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うつ病が生理前に悪化するのはなぜ?PMS・PMDDとの違いと対処法

生理
更新日:2026.09.25
うつ病が生理前に悪化するのはなぜ?PMS・PMDDとの違いと対処法

「生理前の1週間だけ、うつ症状が悪化する気がする…」
そのような周期的な変化を感じているなら、それはうつ病そのものの悪化だけでなく、生理周期が影響する「PME(月経前増悪)」という状態かもしれません。

この記事では、うつ病の症状が生理前に悪化する理由をはじめ、PMS・PMDDとの見分け方、今日からできる記録や対処法、何科を受診すべきかの目安まで分かりやすく解説します。まずは自分のお悩みと照らし合わせながら読み進めてみてください。

うつ病の症状が生理前に悪化するのはPME(月経前増悪)の可能性がある

生理前になると、もともとあるうつ症状がいつもより強くなる場合があります。こうした状態は「PME(月経前増悪)」と呼ばれます。

「生理前だけつらい」のか、「普段から症状があり、生理前にさらに悪化する」のかによって、考えられる状態が異なります。まずはPMEがどのようなものなのか、基本から見ていきましょう。

生理前に「元からある症状」が一時的に重くなるのが特徴

PME(月経前増悪)は、生理前に新しく病気が発症するのではなく、すでにある不調や病気の症状が生理周期(黄体期)に合わせて一時的に強まる状態を指します 。

背景には排卵から生理開始までの激しいホルモン変化が影響しています。「普段は何とか出勤できているのに、生理前の数日だけ起き上がれない」「些細なことで涙が止まらない」といった悪化が毎月繰り返されるのが典型的なパターンです。

うつ病だけでなく片頭痛や過敏性腸症候群なども強まりやすい

生理前に症状が強まりやすいのは、気分の問題や心の病気だけではありません 。

うつ病や不安症のほか、片頭痛、ぜんそく、過敏性腸症候群(IBS)といった身体的な疾患でも、生理前に症状が悪化すると報告されています。女性ホルモンの変動が、痛みや不調に対する感度を強めてしまうためと考えられています。

生理が始まっても症状がすっきり消えずに残りやすい

PMEの大きな特徴は、生理が始まったあとも症状がすっきり消えない点にあります 。もともとの不調(うつ病など)がベースに存在するため、生理前の上乗せ分のつらさが引いても、元の症状自体は継続するからです。

一方、生理前の時期だけに症状があらわれ、生理が始まると数日で嘘のように和らぐ場合はPMS(生理前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の可能性が高くなります。

生理前になるとうつ症状や落ち込みがひどくなる理由

生理前になると、普段より気分が落ち込んだり、うつ症状が強くなったりすることがあります。その背景には、生理周期に伴う女性ホルモンの変化が関係していると考えられています。ここでは、生理前に心の不調が強まりやすい理由や、考えられる状態について見ていきましょう。

1.女性ホルモンが急激に増減して、心と体に負担がかかるから

生理前にうつ症状が悪化する理由の1つは、短期間で女性ホルモンが急激に増減し、脳や体に大きな負担がかかるためです 。

排卵が終わると、体は妊娠の準備のためにプロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンを増やし、生理直前に向けて一気に減少させます。この短い期間における激しいホルモン量の変化に脳の調整機能が追いつかず、感情のコントロールが難しくなります。さらに、うつ症状がある方の場合は「強い疲れ」「睡眠の乱れ」「食欲の変化」といった身体症状としてもあらわれやすいのが特徴です。

2.気持ちを安定させる脳の物質(セロトニン)が減ってしまうから

生理前に女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、それに連動して気分を安定させる脳内物質「セロトニン」の機能も低下してしまいます 。

エストロゲンにはセロトニンの働きを助ける役割がありますが、生理前にその量が減ると脳内で安心感をもたらすブレーキが効きにくくなるのです。その結果、理由のない強い不安感や激しい落ち込みが生じやすくなります。

3.ホルモンの変化に対する「脳の敏感さ」に個人差があるから

同じようにホルモンが変動していても、全く平気な方もいれば、日常生活に支障が出るほど悪化してしまう方もいます 。これは、ホルモンの分泌量そのものの違いというより、「ホルモンの変化に対する脳や体の反応しやすさ(感度)」に個人差があるためです。

