ピルとビタミンCを併用すると血栓ができる?気になる噂の真相を解明

ピル
更新日:2024.10.25

ピルとビタミンCを併用すると血栓ができやすくなるという噂を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。果たして、本当なのか知っておきたいところです。また、他にも併用に注意が必要な成分があるのか気になりますよね。この記事ではピルとビタミンCの併用や、その他の成分との飲み合わせについて解説していきます。

ビタミンCとは?

ビタミンCは、がんの予防や老化防止に効果があるとされている水溶性の栄養素です。食材だと柑橘類や、ブロッコリー・イチゴ・イモなどの野菜に含まれています。サプリメントの形で販売されているほか、シミを抑える効果があるため化粧品にも含まれていることがあります。

血栓症とは?

ピルには他の薬と同じようにいくつかの副作用がありますが、そのひとつに血栓症のリスク増加があります。これは、ピルに含まれるエストロゲンという女性ホルモンが血液凝固作用を持っていることによって起こるものです。血栓症になると、片方の足の痺れや腫れ、激しい頭痛、意識障害などの症状が見られます。最悪の場合、血液が届かなくなった体の部位が壊死したり、そこからの細菌感染が起きたりします。上記の痺れや頭痛など、血栓症の初期症状が見られた際には、ピルの服用を中断し病院を受診することが必要です。

ピルとビタミンCの併用における血栓リスクは無い

重大な症状をもたらす可能性がある血栓症ですが、ピルとビタミンCの併用によって血栓ができやすくなることはないとされています。市販のサプリメント程度であれば、特に問題なくピルと併用することができます。「ピルとビタミンCを併用すると血栓ができやすくなる」という噂は、違うことがわかりました。

ビタミンC美容液なども併用可能

最近ではビタミンCが含まれたシートパックや、塗るタイプのビタミンC美容液などがありますが、これらの美容品はピルと併用して問題ありません。これ以外に、ビタミンCが含まれた目薬や便秘薬などもピルと併用して大丈夫です。

柑橘類の飲食には注意が必要

ビタミンCサプリメントや美容液などはピルと併用できるとお伝えしましたが、柑橘類の飲食には注意が必要です。特にグレープフルーツなどにはフラノクマリン類という成分が含まれており、この成分がピルの効果を強め、副作用も起きやすくさせる可能性があります。グレープフルーツジュースなども避けるようにしましょう。
柑橘類は、ピルに限らず他の薬でも効果が強まる可能性があるため、飲み合わせには十分注意が必要です。

一方で、ピルの服用中に飲食しても問題ない種類もあります。以下で、ピル服用中に食べない方が良い柑橘類と、食べても問題ない柑橘類をそれぞれ紹介します。

ピル服用中に食べない方が良い柑橘類

以下の果物には、果肉や果皮にフラノクマリン類が含まれているため、ピル服用中の飲食は控えるようにしましょう。

・グレープフルーツ
・夏ミカン
・金柑
・伊予柑
・ハッサク
・ダイダイ
・ブンタン
・ライム

ピル服用中に食べても問題ない柑橘類

以下の果物には、フラノクマリン類がほとんど含まれていないとされているため、ピル服用中であっても飲食において問題ないとされています。※

・レモン
・温州ミカン
・カボス
・ネーブル
・バレンシアオレンジ
・マンダリンオレンジ
・日向夏
・伊予柑
・デコポン
・柚子
・スダチ

※品種や産地により異なる場合もあります。

ピルとの併用において注意が必要なもの

ここまでピルとビタミンCとの併用について解説してきましたが、ピルとの併用に注意が必要なものは他にもいくつかあります。飲み物、サプリメント、薬の3つに分けて説明していきます。

飲み物

飲み物においては、以下のものに注意が必要です。

・アルコール
→ピルよりも先に肝臓で分解されるため、ピルの分解に時間がかかって血中濃度が高くなり、効果や副作用が本来よりも強く出てしまう場合があります。

・炭酸飲料
→炭酸飲料は、中に含まれる気泡がピルの吸収に影響を与えるとされているため注意が必要です。

・カフェイン飲料
→コーヒーやエナジードリンクなどのカフェイン飲料は、ピルの成分吸収を阻害してしまうことがあり、ピルの効果が弱まる可能性があります。

サプリメント

サプリメントで注意が必要なのは、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)です。ピルの効果を弱め、本来の避妊効果が得られなくなってしまう可能性があります。市販のサプリメントのほか、ハーブティーにも含まれている場合があるため、購入時にはパッケージの表示をよく確認するようにしましょう。

ピルとの併用に注意が必要な薬は多くあります。
まず一部のC型肝炎の治療薬は、肝機能異常が起きる可能性があるため、ピルと併用してはいけません。また、抗てんかん薬、アセトアミノフェンが含まれる解熱鎮痛剤、血糖降下薬、副腎皮質ステロイドなどは、ピルの効果に影響を与えたり、逆にピルによって薬の効果が変わってしまったりすることがあります。
これ以外にもピルとの併用に注意が必要な薬はいくつかあるため、ピル服用中に新たに薬の処方を受ける際は、ピル服用中の旨を申告して、医師や薬剤師の指示を仰ぐようにしてください。

また、併用注意な薬については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

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まとめ

今回の記事では、ピルとビタミンCの併用によって血栓ができる、という噂の真相について解説してきました。結論、これらの併用で血栓ができやすくなるといったことはなく、ビタミンCサプリメントや美容液などであればピルと併用することができます。ただし一部の柑橘類は、フラノクマリン類という成分の影響でピルの効果が強まる可能性があるため、ピルの服用中に食べる際には柑橘類の種類に注意するようにしましょう。

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1995年広島大学医学部卒。広島大学医学部産科婦人科学教室へ入局し、2010年に成城松村クリニックを開院。 『10年後もきれいでいるための美人ホルモン講座』(永岡書店)、『女性ホルモン 美バランスの秘訣』(大泉書店)をはじめとする多くの著書を執筆。

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