ピルは不妊症につながる?不妊治療でピルを使う理由も解説!

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更新日:2024.11.12
ピルは不妊症につながる?不妊治療でピルを使う理由も解説!

ピルを始めたいと思っても、ピルを服用すると不妊になるという噂があり、将来のことを考えると難しいと感じている人もいるでしょう。ピルを服用することで、本当に不妊になるのでしょうか?この記事では、ピルと不妊の関係や将来的な妊娠への影響について解説していきます。

ピルの服用は不妊症につながる?

結論からお話しすると、ピルを服用しても不妊症につながることはありません。
ピルを服用している期間は、排卵が止まりほとんど妊娠しなくなります。
このことから、長期にわたってピルを服用すると、服用をやめた後も妊娠しにくくなるのではないかと心配する方も多いのではないでしょうか。
しかしピルを服用していた人としていなかった人で、将来的な妊娠の可能性に違いはないことがわかっています。ピルをかつて飲んでいた、また現在飲んでいるという人も、服用による不妊症の心配はないため、安心して大丈夫です。

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妊娠を希望する場合は、ピルは服用しない方がいい?

もちろんピルの服用中は妊娠する可能性がかなり低いため、妊娠を望むのであれば服用を中止する必要があります。
低用量ピルの服用を中止すると、数日で生理に似た消退出血が起こり、およそ2か月後に通常の生理が再開され、3か月から半年ほどの時間をかけて元の生理周期に戻っていきます。
妊娠するタイミングが生理が起こる前に訪れるケースがあり、早い人であればピルをやめてから生理が来ないまま妊娠することもあります。
しかし一般的に妊娠が可能になるのは、排卵が再開され生理が起きてからです。
1年後には8割の人が妊娠したという調査結果もあり、ピルを中止することで妊娠できる身体の状態に戻ります。
ピルをやめて妊娠可能になるまでは、おおよそ3か月かかります。服用していた薬剤によってばらつきはありますが、服用を中止してから3か月以内にほぼ90%以上の方が排卵を再開するといわれています。
しかし、ピルを服用する前から無月経だったり、無排卵、生理不順などの方は、これよりも時間がかかる可能性もあります。また、病院への受診が必要となる場合もあります。

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妊娠を希望する場合は、いつピルの服用をやめる?

低用量ピルを飲んでいる間は、ほぼ100%の確率で妊娠しないため、妊娠を希望する場合にはピルの服用をやめる必要があります。ピルの服用中止後、約90%の人は3か月以内に生理や排卵が再開し、今まで通り妊娠が可能な状態になるとされています。
また、これまでに低用量ピルと妊娠の関連について調べた複数の研究によれば、低用量ピルの服用をやめて計画妊娠を行った女性のうち、服用中止後1周期以内に妊娠した人の割合は21.1%、1年以内に妊娠した人の割合は79.4〜83.1%でした。
そのため個人差はあるものの、不妊治療なども含めた適切な妊活を行えば、およそ8割の人はピル服用中止後1年以内に妊娠できると考えられます。

(参考文献)
Rate of pregnancy after using drospirenone and other progestin-containing oral contraceptives(2009)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19701043/
Return of fertility after discontinuation of contraception: a systematic review and meta-analysis(2018)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6055351/

低用量ピルは不妊治療に効果がある?

低用量ピルは、基本的には不妊治療に効果はありません。
ですが、採卵周期や胚移植周期を調整する目的で、不妊治療でも使用することもあります。(LEPの場合は保険適用になります)
低用量ピルは、避妊や子宮内膜症など女性の病気の治療に用いられます。妊娠を防ぐ効果があるため、低用量ピルの服用中は妊娠の可能性は限りなく低くなります。
ただし不妊の原因が子宮内膜症や子宮筋腫にあると判断された場合は、低用量ピルによる薬物療法が不妊症例の妊孕性向上に寄与しないということになります。

ピルによって卵巣を休ませて質の良い卵胞を採取できる

不妊治療においてピルを服用すると、卵巣を休ませることができると考えられています。
通常であれば毎回の生理が終わると卵胞は排出されますが、排卵を促進する薬を使った場合などは、排出も消失もしなかった遺残卵胞(いざんらんぽう)というものが卵巣内に残ってしまうことがあります。遺残卵胞があると次の卵胞の産生が上手くいかなかったり、質の悪い卵胞ができてしまったりするため、不妊治療においては遺残卵胞が消えるまで一度、体外受精をお休みすることが多いです。
採卵後に低用量ピルを飲むことで、この期間に卵巣をしっかり休ませることができるため、次の採卵時に質の良い卵胞を採取できる可能性が高まります。

低用量ピルに関するよくある質問

低用量ピルはどんな薬?

