ピル服用時に基礎体温の測定は必要?生理前の体温が37度になるのは問題?

ピル
更新日:2024.10.07

ピル服用時に基礎体温の測定は必要?生理前の体温が37度になるのは問題?

低用量ピルの服用中には排卵が起こりませんが、基礎体温の変化はあるのでしょうか?この記事では、生理周期に関係する基礎体温について詳しく解説し、生理前に体温が37度に上がる理由に迫ります。基礎体温の理解は、妊娠予測や排卵日の把握に役立ちます。ピルと基礎体温の関係について知り、不安を解消しましょう。

基礎体温とは

基礎体温について「もちろん知っている」という人もよく知らない人も、ここで仕組みをおさらいしてみましょう。
基礎体温は、安静状態に消費される最小限のエネルギーによって維持される体温のことを指します。つまり、身体を動かしていないときに保たれる体温のこと。
この体温は、体温計を使用して朝目覚めてから起き上がる前に測定します。
動いているときや食後には体温が高くなるため、基礎体温は安静状態で測ることが大切です。
基礎体温を測定する主な目的は、生理周期や排卵のタイミングを把握することです。
女性の生理周期には、排卵や生理に合わせて体温の変化する特定のサイクルがあります。
基礎体温の情報は、妊娠を計画している場合や生理不順を抱えている場合に役立ちます。
基礎体温を測定し、日常的にデータを収集してグラフにすることで、生理周期の正確な把握や健康のモニタリングが可能になります。

ピル服用時の基礎体温が37度…これって高温期?

低用量ピルを服用することで、排卵の抑制、生理痛の緩和、計画的な避妊といった効果が期待できます。
また女性は排卵を境に「低温期」から基礎体温が高くなる「高温期」に移り変わります。基礎体温には個人差がありますが、低温期に比べて1℃程度上昇する方もいれば、37℃まで上昇する方もいます。女性の身体は、生理の周期に合わせてこのサイクルを繰り返します。
基礎体温を規則的に測ることで、排卵日を予測し妊娠しやすい時期、また妊娠しにくい時期の予測が可能になります。
では、排卵を抑えるピルの服用中はどうなるのでしょうか?実は、ピルの服用中は基礎体温は大きく変化しません。
ピルの服用中に37度以上の体温になると「もしかしてピルが効いていないのかも」と不安になってしまうことがあるでしょう。
ピル服用中の基礎体温の変化と、服用していない場合の一般的な基礎体温の変化についてみていきましょう。

ピル服用中に体温が37度になるのは問題なし!

元々ピルを服用していない際の基礎体温の変化は、生理が始まると体温が下がり、約2週間低温期が続いたのちに、排卵が始まることによって体温は上昇し、次の生理までの約2週間高温期が続くことが一般的です。
ピルを服用している間は、ホルモンの変動がなくなり、基礎体温に変化はほとんど変化なく、基礎体温が一定に保たれます。その理由は、低用量ピルに含まれる黄体ホルモンにあります。
低用量ピルを服用していない場合、基礎体温は低温期と高温期の2つの期間を交互に繰り返します。
生理が始まると、卵胞ホルモンの分泌とともに体温は低くなります。その後に排卵が起こり、黄体ホルモンが分泌され高温期に入ります。
次に生理が始まると、再び同様のサイクルが繰り返されます。
しかし低用量ピルを服用中は、ピルに含まれる黄体ホルモンの働きにより、常に高温期の状態が続きます。
その結果、基礎体温の変動はほとんど起こらなくなります。
ピルを服用している間は、排卵も起こらず生理は休薬期間に起こります。そのため、基礎体温を計測してもあまり意味がありません。
ただし、ピルの服用中の基礎体温は、通常の高温期よりもわずかに高くなることがあります。これはピルに含まれるホルモン成分が代謝に影響を与え、基礎体温をやや上昇させるためです。
したがってピルを服用している場合、基礎体温測定は通常の生理サイクルとは異なり、人それぞれの基礎体温によりますが、基礎体温に近い状態で維持されます。中には、37度前後まで体温が上昇する方もいます。ピルの服用中に体温が高いのは一般的なことであり、心配する必要はありません。

ピルを飲んでいなければ生理前に体温が37度になることも

生理前に基礎体温が上昇するのは、プロゲステロンというホルモンの働きによるものです。
基礎体温とは、朝起きた直後の安静な状態で測定した体温のことです。
排卵直後から次の生理までの期間には、基礎体温が上昇する高温期と、生理開始から次の排卵まで体温が低くなる低温期が存在します。
高温期はおおよそ11日~16日間続き、この期間に妊娠が成立しないと生理が起こり、次の排卵が起こるまで低温期が続きます。
プロゲステロンは体温を上昇させる働きを持つ黄体ホルモンで、黄体期(高温期)と呼ばれる生理前の期間に多く分泌されます。
基礎体温は低温期に比べて0.3〜0.6度上昇し、微熱のような感覚があります。
この微熱や体温の変化は、通常の生理サイクルにおける正常な生理現象ですから、過度に心配する必要はありません。
ただし37度を大きく超える発熱がある場合、吐き気などの症状がある場合は、生理前の体温変化とは異なる可能性があるため、医師への相談をおすすめします。

