生理は女性にとって健康状態のバロメーターでもあります。
生理の基礎知識や、生理中でも快適に過ごすためのセルフケアをご紹介。
過多月経のセルフチェック項目と生理の量が多い目安、受診の判断基準
「経血量が多くて不安…これって過多月経かな?」といったお悩みはありませんか?過多月経のサインはナプキンの交換頻度や血の塊の有無、貧血症状といった体調の変化からセルフチェックで確認できます。経血量は人と比べにくく、多いのか少ないのかを自分では判断しづらいですよね。
この記事では、正常な経血量の目安や過多月経の原因、病院へ相談する基準を解説します。気になるサインがないか、落ち着いて確認してみてください。
もくじ
過多月経のセルフチェックリストで生理の量が多いサインを確認
経血量そのものは量りにくいため、過多月経のサインは交換頻度や血の塊の有無、貧血症状といった体調の変化から確認します。次のチェックリストの項目に1つでも当てはまる場合は、過多月経の可能性があるため、直近の生理の様子を振り返りながら確認してみましょう。自分では日常になっていて多さに気づかないケースもあるため、客観的な目安を知っておくことが大切です。
ただし、チェックリストは受診を考えるための目安で、過多月経かどうかを判断するものではありません。当てはまる項目がなくても、経血量や生理のつらさで困っているなら医師に相談してください。逆に当てはまる項目が多くても、必要以上に不安にならず、まずは早めに産婦人科を受診しましょう。
経血量とナプキンの使い方でみるチェック項目
生理用品の交換頻度は経血量を推し量る手がかりとなるため、使用頻度や漏れがないかをセルフチェックすることが大切です。ほかの方の交換頻度は見えないため比較する機会もなく、多さに気づかないまま過ごしている場合もあります。次のような状態が続いていないか確認してみましょう。
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血の塊と生理の日数でみるチェック項目
血の塊の大きさや生理の長さも、経血量を判断する材料になります。経血が塊になるのは、量が多く体の中で固まってしまうためと考えられています。小さな塊が少し混じる程度なら心配しすぎなくて大丈夫ですが、次の項目に当てはまる場合は気をつけておきましょう。
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貧血症状と日常生活への影響でみるチェック項目
経血量が多い状態が毎月続くと、鉄分が失われて貧血につながることがあるため、体調の変化や日常への影響からセルフチェックすることが大切です。生理そのものより先に、日常のだるさや動悸で気づくケースもあるので、次の項目もあわせてご確認ください。
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iチェックが当てはまったときに考えたいこと
セルフチェックで当てはまる項目があっても、すぐに深刻な病気だと決めつける必要はありません。過多月経の背景には子宮の疾患が隠れていることもあれば、はっきりした原因が見つからないこともあります。子宮の疾患の有無は、問診や超音波検査などを通して医師が確認します。「生理期間中だけのつらさだし…」とつらさや不安を放置せず、一度産婦人科で相談してみましょう。
過多月経とされる生理の量の目安
1回の生理の経血量がおよそ140mLを超える状態を過多月経と呼びます。とはいえ日常生活で経血量を直接測定することは難しいため、生理用品の交換頻度や使用状況に置き換えて把握することが大切です。
正常な経血量と生理期間・生理周期の目安
まず基準となるのが、正常な生理の範囲です。厚生労働省の情報では、次のように示されています。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 生理周期 | 25〜38日 |
| 生理の期間 | 3〜7日 |
| 1回の経血量 | 20〜140mL(個人差あり) |
経血量の上限である140mLを超えると過多月経、生理が8日以上続く状態は過長月経と呼ばれます。経血量と日数の両方が基準から外れることも多く、セルフチェックをする際は両方を見ておくと状態をつかみやすくなります。