決してあなたの性格や「気の持ちよう」の問題ではなく、体のしくみとして起こっている現象です。「自分だけ甘えている」と責める必要はありません。

PME(月経前増悪)とPMS・PMDDの違い

似ているように見える「PME(月経前増悪)」「PMS(生理前症候群)」「PMDD(月経前不快気分障害」の3つですが、「生理が始まったあとに症状がどう変化するか」と「普段(生理前以外)の状態」に着目すると整理しやすくなります。

まずはそれぞれの言葉の定義と、具体的な違いを見ていきましょう。

PME・PMS・PMDDの違いのイメージ

PMS・PMDDは生理前に症状があらわれ、普段は落ち着いているのが特徴

PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)は、どちらも生理前以外の時期(普段)は症状が落ち着いている点が大きな特徴です 。生理の3〜10日ほど前から症状が出始め、生理が始まると数日で和らいでいきます。

  • ・PMS(月経前症候群):イライラや気分の落ち込みといった心の症状から、頭痛・おなかの張り・むくみなど体の症状まで幅広くみられます。
  • ・PMDD(月経前不快気分障害):PMSの中でも特に気分の落ち込みや激しいイライラなどの精神症状が強く、日常生活や仕事に支障が出る状態を指します。

PMEはもともとの症状が生理前に悪化する

PME(月経前増悪)は、うつ病などのもともとの不調が普段からあり、生理前になると症状がさらに強くなる状態です 。

生理が始まると生理前の悪化は落ち着いていきますが、ベースにある不調は残りやすいのが特徴です。生理前以外は比較的落ち着いていて、生理が始まると症状が和らぐPMSやPMDDとは、この点が異なります。

うつ病とPMS・PMDDを併発することもある

「PMEかPMS/PMDDのどちらか一方だけ」とは限らず、うつ病の治療を受けながらPMSやPMDDを併発している方もいます 。

生理前の落ち込みが「もとのうつ病の悪化(PME)」なのか「独立して起きているPMDD」なのか、あるいは「両方」なのかを自分で判断するのは困難です。そのため、日々の症状を記録し、医師と一緒に経過を見ていくことが大切になります。

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生理中も落ち込んだり、生理が止まる理由は?

つらさが生理前だけで終わらない場合や生理周期が乱れる背景には、心や体からのSOSが隠れていることがあります。考えられる4つの理由を見ていきましょう。

もとの持病(PME)や、貧血・痛みがあるため

生理中も気分が晴れない場合、PME(月経前増悪)のように元からあるうつ症状などが続いている可能性が考えられます 。

また、生理中は出血による貧血や、強い生理痛による睡眠不足が重なりやすい時期です。体調の悪さが気分の落ち込みをさらに強めているケースもあるため、心だけの問題と決めつけず、生理痛や過多月経の治療について産婦人科へ相談してみるのも選択肢です。

強いストレスで脳のホルモン指令が乱れるため

強いストレスや心身の不調が続くと、一時的に生理が止まってしまうことがあります 。

生理の周期は、脳(視床下部や下垂体)からの指令によってコントロールされています。過度なストレスや急激な体重変化があると脳からの指示がうまく伝わらなくなり、排卵や生理が起こりにくくなります。周期の目安(25〜38日程度)から大きく外れる状態が続く場合は注意が必要です。

服用中の薬(抗うつ薬等)が影響しているため

服用中の薬が原因で、生理周期に影響が出ている場合もあります 。

一部の精神科系の薬などには、ホルモン分泌に関わる作用によって生理を遅らせたり止めたりする側面があるためです。ただし、生理不順の原因が薬によるものかどうかは医師の診察や検査を経ないと判断できません。自己判断で薬を減らしたり止めたりせず、まずは処方元の医師へ相談しましょう。

続発性無月経になっているため

これまで来ていた生理が3か月以上来ない状態は、医学的に「続発性無月経」と呼ばれます 。

放置すると女性ホルモンの低下によって将来的な骨量の低下(骨粗しょう症のリスク)などにつながるおそれがあります。ホルモン剤などで治療できる場合も多いため、妊娠の可能性がない場合でも、3か月以上来ないときは早めに産婦人科を受診してください。

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生理前の気分の落ち込みへの対処法

受診と並行して、今日から自分で始められる対処法があります。治療の代わりではなく、自分の状態を知って心と体の負担を減らす手段として取り入れてみましょう。

症状と生理日の記録を2周期以上つける

生理前・生理中・生理後で症状がどう変化するかを記録しておくと、PME(月経前増悪)なのかPMS(月経前症候群)・PMDD(月経前不快気分障害)なのかを判断する手がかりになります 。スマートフォンのアプリやメモ帳など、続けやすい方法で記録してみましょう。記録する内容は、次の4つを押さえておけば十分です。