生理周期とからだの変化

生理周期というのは、4つの時期に分かれます。
「生理期・卵胞期・排卵期・黄体期」に分類され、卵胞期からホルモンの分泌が徐々に増え始め、子宮内膜も徐々に増殖していきます。ホルモンの分泌量がピークに達すると脳から指令が出て排卵が始まり排卵期になります。卵子が飛び出たあとの卵胞は黄体という組織に変わり、妊娠しやすい状態を作ります。これを黄体期といいます。この段階で妊娠が成立しなかった場合には、生理が始まり生理期になります。女性は常にこのサイクルを繰り返しているのです。

基礎体温の周期

ピルを服用していなければ、生理と排卵に合わせて低温期と高温期を繰り返します。
基礎体温の変化を把握しておくことで生理周期の把握や排卵のタイミングの確認ができ、その月の予定が立てやすくなるなどのメリットがあります。

低温期

低温期は生理周期の前半に位置し、基礎体温が通常の範囲よりも低い状態で安定します。
この期間は卵巣の卵胞が成長する時期で、エストロゲンが優位になります。
排卵が近づくと基礎体温は2相性といって、低温気・高温期の2つにはっきりと分かれるのが特徴です。排卵のタイミングで、体温が上昇し、高温期に移行します。

高温期

高温期は生理周期の後半に位置し、排卵後から次の生理までの期間です。
この期間は体温が通常よりもやや高くなり、プロゲステロンというホルモンの分泌が活発化します。
高温期は排卵が起こったサインとして用いられ、妊娠のしやすい時期を知ることで、妊活に役立ちます。妊娠が成立すると、生理が起こらず高温期が継続します。またピルの服用中は、妊娠が成立しなくても高温期が続きます。

生理期

高温期に妊娠が成立しない場合、徐々に黄体は退縮し、プロゲステロンの分泌が減少します。この働きによって、生理が起こります。
月経期には子宮内膜が剥離して、生理の出血が起こります。

卵胞期

卵胞期には、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が増加します。
卵胞ホルモンの作用により、子宮内膜も増殖し始めます。月経周期が28日の場合、生理が始まってから排卵までの約2週間は卵胞期に当たります。この期間は、基礎体温が低い低温期が続きます。
また卵胞期は女性の体調が良好で、心身ともに調子がいい時期とされています。

排卵期

排卵期は生理周期の中で卵子が卵巣から放出される時期であり、妊娠の可能性が最も高いとされます。
この期間には2週間続いた卵胞ホルモンの分泌がピークに達し、おりものが透明で粘り気のあるものに変化します。
排卵を境に基礎体温が上昇し、高温期が始まります。

黄体期

黄体期は排卵後に訪れる生理周期の段階で、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加します。
このホルモンの影響で基礎体温が上昇し、通常の低温期に比べて0.3〜0.6℃ほど高くなり、37度前後の基礎体温が生理前までの10〜14日間続きます。
黄体期において妊娠が成立した場合は黄体ホルモンの分泌が継続し、高温期が持続します。
黄体期の基礎体温変化は、妊娠の有無、もしくは通常の生理の訪れを把握する手がかりとなります。また一部の女性は、生理前に不快症状が現れることがあります。
ピルを服用中の場合は、ピルから黄体ホルモンが供給されるため常に黄体期が続きます。

基礎体温の見方

基礎体温を計測することのメリットはありますが、あまり神経質にならずに確認することが大切です。
大まかに高温期と低温期が分かれているかに注目しましょう。
基礎体温はひとりひとり微妙に違い変化もするため、計測結果が一定である必要はありません。
大切なのは、基礎体温の周期的なパターンです。
高温期と低温期が訪れる周期は人によって異なりますが、毎月の周期が安定していれば、ホルモンバランスが正常に保たれます。
生理周期に不安や疑問がある場合は、婦人科医で基礎体温について一度相談してみましょう。

ピル服用時は基礎体温を測定しなくてOK

基礎体温の変化と、生理前に体温が37度近くになることについて解説してきました。
ピルを服用していない場合は、排卵日から生理までの間が高温期に該当し、体温は37度近くまで上昇します。
基礎体温を計測することで、排卵日を予測でき妊活に役立つ他にも、毎月の予定が立てやすくなるメリットがあります。ただしピルの服用中は常に高温期が続くため、基礎体温を計測しても計測する必要がありません。服用を中止して生理が始まると通常のサイクルに戻るため、その際に計測を再開するといいでしょう。

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監修者

産婦人科専門医、がん治療認定医、mederiドクター
mederiドクター
産婦人科専門医、がん治療認定医 女性のヘルスケアアドバイザー(女性医学会認定)、F U S E certificated personnel(米国内視鏡外科学会認定)、JOHBOC研修終了(日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構) 大学病院に入局し高度周産期センター、婦人科腫瘍専門施設で研修・修練後、総合病院で良性疾患の腹腔鏡手術や、不妊治療、女性内分泌・更年期障害など幅広く女性診療を行う。米国への留学を経て、現在はmederiドクターとして、メデリピルのオンライン診療や体調相談を担当している現役産婦人科医。

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