巣の状態を確認し、異常が見られないかどうかを調べます。腟から機器を入れて検査しますが、性交渉の経験がない場合はお腹の上から機器をあてたり肛門から入れる方法に変更できる場合もあります。
不安なときは一人で抱え込まず産婦人科へ相談しよう
生理がきそうでこない背景には、一時的なストレスや生活習慣の乱れから、妊娠、ホルモンバランスの乱れ、隠れた疾患までさまざまな要因が考えられます。
数日程度の遅れであればセルフケアで様子を見るのも1つですが、生理予定日から1〜2週間以上遅れている場合や、強い痛みを伴う場合は我慢せず産婦人科を受診することが大切です。
「これくらいで受診してもいいのかな」と不安に思う必要はありません。自分の大切な体と向き合うためにも、気になる症状や不安があるときは一人で抱え込まず、早めに専門医へご相談くださいね。
生理がきそうでこないに関するよくある質問
ここでは、生理がきそうでこない場合に関する質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
生理がきそうでこないのに下腹部が痛いのはなぜ?
生理前は黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で、下腹部の痛みや張りを感じることがあります。多くはPMS(月経前症候群)によるもので、生理が始まると自然に落ち着きます。
ただし、強い痛みが続く、腰痛や発熱を伴う場合は、子宮内膜症などの病気が隠れている可能性もあるため、早めに産婦人科を受診しましょう。
今すぐ生理をこさせる即効性のある方法はあるの?
自然に生理をすぐ起こす方法はありません。生活習慣を整えてホルモンバランスを改善することが基本です。旅行などで生理日を調整したい場合は、中用量ピルで移動できることがあります。希望する場合は、早めに婦人科で相談しましょう。
生理がきそうでこないとき、ツボ押しは効く?
「三陰交」や「血海」などは生理に関係するツボとして知られていますが、効果を裏付ける科学的根拠は十分ではありません。血行を促すセルフケアとして取り入れる程度にとどめ、生理の遅れが続く場合は婦人科を受診しましょう。
生理がこないのにおりものがあるのは何のサイン?
おりものの量や状態は、排卵後から生理前にかけてホルモンの影響で変化します。色やにおいに異常がなければ、心配ないことがほとんどです。
ただし、生理の遅れに加えて黄色や緑色のおりもの、強いにおい、かゆみなどがある場合は、感染症などの可能性があるため婦人科を受診しましょう。
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監修者
2013年杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院で研修。 愛育病院、国立成育医療センターを経て、2018年より六本木レディースクリニックで不妊治療を行う。 現在は六本木レディースクリニック非常勤。
2024年よりメデリピルにてオンライン診療によるピル処方や、mederi magazineの記事監修を担当。
不定期で企業講演を行う。主に卵子凍結や、体外受精、治療に対する会社のサポートについて発信
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