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ピル代は医療費控除の対象になる?条件・申請方法を分かりやすく解説

ピル
更新日:2026.09.29
ピル代は医療費控除の対象になる?条件・申請方法を分かりやすく解説

「毎月払っているピル代は、確定申告で医療費控除にできるの?」と気になる方もいるでしょう。
「自由診療だから対象外」「ピル代が年間10万円に届かないから無理」と思っている方もいるかもしれません。ピル代が医療費控除の対象になるかは、支払い方ではなく、服用の目的が治療にあたるかどうかで判断されます。また、ほかの医療費と合算することで、年間10万円以下でも申告できる場合があります。

この記事では、ピル代が医療費控除の対象になる条件や、戻ってくる金額の目安、必要なもの、申請方法まで分かりやすく解説します。自分のケースと照らし合わせながら、ピル代の負担を抑える方法を確認してみましょう。

ピル代が医療費控除の対象になるかは服用の目的で決まる

ピル代が医療費控除の対象になるかどうかは、保険適用か自費かではなく、何のために処方されたかによって判断されます。まずは、自分の服用目的がどこに当てはまるか確認してみましょう。

治療目的で処方されたピルは医療費控除の対象になり得る

医療費控除の対象になる医薬品は、「治療または療養に必要な医薬品」と定められています 。病気の予防や健康増進のために使う医薬品の購入代金は、対象に含まれません。

そのため、月経困難症や子宮内膜症、PMS(月経前症候群)、生理不順といった症状を和らげるために処方されたピル代は、医療費控除の対象になり得ます。

処方の目的ごとの扱いを整理すると、次のようになります。

ピルの処方目的による医療費控除の扱いのイメージ

服用理由がどれに当たるか迷う場合は、処方を受けた医療機関へ確認してみましょう。

診察時に「医療費控除の申請のために確認なのですが、今回出していただいているピルは、月経困難症(またはPMS)の治療のための処方という扱いになっていますか?」などと医師に確認したり、領収書やマイページの処方名(または問診履歴)を見返したりすると、治療目的かどうかをスムーズに確認できます。

※参考:「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(国税庁)

避妊目的で処方されたピルは医療費控除の対象にならない

避妊を目的として処方されたピル代は、原則として医療費控除の対象になりません 。医療費控除は、病気やけがの治療・療養のために支払った費用が対象となるためです。同じ低用量ピルであっても、避妊を目的に服用している場合は、自由診療か保険診療かにかかわらず控除の対象外と考えられます。

ただし、避妊とあわせて月経困難症などの治療を目的としている場合は、処方の目的によって判断が異なることがあります。自分のケースが対象になるか迷うときは、処方を受けた医療機関や管轄の税務署に確認しましょう。

自由診療・自費でも治療目的なら対象になり得る

ピル代が医療費控除の対象になるかどうかは、保険適用の有無ではなく、治療や療養を目的として処方されたかどうかで判断されます 。

そのため、自由診療で支払ったピル代でも、月経困難症や子宮内膜症などの治療を目的とした処方であれば、医療費控除の対象になる可能性があります。

低用量ピルには、避妊を目的とするOC(経口避妊薬)と、月経困難症などの治療に用いられるLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)があります。ただし、OC・LEPという薬の分類だけで対象かどうかが決まるわけではありません。

「自由診療だから対象外」と自己判断せず、まずは自分がどのような目的で処方を受けているかを確認することが大切です。

※参考:「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(国税庁)

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判断に迷いやすい3つのケースにおける医療費控除の扱い

同じピルでも、飲む目的や処方の受け方によって医療費控除の扱いは変わります。ここでは、判断に迷いやすい3つのケースを、順に見ていきましょう。

1.月経移動のためのピル代は原則「対象外」となる

旅行や試験などに合わせて生理日を調整する「月経移動」は、一般的に病気の治療や療養を目的としたものではありません 。そのため、月経移動のために処方されたピル代は、原則として医療費控除の対象外となります。月経移動に中用量ピルや低用量ピルが使われることがありますが、判断の基準となるのは薬の種類ではなく処方の目的です。