※参考:「働く女性の心とからだの応援サイト 月経について」(厚生労働省)
ナプキンの交換頻度に置き換えた量の目安
数値の代わりに使えるのが、生理用品の交換頻度です。昼用ナプキンが1〜2時間ももたない状態や夜用ナプキンを使っても朝までもたず、下着やシーツを汚してしまう場合は過多月経の可能性があります。こうした経血の多い日が2日以上続き、生理用品を替えるために予定を変更せざるを得ないような場合は、我慢せず産婦人科に相談しましょう。
i生理が2日目だけ多いときの考え方
生理2日目は経血量がピークを迎えるため量が多いこと自体は一般的ですが、1〜2時間ごとの交換でも追いつかない場合や大きな血の塊が続けて出る場合は1日であっても過多月経の可能性があります。
ピーク日の急激な出血であっても、毎月重なれば貧血の原因となります。日数ではなく「その日の量に生活が振り回されているか」を基準に考え、つらいときは我慢せず産婦人科で相談しましょう。
過多月経が起こる主な原因
過多月経の主な原因には、子宮の疾患や機能性の不調、体質、避妊具の影響などが挙げられます。原因によって選ばれる治療法が異なるため、まずは検査を受けて背景を確かめることが大切です。ここでは代表的な要因を紹介します。
子宮筋腫や子宮腺筋症など子宮の疾患が背景にある場合
経血量が急に増えた過多月経の背景には、子宮の内側の面積が広がったり子宮が収縮しにくくなったりする子宮の疾患が隠れている場合があります。代表的な疾患としては、主に次のような種類が挙げられます。
- ・子宮筋腫:子宮の筋肉にできる良性のこぶ
- ・子宮腺筋症:子宮内膜に似た組織が子宮の筋層で増える状態
- ・子宮内膜ポリープ:子宮内膜にできる突起状の組織
これらの疾患の有無はご自身で判断できないため、超音波検査などを通して医師に確認してもらう必要があります。気になる症状があるときは自己判断で放置せず、産婦人科を受診して医師に診てもらいましょう。
疾患が見つからない機能性の過多月経
検査で目立った疾患が見つからない機能性の過多月経は、排卵が乱れることで子宮内膜が厚くなりすぎ、剥がれ落ちる際の出血量が増加するために起こるとされています。思春期や更年期のように排卵が安定しにくい時期に起こりやすく、体質の問題として片づけられるものではありません。疾患が存在しない場合であっても経血量を抑える治療の対象となることもあるため、つらさを我慢せず産婦人科へご相談ください。
血が止まりにくい体質が関係する場合
生まれつき血が止まりにくい体質が関わっている場合は、子宮からの出血が抑えにくく、思春期からずっと過多月経が続くことがあります。次のような心当たりがある場合は、診療時に医師に伝えてみてください。
- ・子どもの頃から鼻血が出やすい
- ・歯ぐきからの出血が止まりにくい
- ・ぶつけた覚えがないのにあざができる
- ・抜歯や手術のときに出血が続いた
- ・家族にも出血が止まりにくい方がいる
子宮内避妊具の使用など、そのほかの要因
過多月経を引き起こす要因には、銅付加子宮内避妊具(IUD)の使用や甲状腺の働きの乱れ、血液をさらさらにする薬の服用なども挙げられます。
一方で、同じ子宮内装着具であってもプロゲスチン(黄体ホルモン)を放出するIUS(子宮内システム)は、経血量を減らす効果が期待できます。装着具や薬の種類によって影響が異なるため、現在服用中の薬や使用中の避妊具がある方は受診の際に医師へ伝えておきましょう。
更年期に生理の量が増えることがある理由
40代以降に経血量が増えるのは、閉経に向かうホルモンの変化が関わっていると考えられています。更年期の変化と年齢のせいだけで片づけず、一度は産婦人科で確認するようにしましょう。理由と注意したいサインを見ていきましょう。
40代以降に経血量が変化しやすい背景
40代以降に経血量が変化しやすい背景には、更年期が近づくことで排卵をともなわない生理周期が増えることが挙げられます。排卵がないとプロゲステロン(黄体ホルモン)が十分に分泌されず、エストロゲン(卵胞ホルモン)の作用が強い状態が続き、子宮内膜が通常よりも厚くなり、剥がれ落ちる際の経血量が増えることがあります。