  • ・生理が始まった日と終わった日
  • ・気分の落ち込みやイライラの強さ(5段階など)
  • ・睡眠時間や食欲の変化
  • ・仕事や家事にどの程度支障があったか

2周期以上続けて記録しておくと、症状と生理周期の関係が見えやすくなります。受診するときに記録を見せれば、医師にも症状の経過を伝えやすくなります。

生理前は予定を詰め込みすぎない

記録によって不調の波が見えてきたら、その時期の予定をあらかじめ詰め込みすぎないようにしておくのがおすすめです 。

つらい時期に大切な予定や締め切りが重なると、「できなかった」という罪悪感でさらに落ち込みが深まってしまいます。あらかじめスケジュールに余白を作っておくことで、無理なく乗り越えやすくなります。

睡眠・食事・適度な運動で体調のベースを整える

睡眠不足や不規則な食事は気分の波を激しくさせやすいため、無理のない範囲で生活リズムを整えましょう 。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動も気分転換におすすめです。ただし、体調がつらい日に無理をする必要はありません。「できるときに、できることから」くらいの気持ちで取り入れてみましょう。

服用中の薬を自己判断で減らしたり中断したりしない

すでに通院で薬を飲んでいる方は、自己判断で薬の量を減らしたり止めたりしないことが大切です 。

生理前だけ調子が悪くなると「薬が効いていないのでは」と思いがちですが、急な服薬中断はかえって症状を不安定にさせます。「生理前に不調が強まる」という事実を、そのまま主治医に相談してください。

つらい気持ちをひとりで抱えず相談窓口を活用する

気持ちがつらいときは、すぐに答えを出そうとせず、誰かに話してみるだけでも構いません 。医療機関に行くことが難しいときは、電話やSNSで相談できる無料の窓口もあります。

「こんなことで相談していいのかな」「うまく話せるか分からない」と思うかもしれませんが、今感じていることをそのまま伝えて大丈夫です。夜間や休日など、ひとりで過ごすのがつらいときにも、こうした窓口を利用してみてください。

厚生労働省「まもろうよ こころ」では、電話やSNSで相談できる窓口を紹介しています。もし気持ちがひどくつらくなったときは、ひとりで抱え続けず、誰かとつながる方法を探してみましょう。

生理前の不調は何科を受診すればいい?

どの科に行けばよいか迷ったら、「もともと治療を受けているかどうか」や「出ている症状」で考えると選びやすくなります。

心療内科などに通院中なら「現在の主治医」へ

うつ病や不安症などで精神科・心療内科に通院中の方は、まず今の主治医に相談するのが良いでしょう 。もともと持っている不調が生理前に強まる「PME(月経前増悪)」の場合、普段の状態を知っている主治医がもっとも評価を行いやすいためです。「生理前の3日間だけ、起き上がれないほど落ち込む」といった形で、時期とつらさの程度をセットで伝えると、普段の薬の調整など治療計画を見直しやすくなります。

心の不調がメインなら「精神科・心療内科」へ

激しい落ち込みやイライラ、強い不安など、精神的な不調が中心の場合は精神科や心療内科が適しています 。

「生理前だけ別人のようになってしまう」「感情のコントロールがきかない」といったお悩みも、気分の落ち込みに特化した診察やアプローチを受けることができます。

体の不調や生理不順もあるなら「産婦人科」へ

頭痛や腹痛・むくみといった体の症状が強い場合や、強い生理痛・生理不順が伴う場合は産婦人科へ相談しましょう 。

生理痛や過多月経などの治療によって、全体の負担が大きく軽くなることがあります。心の不調と体の不調は切り離しにくいため、産婦人科と心療内科の両方を受診する形になっても問題ありません。

生理前の不調に対する主な治療の選択肢

医療機関では、症状の種類や持病に合わせて以下のような治療法が検討されます。

低用量ピルでホルモンの変動を抑える

生理前の不調に対しては、選択肢の1つとして低用量ピル(ホルモン療法)が使われることがあります 。排卵を抑えることで女性ホルモンの激しい変動をゆるやかにし、生理痛やPMS(月経前症候群)を和らげる効果が期待できます。

持病や体質(血栓症リスクや前兆のある片頭痛など)によっては服用できない場合があるため、可否は医師が判断します。なお、服用中に足の痛みや激しい頭痛、胸の痛みが生じた場合は、直ちに服用を中止して受診してください。