ただし、治療目的と月経移動が重なっているなど判断に迷う場合は、自己判断せず、処方を受けた医療機関や管轄の税務署に確認しましょう。

2.アフターピル(緊急避妊薬)の費用は「対象外」となる

アフターピル(緊急避妊薬)は、望まない妊娠を防ぐために服用する薬です 。病気の治療や療養を目的としたものではないため、費用は原則として医療費控除の対象外とされています。

ただし、控除の対象外だからといって、必要な受診をためらう必要はありません。アフターピルは服用までの時間が短いほど高い効果が期待できるため、必要な場合はできるだけ早く医療機関へ相談しましょう。

3.オンライン診療のピル代は対象(※配送料は対象外)となる

オンライン診療で処方されたピル代も、治療や療養を目的とした処方であれば、医療費控除の対象になり得ます 。オンライン診療だから対象外になるわけではなく、対面診療と同様に服用目的が判断のポイントです。

一方で、支払った費用のすべてが対象になるとは限りません。診察料や治療目的で処方された薬代は対象になり得ますが、薬の配送料は医療費控除の対象外とされています。

なお、対面で受診した場合の交通費も、電車やバスなどの公共交通機関を利用した費用は対象になります。ただし、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。

ピル代の医療費控除でいくら戻る?計算方法と目安

医療費控除を申請しても、支払ったピル代がそのまま全額戻ってくるわけではありません。控除額に応じて所得税が還付され、翌年度の住民税も軽減されます。

ここでは、医療費控除額の計算方法と、実際にどのくらい負担が軽くなるのかを確認していきましょう。

医療費控除額の計算方法

1年間に支払った医療費から、保険金などで補填される金額と10万円を差し引いた額が医療費控除額になります 。式にすると、次のとおりです。

i基本の計算式

1年間に支払った医療費の合計ー保険金などで補填される金額ー10万円

ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。なお、控除額の上限は200万円で、対象になるのはその年の1月1日から12月31日までに支払った医療費です。

※参考:「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(国税庁)

医療費控除で戻る金額の目安

実際に戻る金額は、算出した医療費控除額に所得税率をかけて計算します 。支払った医療費の全額が戻るのではなく、所得や税率によって還付額が変わる点に注意しましょう。

i例:年間の対象医療費が15万円、所得税率10%の場合

・医療費控除額:15万円ー10万円=5万円
・所得税の還付額:5万円×10%=約5,000円

さらに、翌年度の住民税も軽減されます。実際の負担軽減額は所得やほかの控除の状況によって異なるため、正確な金額を知りたい場合は確定申告時に確認しましょう。

年間10万円以下でも医療費を合算して確認する

ピル代だけで10万円を超えないから対象外、と考えて申告をあきらめる必要はありません 。総所得金額等が200万円未満の方は基準が総所得金額等の5%になるほか、生計を一にする家族の医療費や、ピル以外の通院費・薬代もまとめて合算できます。

たとえば総所得金額等が150万円の方であれば、基準は7万5,000円です。1年分のピル代に歯科や内科の治療費を足すと、この金額を超えることも考えられます。まずは合算してから、基準を超えるかどうかを確かめてみましょう。

※参考:「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(国税庁)

ピル代を医療費控除で申請する方法

医療費控除を受けるには、確定申告の手続きが必要です 。会社員の方でも年末調整だけでは申請できません。スムーズに手続きを進めるために、まずは必要なものを手元に揃えておきましょう。

i申請前に用意しておきたい4つのアイテム

・領収書やレシート:1年分のピル代やそのほかの医療費のもの
(オンライン診療はマイページの利用明細PDFなど)
・源泉徴収票:年間の収入や所得税額を確認するため(会社員の場合)
・マイナンバーカード:e-Taxでのオンライン申請や本人確認に使用
・通帳やキャッシュカード:還付金の振込先口座番号を確認するため

準備が整ったら、ピル代を含む医療費を申告するまでの流れを4つの手順で見ていきましょう。

1.1年分の医療費を集計する

まずは、1月1日から12月31日までに支払った医療費を集計します 。ピル代だけでなく、病院や歯科の治療費、対象となる通院費などもまとめて確認しましょう。

領収書は提出時に添付しない場合でも、内容を確認するために必要です。オンライン診療を利用している場合は、マイページなどから領収書を発行できることもあるため、早めに確認しておくと安心です。