また、生理周期が短くなったり長くなったり、量が多い月と少ない月を繰り返したりするのもこの時期に見られる特徴的な変化です。
年齢による変化と考えず相談したい症状
40代以降は子宮筋腫や子宮腺筋症、早期発見が望ましい子宮体がんなどの疾患が見つかりやすい年代であるため、気になる症状がある場合は単なる年齢の変化と考えず産婦人科へ相談することが大切です。
生理と生理の間に出血がある場合や、閉経したはずなのに出血が見られた場合、経血量が急激に増えたといった変化がある際は注意が必要となります。更年期だからとご自身で判断して様子を見続けるのではなく、早めに受診して原因を確かめてみましょう。
過多月経で産婦人科を受診する際に知っておきたいこと
受診の判断に迷ったときは、経血量そのものより生活への影響で考えると分かりやすくなります。立ちくらみや動悸がある場合、昼用ナプキンが1時間もたないといった場合は、生活への影響が大きいため、早めに産婦人科を受診しましょう。安心して診療に臨むためにも、受診の流れや準備をあらかじめ確認しておきましょう。
早めの受診をすすめたい症状
次のような症状があるときは、次の生理を待たずにご相談をご検討ください。
- ・昼用ナプキンが1時間もたない状態が続く
- ・レバーのような大きな血の塊が繰り返し出る
- ・生理が8日以上続く、または経血が止まらない
- ・立ちくらみ、動悸、息切れ、強い倦怠感がある
- ・生理のたびに仕事や学校を休んでいる
とくに貧血の症状があるときは、鉄分が不足している状態が長く続いている可能性があります。放っておくと日常の活動にも影響するため、早めに受診するようにしましょう。
受診時に伝えるとスムーズな情報
受診時には直近の生理開始日や生理の日数、ナプキンの交換頻度、血の塊の有無を伝えることで、医師が過多月経の状態をスムーズに把握しやすくなります。分かる範囲で問題ありませんが、スマートフォンの生理管理アプリの記録をそのまま提示する方法も便利です。事前にお伝えしたい情報を整理しておくことで、落ち着いて受診しやすくなります。
産婦人科で行われる主な検査
産婦人科では過多月経の背景にある子宮の病気や貧血の程度を調べるために、症状や年齢を踏まえて問診や内診、血液検査などを組み合わせて行います。主な検査内容は次のとおりです。
- ・問診:生理の状態、経血量、既往歴、服用中の薬の確認
- ・内診、経腟超音波検査:子宮筋腫や子宮腺筋症などの有無を確認
- ・血液検査:貧血の程度や血液が固まる働きを確認
- ・子宮頸がん検査、子宮体がん検査:必要に応じて実施
どの検査を実施するかは医師が判断します。内診に不安がある方は受付や診療時に伝えると配慮してもらえることもあるので、ためらわずに相談してみましょう。
過多月経の主な治療法
過多月経の治療法は、大きく分けて薬で経血量を抑える方法と、原因となる疾患に対する手術の2つがあります。疾患が見つからない場合であっても、薬による治療を受けられます。どの方法が合うかは、検査結果や年齢、妊娠の希望をふまえて医師が判断します。
どのような治療法があるのか、それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。
低用量ピル・超低用量ピルによる治療
経血量が多い状態に対してLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)が用いられるのは、子宮内膜が厚くなりすぎるのを抑えて経血量の減少や生理痛の軽減、生理周期の安定が期待できるためです。
以下のような副効用があり、月経困難症の治療として処方される場合には保険が適用されることもあります。

ただし、血栓症の既往がある方や一定の条件に当てはまる方は服用できない場合があります。服用中に以下の血栓症の兆候とされる症状が現れたときは、服用を中止して速やかに受診してください。

子宮内システム(IUS)による治療
子宮内システム(IUS)は、子宮内に挿入した器具からプロゲスチン(黄体ホルモン)を徐々に放出させて子宮内膜の増殖を抑えることで、経血量の減少が期待できる方法です。一度装着すると数年間にわたって効果が持続するため、毎日の薬の服用を継続することが難しい方にとっても有効な選択肢の1つです。