※低用量ピルは生理に伴う不調(PMSなど)を和らげる選択肢の1つですが、うつ病そのものを治療するものではありません。精神的な症状が強い場合は、必ず精神科・心療内科の主治医へご相談ください。

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抗うつ薬(SSRIなど)で精神症状を和らげる

気分の落ち込みや感情の波が強い場合には、薬による治療(薬物療法)が検討されます 。

PMDD(月経前不快気分障害)では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる薬が使われることがあります。一方、PMEの場合は、もともと飲んでいる薬の調整が中心となります。なお、自己判断で薬の量を増やしたり中断したりすることは危険ですので避けましょう。

早めの受診を検討すべきサイン

次のような状態があるときは、「生理前だから」と様子を見たり我慢したりせず、早めに受診してください 。

  • ・生理前になると、仕事や学校を毎月休んでしまう
  • ・眠れない日が何日も続いている
  • ・自分を傷つけたい気持ちや「消えてしまいたい」という考えが出てくる
  • ・生理が3か月以上来ていない
  • ・生理前以外の時期も強い落ち込みが続いている

「この程度で受診していいのかな」と迷うときも、気にしすぎる必要はありません。症状の原因を知ることで、今より過ごしやすくする方法が見つかることもあります。つらさをひとりで抱え続けず、医師に相談することから始めてみましょう。

まとめ

生理前にうつ症状や気分の落ち込みが強くなる場合、女性ホルモンの変化によって、もともとある不調が悪化する「PME(月経前増悪)」の可能性があります。

見分けるポイントの1つは、生理が始まったあとに症状がどう変化するかです。生理が始まると数日で和らぐ場合はPMS・PMDD、もとの不調が生理後も続く場合はPMEが考えられます。ただし、症状が重なることもあるため、自己判断だけで見分けるのは難しいでしょう。

「気のせいかも」「これくらい我慢しないと」と抱え込まず、つらさを感じたら無理せず医療機関へご相談ください。生活の工夫や治療を取り入れ、ご自身に合った過ごしやすい方法を見つけていきましょう。生理前の不調や低用量ピルに関するご相談は、mederiのオンライン診療で産婦人科医へ直接尋ねることも可能です。

うつ病と生理の関係に関するよくある質問

ここでは、生理とうつ病に関する質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。

生理前だけ気分が落ち込むのって、甘えなの?

甘えではなく、女性ホルモンの劇的な変動に伴って脳や体に起こる正常な生理現象です 。生理前の心身の不調(PMSなど)は女性の2〜10%に起こるとされており、体質や感度の違いによるもので決して本人の努力不足ではありません。一人で耐えたり自分を責めたりせず、つらさが毎月続く場合は産婦人科や心療内科へ相談しましょう。

うつ病の薬を飲んでいても低用量ピルは飲めるの?

薬との飲み合わせを医師が診察したうえで、併用できる場合があります 。精神科の薬とピルは一緒に飲めるケースも多いですが、薬の種類や血栓症リスクなどの体質によっては注意が必要です。自己判断でピルを飲み始めたり現在の薬を止めたりせず、必ず服用中の薬を全て伝えたうえで医師にご相談ください。

生理前のつらさや気分の波について、家族やパートナーにはどう伝えたらいい?

自分の言葉だけでなく「記録したメモやカレンダー」を見せながら伝えるのが効果的です 。感情的になっているときではなく落ち着いている時期に、「ホルモン変化による体の反応であること」を共有しましょう。「この時期は無理をしないよう予定を減らす」「家事を分担する」など、具体的な協力内容を事前に相談しておくとお互い穏やかに過ごしやすくなります。

年齢的に更年期障害なのか生理前の不調なのか分からない…

生理の有無に関わらず、不調が「生理前に集中するか」「一年中続くか」で見分けます 。40代以降は女性ホルモンの減少により更年期症状が出やすくなりますが、周期的に生理前の時期だけ悪化するならPMEやPMS、PMDDの可能性があります。自己判断は難しいため、ホルモン値を測る血液検査も受けられる産婦人科で相談するのが安心です。

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監修者

郡 詩織

大学病院に入局したのちに、総合病院で勤務。産婦人科専門医・抗加齢学会専門医を取得。
2021年よりメデリピルにおいてオンライン診療によるピル処方や、mederiが主催するセミナーやイベントに登壇、mederi magazineの監修を担当など幅広く活動。

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