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低用量ピルの副作用とは?血栓症のリスクなどをわかりやすく解説
低用量ピルにはさまざまな種類があり、副作用が起きる割合は比較的低い薬です。しかし、低用量ピルの種類や飲み方、服用する人の体質などによって副作用が起きることはあります。この記事では、低用量ピルの副作用の種類や基本的な対処法、副作用がいつおさまるかなどをご紹介します。低用量ピルによって太る、血栓症のリスクがあるといった情報の根拠に関しても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
低用量ピルとは
低用量ピルは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれた薬で、OC(Oral Contraceptives)とLEP(Low dose Estrogen Progestin)があります。OCは避妊を目的として処方される低用量ピルのことで、保険適用にはならず自費負担となります。一方で、LEPは月経困難症や子宮内膜症の治療薬として処方される低用量ピルのことで、保険適用となります。低用量ピルを服用すると、高確率での避妊が可能になるほか、生理痛軽減や肌荒れ改善などの副効用も期待できます。
低用量ピルのメリット
低用量ピルのメリットには、以下のようなものがあります。
・避妊ができる
ピルを毎日正しく服用すれば、99.7%の確率で避妊できるとされています。一般的な避妊法であるコンドームの避妊率が85~98%であるため、それよりも高確率で避妊可能といえます。
・生理痛や月経困難症を改善できる
ピルを服用すると子宮内膜が薄い状態に保たれるため、経血量が減少して生理痛や月経困難症も改善される可能性があります。
・生理不順を改善できる
ピルを服用することで、生理周期が規則正しくなるため、生理不順の改善が期待できます。
・一部のがんリスクを軽減できる
ピルの服用は、子宮体がんや卵巣がん、大腸がんなどのリスク軽減に効果があるとされています。(一方で、子宮頸がんや乳がんのリスクはわずかに上がる可能性があるとされています。)
低用量ピルの主な副作用
低用量ピルとは、2種類の女性ホルモンを含んだ、体内のホルモンバランスを整える医薬品のことです。低用量ピルの副作用には、眠気や吐き気、気分の落ち込み、むくみ、乳房の張り、頭痛、下腹部痛、不正出血などがあります。飲み始めた時期には副作用が現れやすいですが、多くの場合は服用を続けることで服用2〜3か月以内でおさまることがほとんどです。
眠気
低用量ピルの副作用として、約0.1%~5%未満の割合で眠気の症状が生じる場合があります。低用量ピルに配合されている黄体ホルモンが眠気を引き起こす原因と考えられており、飲み始めた時期に現れやすい副作用のひとつです。プロゲステロンという黄体ホルモンが体内で分解されると眠気を引き起こす物質に変わるため、服用後に眠気を覚える場合があります。
また、低用量ピルを飲み始めた時期には体内のホルモンバランスが不安定になり、基礎体温の調整が適切に行えなくなっている場合があります。低用量ピルの服用を1か月~3か月ほど続けることで体内のホルモンバランスが整えられると、眠気の副作用は治まります。
眠気の副作用に関しては、生活習慣に合わせて充分な睡眠をとることで軽減できる場合があります。充分な睡眠を取りづらい場合、日中に20分程度の仮眠を取ることが効果的な対処法です。
吐き気
副作用として吐き気の症状が生じる割合は5%以上であり、比較的起こりやすい副作用とされています。低用量ピルに配合されている卵胞ホルモンが吐き気の原因になると考えられており、飲み始め当初に副作用が生じるケースが一般的です。多くの場合、低用量ピルの服用を3か月ほど続けることで吐き気の副作用は弱まってくるとされています。
対処法としては、低用量ピルと吐き気止めを併せて服用する方法が推奨されています。低用量ピルを服用した後に嘔吐があった場合、成分が適切な形で吸収されない可能性があるため、副作用には吐き気止めの薬を用いて対処することが望ましいです。目安として、服用から3時間以内に嘔吐があった場合には低用量ピルを1錠分追加で服用することが推奨されています。
