低用量ピル服用中にピンクのおりもの?色の変化や不正出血について解説

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更新日:2025.11.11
低用量ピル服用中にピンクのおりもの?色の変化や不正出血について解説

低用量ピルを服用しているなかで、「ピンク色のおりものが出てきたけれど大丈夫?」「病院に行ったほうがいいのかな?」と不安を感じている方は少なくありません。
ピルを飲み始めて間もない時期や、ホルモンバランスが整うまでの間は、おりものの色や量が一時的に変化することはよくあります。ほとんどは心配のない一時的な変化ですが、中には病院に相談すべきサインが隠れていることも。

ピンク色のおりものが出る原因や考えられる状態、注意すべきサインや受診したほうがいい症状まで分かりやすくお伝えします。自分の体を大切にしながら、安心して毎日を過ごせるようにしていきましょう。

低用量ピル服用中にピンクのおりものが出ることはある?

結論として、低用量ピル服用中にピンク色のおりものが出ることはあります。これは、おりものに不正出血が少量混ざっているサインであり、多くの場合は体がピルに慣れるまでのマイナートラブルです。ただし、子宮頸がんやクラミジアといった感染症が原因となっている可能性も考えられるため、注意が必要です。
また、正しくピルを服用していても妊娠の可能性はゼロではありません。そのため、妊娠の影響によっておりものが増えたり、不正出血が混ざってしまう場合も考えられます。異臭やかゆみがあるなど、少しでも不安な症状がある場合は早めに医師に相談しましょう。

ピンクのおりものになる「不正出血」とは

前述したピンク色のおりものになる原因の不正出血とは、生理期間ではないのに、子宮や腟など性器から出血することを指します。
もしおりものに不正出血が混ざってピンク色の状態が続く場合は注意が必要です。子宮がんやクラミジア頸管炎、子宮頸管ポリープなど、何らかの病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せずに早めに婦人科を受診しましょう。

おりものとは

そもそも「おりもの」とは、女性の身体の中から“下りてくるもの”が由来とされていて、子宮、膣、汗腺から排出される酸性の分泌物のことをいいます。多くの場合、粘り気のある液体です。

役割

おりものには3つの大きな役割があります。

1つ目は「自浄作用」です。大腸菌やカンジダ真菌などの雑菌の繁殖を抑える働きがあります。

2つ目は「粘膜を守る」役割です。女性ホルモンであるエストロゲンの作用により、膣内が酸性となり、膣内部のうるおいを保ちます。

3つ目は「受精の手助けをする」役割です。排卵期にはおりものがゼリー状になり、精子がスムーズに到達するのをサポートします。

このように、おりものは女性の身体にとって必要な役割を担っているのです。

生理周期での変化

おりものは、生理周期で量や状態が変化します。これは、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響によるものです。生理周期ごとのおりものの量や状態は以下のとおりです。

・卵胞期前半:生理直後である卵胞期前半は、残った経血とおりものが混じり茶色っぽい色をしています。量は少なく、さらっとしているのが特徴です。

・卵胞期後半:排卵期に向け、おりものの量は増えてきます。

・排卵期:排卵期はおりものの量がもっとも多くなる時期です。透明で水っぽく、少し粘度があります。

・黄体期:黄体期になるとおりものの量が減っていきます。白く濁った色をしていて、粘度があり、ドロっとしています。

・生理前:生理前はおりものの量が再び増える時期で、臭いも強くなっていきます。黄体期同様に白く濁った色をしていて、粘度がありドロっとしています。生理が始まる数日前から、血液が少量混じることもあります。

年齢での変化

年齢によってもおりものは変化します。これは、女性ホルモン(エストロゲン)の量と深い関りがあるためです。年齢ごとのおりものの量や状態は以下のとおりです。

・初潮~10代:エストロゲンの分泌が高まる時期であることから、初潮を迎えるころからおりものの量が徐々に増えていきます。

・20代~30代前半:エストロゲンの分泌がピークを迎える時期で、おりものの量もピークに達します。生理やおりもの周期が安定しやすい時期でもあります。

・30代後半:30代後半になると、エストロゲンの分泌は徐々に減り始めます。おりものの変化などの自覚症状を感じることはまだ少ない年代です。

・40代~:エストロゲンの分泌が減少していきます。40代後半になればエストロゲンが一気に減り、生理が不規則になるなどの身体の症状が現れます。おりものの量は減っていき、周期も不規則になります。

・閉経後:閉経後は、エストロゲンがほとんど分泌されません。そのためおりものの量も一気に減ります。おりものには自浄作用がありますが、量が減るため膣内が乾燥しやすくなることもあります。

・妊娠時期:妊娠しているときはおりものの量が増えます。これは、胎児を細菌から守るために女性ホルモンが分泌され続けているためです。

低用量ピルを飲んでいるときにピンクのおりものが出る理由

ピルを服用していても、ピンクのおりものが出ることはありますが、多くの場合、ピルによっておりものの量が安定したり、トラブルが軽くなったりするのが一般的です。
しかし、子宮がんや細菌、カンジダなど病気が原因のおりものは、ピルの服用によって改善することはありません。ここでは、ピルを飲んでいるときに茶色やピンクのおりものが出る主な理由についてわかりやすく解説します。

低用量ピルの副作用によるもの

低用量ピルは体内のホルモンバランスを整える薬です。体内のホルモンバランスが変化することで、茶色いおりものや出血が出ることがあります。これは低用量ピルの副作用のひとつです。
服用しはじめた時期は副作用が出やすいですが、多くの場合ピルを服用し続けることで、2〜3か月ほど経てば副作用もおさまっていきます。