低用量ピルには黄体ホルモンと卵胞ホルモンの2つの女性ホルモンが含まれており、排卵を抑制し子宮内膜を薄く保つことで避妊を行ったり、生理痛を緩和させたりする目的で使用されます。
またホルモンバランスを整えることからPMSの改善にも用いられるほか、種類によっては肌荒れにも効果があるものもあります。

どんな副作用がありますか?

低用量ピルの副作用には以下のようなものがあります。

・吐き気
・めまい
・頭痛
・むくみ
・乳房の張り
・不正出血
・血栓症のリスク

これらの症状は主にピルの飲み始めに起こり、内服を続けていくと解消されていきます。

飲み忘れたらどうなりますか?

ピルを飲み忘れたのが1日だけであれば、気がついた段階で1錠服用し、その日のいつも服用する時間にもう1錠服用します。
飲み忘れてしまったのが2日以上になる場合は、生理(消退出血)を待ってから服用を再開します。
飲み忘れが1日(1錠)のみであれば、追加の避妊方法は必要と無いとされていますが、同じ周期に飲み忘れがない場合に限るので注意しましょう。

授乳中に服用できますか?

授乳中のピルの服用には注意が必要です。
赤ちゃんにも影響が出ることがあります。
また産後は血栓症のリスクが従来よりも高くなるため、ピルの服用はできません。
ピルの服用の再開は産後から6か月以降、非授乳婦の方は他に血栓リスクがなければ21日以降(ある場合は42日以降)で内服を再開できるとされているので、医師の判断の元で服用を再開してください。

副作用が出たら服用を中止しますか?

副作用の内容によって対応が変わります。
ピルを飲み始めて間もないうちは、不正出血や吐き気などの副作用が起こりやすい時期です。3か月ほど経つと、徐々に副作用も起こりにくくなります。
ただし手足のしびれや激しい胸の痛みなど、血栓症の前兆となる症状が現れた場合は服用を中止し、速やかに産婦人科または内科を受診してください。

避妊のためにはどのピルを選ぶべきですか?

低用量ピルには保険適用されるかどうかで、大きく2つの種類に分かれます。避妊を目的とするOCと、治療を目的とするLEPと呼ばれるものです。避妊を目的とする場合は基本的にOCが処方されますが、病気の治療を目的とする場合は医師の判断の上でLEPが処方され、副次的に避妊効果が得られます。

いつもと飲むタイミングがずれたら効果がなくなりますか?

低用量ピルは毎日決まった時間に服用することが望ましいです。タイミングがずれたり飲み忘れたりした場合、その時点から1日経過していなければ、気づいたタイミングで1回分を飲みましょう。24時間以上ずれた場合には、前日に飲むはずだった分と当日分を合わせて2錠を飲みましょう。翌日からは通常通りの服用を続けます。2日続けてピルを飲み忘れてしまった場合は、気づいたタイミングで飲み忘れた分の2錠を飲みましょう。その後は通常通りの服用を続けます。
また、飲み忘れが1日(1錠)のみであれば、追加の避妊方法は必要と無いとされていますが、同じ周期に飲み忘れがない場合に限ります。

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ピルを服用しても不妊にならない

ピルが妊娠に与える影響について解説してきました。長期間ピルを服用していたとしても、不妊となる可能性は低く、ピルの服用を中止すれば徐々にもとの身体の状態に戻ります。
個人差はあるものの、2か月ほどで生理が再開し、3か月ほどで妊娠ができるようになってくる方が多いですが、不安な場合は産婦人科を受診し医師に相談しましょう。
またピル自体には不妊を治療する効果はありませんが、子宮筋腫や子宮内膜症の治療に使用されることもあります。ただし不妊の原因が子宮内膜症や子宮筋腫にあると判断された場合は、低用量ピルによる薬物療法が不妊症例の妊孕性向上に寄与しないということになります。
ピルは医師から処方を受ける必要があります。最近ではオンライン処方も増えてきているので、自分に合ったサービスで上手に利用しましょう。

監修者

産婦人科専門医、がん治療認定医、mederiドクター
mederiドクター
産婦人科専門医、がん治療認定医 女性のヘルスケアアドバイザー(女性医学会認定)、F U S E certificated personnel(米国内視鏡外科学会認定)、JOHBOC研修終了(日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構) 大学病院に入局し高度周産期センター、婦人科腫瘍専門施設で研修・修練後、総合病院で良性疾患の腹腔鏡手術や、不妊治療、女性内分泌・更年期障害など幅広く女性診療を行う。米国への留学を経て、現在はmederiドクターとして、メデリピルのオンライン診療や体調相談を担当している現役産婦人科医。

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