気分の落ち込み
低用量ピルの服用後、約0.1%から5%未満の割合で気分の落ち込み、抑うつ症状が表れる場合があります。体内のホルモンバランスが不安定になることが原因と考えられており、服用を継続するうちに抑うつ症状は次第に治まることが一般的です。
低用量ピルを服用してから数日後に気分の落ち込み、食欲不振、不眠などの抑うつ症状が表れた場合は薬剤惹起性うつが考えられます。1~2か月程服用を続けても副作用が治まらない場合、低用量ピルの処方を受けたクリニックなどの医師に相談しましょう。
むくみ
低用量ピルを服用した後には、約0.1%から5%未満の割合でむくみ、体重増加の副作用が現れる場合があります。低用量ピルに含まれている黄体ホルモンには水分をため込む作用があり、むくみの原因になりやすい女性ホルモンの一種とされています。
多くの場合、3か月程服用を続けることで副作用は治まる場合が多い傾向です。低用量ピルの服用を続けても副作用が治まらない場合は、服用している低用量ピルの種類が合っていないことが考えられます。むくみ、体重増加の副作用に関する悩みがある場合、低用量ピルの処方を受けたクリニックなどの医師に相談しましょう。
乳房の張り
低用量ピルの副作用として乳房の張り、痛みが症状として現れる割合は約0.1%から5%未満です。低用量ピルには少量の黄体ホルモンが配合されており、飲み始めた時期には副作用の原因になることがあります。副作用として乳房の張りが生じた場合、3か月程服用を続けることで治まることが一般的です。
服用を続けても副作用が治まらない場合は、むくみの症状と同様に低用量ピルの種類が合っていないことが考えられます。この副作用に関しても、処方を受けたクリニックなどに相談して低用量ピルの変更を検討しましょう。
頭痛
低用量ピルを服用した後、副作用として頭痛の症状が現れる割合は約0.1%から5%未満です。体内のホルモンバランスが不安定になることが主な原因であり、飲み始めた時期に起きやすい副作用のひとつです。多くの場合、低用量ピルの服用を続けることで頭痛の副作用は治まってきます。
頭痛の副作用に対処する方法として、ある程度の睡眠時間を確保する、肩こりを緩和する対策を行うなどが挙げられます。頭痛の副作用が治まらない場合、医師もしくは薬剤師に相談して頭痛薬の使用を検討しましょう。
下腹部痛
低用量ピルの副作用として下腹部痛が現れる割合は、約0.1%から5%未満です。体内のホルモンバランスが崩れることが主な原因になっており、基本的には低用量ピルを3か月程服用することで副作用が治まります。服用を続けても下腹部痛が治まらない、生活に影響があるほどの痛みがある場合などには低用量ピル以外が原因の可能性もあるため医療機関に相談しましょう。
不正出血
低用量ピルを飲み始めた時期には、3割程度の方が不正出血を経験すると言われています。低用量ピルを飲み始めた時期に現れやすい副作用のひとつで、一般的には3か月ほど継続的に服用することで副作用は治まります。不正出血は低用量ピルを飲み忘れた際に起きる場合もあるので、服用開始からの期間、状況に応じて判断することが必要になります。
3か月ほど正しく服用を続けても不正出血の副作用が治まらない場合、低用量ピルの処方を受けたクリニックなどに相談しましょう。
低用量ピルの種類による副作用の違い
低用量ピルは、含まれている黄体ホルモンの種類の違いによって第一世代から第四世代に分かれており、見られやすい副作用も異なります。以下で、それぞれのピルについて解説します。
ルナベルLD・フリウェルLD
ルナベルLD・フリウェルLDは、ノルエチステロンという黄体ホルモンが配合された第一世代の低用量ピルです。他の低用量ピルに比べて価格が安い場合が多く、生理痛の緩和に優れているとされています。しかし、ノルエチステロンには男性ホルモンの作用があるため、ニキビが悪化したり多毛になったりする可能性があります。
※オンラインピル診療・処方サービスの「メデリピル」では、「ルナベルLD」「フリウェルLD」の取り扱いはありません。
ルナベルULD・フリウェルULD
ルナベルULD・フリウェルULDは、先ほど紹介したルナベルLD・フリウェルLDよりもさらにエストロゲン量が少なく、超低用量ピルに分類されます。エストロゲン量が少ない方が血栓症リスクを抑えられるとされているため、副作用を気にする方がまずはULDの服用から始めるというケースもあります。ただし、エストロゲン量が少ないと不正出血が起きやすくなる可能性があるため、そのような場合はよりエストロゲン量の多いLDへの変更も検討してみましょう。
