ピルのむくみの原因とは?いつまで続く?解消方法について解説

ピル
更新日:2024.10.07

低用量ピルを服用することで、むくみ、眠気や吐き気などのマイナートラブルが起こることがあります。この記事では、ピルの服用によって起こるむくみの原因と、むくみ以外に現れる症状について詳しく解説していきます。

ピルの服用でむくむ原因とは

ピルを服用して「なんか太ったかもしれない」なんて感じたことありませんか。もしかしたら、それは「むくみ」によるものかもしれません。低用量ピルを服用すると、むくみなどの副作用が起こることがあります。

黄体ホルモンの性質

黄体ホルモンには、排卵後に子宮内膜を厚く保って妊娠に向けた準備をする働きがあります。その過程で、水分や栄養分を溜め込もうとする性質を持っています。低用量ピルにはこの黄体ホルモンが含まれているので、服用を始めてしばらくの間は、むくみを感じることがあるのです。脂肪を溜め込むような性質はないので、太ったように思えても水分でむくんでいることが考えられるので、安心して服用してくださいね。

血栓症の初期症状

低用量ピルの服用で多くの方が心配に思うのが「血栓症」です。血栓症とは、血管の中で血が固まってしまい、塊が血流をせき止めてしまう病気です。血栓症の発症率として、ピルを飲んでいない人は、年間1万人に1〜5人に対して、ピルを飲んでいる人は1万人に3〜9人といわれています。ピルの服用により、リスクは高くなるものの、その差はわずかであることが分かります。

デスクワークなどで長期間同じ姿勢だったり、水分不足になったりすると血栓症のリスクが高まる可能性があります。ピル服用中はこまめな水分補給と適度なストレッチなどで血流を促すように意識しましょう。

むくみが続く期間とは?

低用量ピル服用開始から1~2ヶ月は、ホルモンバランスを調整している期間になるため、むくみなどの副作用の症状が続くことがあります。副作用の多くは、飲み続けることで2~3ヶ月で自然に落ち着くことが多いです。しかし、症状が強くでたり、飲み始めから3ヶ月経過しても症状が治まらないようであれば医師に相談しましょう。

むくみ以外の症状

むくみのほかにも、様々な副作用が起こる可能性があります。どんな症状があるのか、それぞれ詳しく解説していきます。

不正出血

不正出血とは、生理ではないタイミングで出血する状態のこと。低用量ピルを初めて使った人の約30%は不正出血を経験するといわれており、決して珍しいことではありません。

不正出血は、個人差はありますが、1日~2,3週間にわたって続きます。そのため、ピル服用中の不正出血は珍しいことではありません。
ピルの服用による不正出血の場合、偽薬や休薬期間の間に自然に止まってきます。

【 対策 】
3ヶ月ほど正しく服用を続けても不正出血の副作用が治まらない場は、子宮がんなど何らかの疾患の可能性もあるため医師に相談しましょう。また、飲み忘れがあると不正出血の原因となるので要注意です。

吐き気

低用量ピルの副作用として、気持ち悪さ、吐き気を感じる人もいます。ただし、体が慣れるまでの一時的なものであることがほとんどです。
低用量ピルを服用した後に嘔吐があった場合、成分が適切な形で吸収されない可能性があるため、副作用には吐き気止めの薬を用いて対処することが望ましいです。目安として、服用から3時間以内に嘔吐があった場合には低用量ピルを1錠分追加で服用することが推奨されています。

【 対策 】
食後や就寝前にピルを飲むようにする
※ 心配な方は、医師と相談して、数日間は吐き気止めと一緒に内服してみましょう。

眠気

約0.1%〜5%未満の割合で眠気の症状が生じる場合があります。低用量ピルに配合されている黄体ホルモンが眠気を引き起こす原因と考えられており、飲み始めた時期に現れやすい副作用のひとつです。また、低用量ピルを飲み始めた時期には体内のホルモンバランスが不安定になり、基礎体温の調整が適切に行えなくなっている場合があります。

【対策】
充分な睡眠を取りづらい場合、日中に20分程度の仮眠を取ることが効果的

気分の落ち込み

低用量ピルの服用後、約0.1%から5%未満の割合で気分の落ち込み、抑うつ症状が表れる場合があります。低用量ピルを服用してから数日後に気分の落ち込み、食欲不振、不眠などの抑うつ症状が表れた場合は薬剤惹起性うつが考えられます。

【対策】
1~2ヶ月程服用を続けても副作用が治まらない場合、処方を受けたクリニックなどの医師に相談

乳房の張り

乳房の張り、痛みが症状として現れる割合は約0.1%から5%未満です。低用量ピルには少量の黄体ホルモンが配合されており、飲み始めた時期には副作用の原因になることがあります。

【対策】
服用を続けても副作用が治まらない場合は、処方を受けたクリニックなどの医師に相談

頭痛

頭痛の症状が現れる割合は約0.1%から5%未満です。体内のホルモンバランスが不安定になることが主な原因であり、飲み始めた時期に起きやすい副作用のひとつです。

【対策】
ある程度の睡眠時間を確保する、肩こりを緩和する、治まらない場合は医師もしくは薬剤師に相談して頭痛薬の使用を検討

下腹部痛

下腹部痛が現れる割合は、約0.1%から5%未満です。体内のホルモンバランスが崩れることが主な原因になっています。

【対策】
服用を続けても下腹部痛が治まらない、生活に影響があるほどの痛みがある場合などには低用量ピル以外が原因の可能性もあるため医療機関に相談

ピルによるむくみを解消する方法とは

ピルの飲み始めに現れるむくみは、むくみ緩和薬を服用する他にもできる対処法があります。以下にて紹介していきます。

最低3ヶ月は服用を続けて様子を見る

低用量ピルの服用開始後にむくみが起きても、3ヶ月は飲み続けることを推奨しています。前述した通り、2~3ヶ月するとピルに体が慣れ、むくみの症状も治まることがほとんどなためです。ただし、片足の痺れやふくらはぎの痛みなどがある場合は、単なるむくみではなく血栓症の初期症状の可能性もあるので、医師に相談しましょう。

飲酒や塩分の摂取を控える

塩分過多の食事やアルコールの飲みすぎは、むくみの原因となります。塩分を摂りすぎたと感じたときは、意識的に水をこまめに飲むなどして血中の塩分濃度を下げましょう。また、むくみを予防するために、ストレッチやマッサージをすることも有効です。お風呂上りにゆっくりマッサージをしてリフレッシュするのも良いでしょう。

ピルの種類を変更する

3ヶ月以上ピルを服用してもむくみが治まらない場合は、ピルの種類が合っていない可能性があります。その場合は、ピルの種類を変更することで緩和されることがあります。低用量ピルは含まれている黄体ホルモンの種類や開発時期によっていくつかの種類に分類されているので、自分に合うピルが見つかるはずです。まずは医師に相談してみましょう。

 

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監修者

成城松村クリニック院長
松村 圭子
1995年広島大学医学部卒。広島大学医学部産科婦人科学教室へ入局し、2010年に成城松村クリニックを開院。 『10年後もきれいでいるための美人ホルモン講座』(永岡書店)、『女性ホルモン 美バランスの秘訣』(大泉書店)をはじめとする多くの著書を執筆。

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