適応できるかどうかは診療を行う医師が判断し、装着や取り出しは医療機関で行います。なお、装着後に不正出血が続くことがあります。
止血剤や鉄剤などの薬による治療
止血剤による治療は生理のときだけ服用して出血量を抑える方法であり、女性ホルモンへ作用しないため妊娠を希望している時期であっても使用しやすい点が特徴です。
また、貧血を伴う場合は鉄剤を用いて不足している鉄分を補給します。ただし、鉄剤自体は経血量そのものを減らす薬ではないため、貧血の改善と並行しながら経血量を抑える治療や根本原因への対応を検討していくことが大切です。
手術による治療
子宮筋腫や子宮内膜ポリープが過多月経の背景にある場合は、症状の程度や妊娠の希望に応じてポリープや筋腫を取り除く手術が選択肢となります。
主に薬による治療で十分に経血量が抑えられない場合に提案されます。最初から前提として手術を行うわけではないため、不安な点や疑問に思うことがあれば遠慮なく主治医へご確認ください。
まとめ
昼用ナプキンが1〜2時間もたない、レバーのような血の塊が出る、生理が8日以上続くといった項目に1つでも当てはまるときは、過多月経の可能性があります。正常な経血量の目安は20〜140mLで、140mLを超えると過多月経と考えられています。
過多月経の背景には子宮筋腫などの子宮疾患やホルモンバランスの乱れ、体質などが隠れている場合があるため、「毎月のことだから…」と放置せず状態を客観的に把握することが大切です。
セルフチェック項目に当てはまる方や生理のつらさでお困りの方は我慢を重ねず、一度早めに産婦人科を受診して医師に相談してみましょう。低用量ピルや超低用量ピル、子宮内システム、止血剤などの選択肢があり、原因に応じて医師が判断します。
過多月経に関するよくある質問
ここでは、過多月経についてよくある疑問をまとめました。
過多月経で「死亡」することってあるの?
過多月経そのものが直接命に関わることはまれですが、出血が続いて鉄欠乏性貧血が進むと心臓への負担や倒れる危険性があるため注意が必要です。
また、背景に子宮の病気が隠れている場合は、その疾患に対する対応も求められます。不安がある場合はひとりで抱え込まず、一度産婦人科で状態を確認しておきましょう。
過多月経って自分で治すことはできるの?
過多月経は食事や睡眠などのセルフケアだけで経血量そのものを減らして自分で治すことは難しいため、医療機関での検査や治療と並行して取り入れる必要があります。鉄分を意識した食事や十分な睡眠は貧血の進行を防ぎ体調を支える助けになりますが、原因そのものを取り除くわけではありません。
原因を確かめて適切な治療方針を決められるのは医療機関です。市販の鎮痛薬でしのぐ日が続いている場合は、一度産婦人科で相談してみましょう。
過多月経のチェックシートってどこかでもらえるの?
過多月経のセルフチェックシートは自治体や医療機関で公開されている場合があり、本記事の項目も受診の目安として活用できます。ただし、どのチェックシートも過多月経かどうかを判断するものではありません。当てはまる項目に印を付けたうえで診療時に医師へ見せると、ご自身の状態をスムーズに伝えやすくなります。
生理の量が多いときは何科に行けば良いの?
生理の量が多いときは産婦人科や婦人科が相談先となり、生理中であっても問題なく診療を受けられます。経血量の多いタイミングをあえて避ける必要はありませんので、無理のない時期に受診してみましょう。
受診時に症状を伝えれば、必要に応じて超音波検査や内診、血液検査などが行われます。受診のハードルが高く感じる場合はオンライン診療で相談する方法もあります。検査が必要な際は対面受診へ案内される場合があります。
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監修者
大学病院に入局したのちに、総合病院で勤務。産婦人科専門医・抗加齢学会専門医を取得。
2021年よりメデリピルにおいてオンライン診療によるピル処方や、mederiが主催するセミナーやイベントに登壇、mederi magazineの監修を担当など幅広く活動。
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