2.医療費控除の明細書を作成する

集計した医療費をもとに、「医療費控除の明細書」を作成します 。医療を受けた方の氏名や医療機関名、支払った金額などを記入する書類です。

国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、画面の案内に沿って入力できます。医療費通知がある場合や、マイナポータル連携を利用できる場合は、入力の手間を減らせることもあります。

※参考:「No.1119 医療費控除に関する手続について」(国税庁)

3.確定申告をして医療費控除を申請する

明細書を作成したら、確定申告書を作成して提出します 。申告方法は、e-Tax、郵送、税務署の窓口から選べます。

会社員などで還付申告のみを行う場合も、自分で確定申告の手続きを進める必要があります。申告内容に問題がなければ、計算された還付金が指定した口座に振り込まれます。

4.申請後は領収書を5年間保管する

医療費控除を申請したあとは、医療費の領収書などを原則として5年間保管する必要があります 。税務署から確認を求められる場合があるため、申告後も捨てずに保管しておきましょう。

また、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。どちらを利用するか迷う場合は、控除額を比較したうえで、自分に合う制度を選ぶことが大切です。悩む場合は自己判断で進めずに管轄の税務署へ相談してみてください。

※参考:「No.1119 医療費控除に関する手続について」(国税庁)
※参考:「No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)」国税庁)

まとめ

ピル代が医療費控除の対象になるかどうかは、保険適用か自費かではなく、治療を目的とした処方かどうかで判断されます。月経困難症やPMS(月経前症候群)、生理不順の改善を目的とする場合は、自由診療で支払ったピル代でも対象になる可能性があります。一方、避妊や月経移動、アフターピルの費用は、原則として対象外です。

また、年間の医療費が10万円を超えていなくてもすぐに諦める必要はありません。生計を一にする家族の医療費やほかの治療費と合算できるほか、所得によっては10万円より低い基準が適用される場合もあります。

医療費控除を受けるには確定申告が必要ですが、必要な費用を集計し、手順に沿って申請すれば進められます。自分の服用目的が対象になるか迷う場合は、処方を受けた医師や管轄の税務署に確認してみましょう。

ピル代の医療費控除に関するよくある質問

ここでは、ピル代の医療費控除についての疑問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。

確定申告の期限(3月15日)を過ぎても申請できる?

確定申告の期限を過ぎてしまっても、過去5年分まで遡って還付申告が可能です 。うっかり申告を忘れていた年のピル代や医療費であっても、領収書や利用明細が手元に残っていれば、あとから手続きを行って税金の還付を受けられます。あきらめずに過去の領収書を確認してみましょう。

※参考:「No.2030 還付申告」(国税庁)

家族の医療費と合算するとピル服用が家族に知られてしまう?

家族の医療費と合算して申告する場合、ピルを服用していることを家族に知られる可能性があります 。医療費控除の明細書には、医療を受けた人の氏名や医療機関名、支払った金額などを記載するためです。

知られたくない場合は、無理に家族の医療費と合算する必要はありません。自身で確定申告をすることもできるため、状況や希望に合わせて手続き方法を選びましょう。

会社員でも医療費控除の手続きは自分でやる必要がある?

医療費控除は会社の年末調整では手続きできないため、自身で確定申告をする必要があります 。

確定申告と聞くと難しく感じられますが、スマホの「確定申告書等作成コーナー」を使えば、源泉徴収票と領収書、マイナンバーカードを用意するだけで自宅から簡単に申請できます。

マイナポータル連携や医療費通知にピル代が載っていないときはどうする?

自由診療(全額自己負担)で処方されたピル代は、保険医療機関からの医療費通知やマイナポータルに自動反映されません 。

そのため、オンライン診療のマイページ等から発行された領収書や利用明細をもとに、自身で「医療費控除の明細書」へ金額を入力して申請を進めれば問題ありません。

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監修者

波羅 友里恵

2013年杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院で研修。 愛育病院、国立成育医療センターを経て、2018年より六本木レディースクリニックで不妊治療を行う。 現在は六本木レディースクリニック非常勤。
2024年よりメデリピルにてオンライン診療によるピル処方や、mederi magazineの記事監修を担当。

不定期で企業講演を行う。主に卵子凍結や、体外受精、治療に対する会社のサポートについて発信

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