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消退出血が原因

低用量ピルを休薬している期間は、消退出血(生理)が起こるため、このとき少量の出血がおりものに混じることがあります。多くの場合、この消退出血はピルの作用による自然な現象のため、過度な心配はいりません。
しかし、休薬期間に出血がまったくなかった場合は妊娠の可能性も考えられますので、必ず妊娠検査薬を使用して確認しましょう。

ピルの飲み忘れによる不正出血が原因

低用量ピルを飲み忘れると、体内の女性ホルモン量が減少することがあります。それにより不正出血が生じ、おりものに血が混じることがあります。
ピルの飲み忘れは不正出血が起こることがあるため、飲み忘れないように注意してください。

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妊娠の可能性

妊娠超初期は、女性ホルモンの影響でおりものの量が多くなります。また、受精卵が子宮内膜に付着する際に、着床出血という少量の出血が起こる場合があり、おりものに混じって茶色っぽいおりものやピンク色のおりものが出ることがあります。

膣内が傷ついている

性行為や自慰行為による強い摩擦、膣内の検査などによって物理的に膣内が傷つくと、出血することがあります。これにより、血が混じったおりものが出ることがあります。膣内が傷つくことがあったかどうか確認しましょう。

ピンクのおりもの以外で注意が必要な場合の特徴

おりものは生理周期や年齢によって変化しますが、その状態によっては病気が潜んでいる可能性もあります。ピンク色のおりもの以外にも、普段と違うと感じたら注意が必要です。ここでは、特に感染症や病気のサインが疑われる、注意したいおりものの特徴について見ていきましょう。

白くポロポロとしている

おりものの状態が白くポロポロとしていて、カッテージチーズや酒粕のような状態に変化し、外陰部のかゆみがある場合は膣カンジダ症が疑われます。
これは、体内の常在菌バランスが崩れることでカンジダ菌が増殖し、陰部のかゆみや炎症を引き起こす病気です。免疫力が低下しているときや妊娠中に発症しやすく、症状に気づいたら早めに婦人科を受診しましょう。

黄色っぽい色で泡がまじり、悪臭がする

おりものの状態が黄色っぽい、または黄緑っぽい色をしていて、が混じっていたり、悪臭がする場合は要注意です。これらの状態に加えて、外陰部のかゆみも伴う場合は膣トリコモナス症が疑われます。
これは「膣トリコモナス原虫」という微生物による感染症です。強いかゆみや痛みが生じ、無症状の場合もありますが、女性の場合、不妊症や子宮内膜炎のリスクを高める可能性があるため、気づいたらすぐに婦人科を受診し、治療を始めましょう。

白っぽい、もしくは黄色っぽく、膿状

おりものの状態がっぽい、または黄色っぽい色をしていて膿状である場合や、腹痛や下腹部痛・発熱がある場合も注意が必要です。

こういった状態のおりものが見られる場合は、淋菌感染症性器クラミジア感染症細菌性腟症非特異性膣炎骨盤腹膜炎などが考えられます。

量が多い

おりものの量がいつもより明らかに増え、下着やおりものシートでカバーしきれない場合は注意が必要です。おりものは排卵期などに自然に増えますが、異常に量が多いときは細菌性腟炎、カンジダ腟炎、トリコモナス腟炎などの性感染症が疑われます。
また、ごくまれに子宮頸がんや子宮体がんが原因で量が増えることもあります。普段と比べて異常だと感じたら、早めに婦人科を受診して原因を調べましょう。

低用量ピル服用中のおりもの、こんなときには病院へ

低用量ピルを飲んでいると、ホルモンの影響でおりものの状態が変わることがあります。「量が減った」「色が違う」と不安になる方も多いでしょう。通常のおりものの変化は心配いりませんが、中には病気や感染症のサインが隠れている場合もあります。以下のような症状の場合は、早めに病院へ行きましょう。

茶色っぽいおりものや鮮血が混じったおりものが出た場合

低用量ピルを飲み始めてから1ヶ月以上経過しているのにもかかわらず、出血が混じった茶色っぽいおりものが出る場合は病院を受診しましょう。

また鮮血が混じったおりものが出る場合は、細菌感染やがん・ポリープの可能性も考えられます。早めに医師に相談するようにしてください。

腰痛や腹痛を伴う場合

茶色っぽいおりものが出ていることに加え、慢性的に腰痛や腹痛を伴う場合、必ず病院を受診してください。これは、不正出血の原因がピルのマイナートラブルではなく、子宮筋腫やクラミジア感染症、がんなどの婦人科疾患が隠れている可能性があるためです。

色や臭いなど異常を感じた場合

おりものの色が白っぽい、黄色っぽい、あるいは強い臭い、量が多いなど、いつもと違うと感じた場合も病院を受診しましょう。これは、感染症などの病気が潜んでいるサインである可能性があります。

まとめ

ピルを服用していると、おりものや出血の状態に変化が出ることがあります。ピンク色のおりものは、ピルに体が慣れる過程で起こるマイナートラブル(不正出血)であることが多いですが、同時に子宮頸がんや感染症が隠れているサインの可能性もあります。また、ピル服用中でも妊娠の可能性はゼロではありません。

もし、おりものの色や性状が白くポロポロしている、黄色っぽく悪臭がする、量が異常に多いといった変化を感じたら、それはピルのせいではなく、感染症や病気のサインかもしれません。
「おかしいな?」と感じたときは、決して自己判断せずに、必ず婦人科を受診しましょう。大切なのは、変化に気づいたときにそのまま放置しないことです。安心して過ごせる毎日を、一緒にかなえていきましょう。

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監修者

淀川キリスト教病院 医長
柴田 綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し、2013年より淀川キリスト教病院で産婦人科診療を行う。 2022年よりmederi株式会社において、mederi主催のセミナーやイベントに登壇、mederi magazineの記事監修を担当などを担当。

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