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ジェミーナ
ジェミーナは、レボノルゲストレルという黄体ホルモンが配合された第二世代の超低用量ピルです。最大77日間の長期連続服用が可能なため、生理が来る回数を減らしたいという方にはおすすめです。また月経困難症や子宮内膜症などへの治療効果が高いとされています。しかし、第一世代のピルに比べると価格は高くなる場合が多いほか、避妊目的のみで処方してもらうことはできません。
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ヤーズ
ヤーズは、ドロスピレノンという黄体ホルモンが配合された第四世代の超低用量ピルです。第四世代のピルは男性ホルモンの作用が抑えられているため、副作用が起きづらいとされています。ただし、男性ホルモン作用がない分、気分の落ち込みなどが見られる可能性があります。
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ヤーズフレックス
ヤーズフレックスは、ヤーズと同じく第四世代の超低用量ピルですが、ヤーズよりも連続服用可能日数が長く、最大120日間の連続服用ができます。ホルモンバランスが安定し、肌荒れも起きづらいです。ただし、連続服用中に不正出血が起きる可能性があります。
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低用量ピルの服用による血栓症のリスク
喫煙者/高血圧の人/糖尿病の人/肥満体型の人/40歳以上の人/片頭痛持ちの人
上記の項目に該当する人は低用量ピルによる血栓症のリスクが高いので、低用量ピルの服用を検討する際は医師に相談しましょう。
特定の条件に該当しない人でも、低用量ピルを飲み始めてから3か月以内は、静脈血栓症を発症するリスクが比較的高くなると考えられています。静脈血栓症は1万人あたり1人から5人の割合で発症しますが、低用量ピルを服用した場合は1万人あたり3人から9人の割合で発症するとされています。ちなみに、妊娠中の静脈血栓症リスクは「1万人に5〜20人」であり、ピルの服用よりもリスクが上がることが分かっています。
血栓症の症状
血栓症の初期症状には、以下のようなものがあります。
・激しい腹痛、頭痛、胸の痛み
・息苦しさ
・ふくらはぎの痺れやむくみ
・視界がおかしい
・舌のもつれ
・意識障害
そのまま症状が進行すると、皮膚が変色したり、呼吸がしにくくなり命にかかわる可能性もあります。血栓症が疑われる症状が見られたら、ピルの服用を中止してすぐに病院を受診するようにしてください。
低用量ピルの服用で「太る」と言われる理由
一部では低用量ピルを服用することで太るという声がありますが、低用量ピル自体に体重を増加させる作用はありません。
むくみで太ったように感じる
低用量ピルを服用した人は、むくみの副作用が約0.1%から5%未満の割合で生じます。低用量ピルに配合されている黄体ホルモンには体内に水分をためる作用があり、むくみの症状が起きるという仕組みです。副作用は一時的なものですが、全身がむくんでいる状態では太ったように感じるかと思われます。副作用によってむくみが生じている場合、低用量ピルを1か月から3か月ほど服用することで副作用は治まってくるケースが一般的です。むくみの副作用が強く出ている場合、服用する低用量ピルを変更する、食生活の改善や適度な運動といったセルフケアを行うなどの対策が推奨されています。
体調改善による食欲増進
また低用量ピル服用後、体調が改善して食欲が増進する場合があります。結果的に、一時的に体重が増加してしまうことがあります。 食事量に気をつけたり、栄養バランスのよい食事を摂ったりすれば問題ありません。
低用量ピルの服用をやめるタイミング
低用量ピルの服用をやめたい場合、医師に相談して対応を検討しましょう。低用量ピルの服用をやめる際には、自己判断で再開しないように注意する必要があります。低用量ピルには血栓症の発症リスクをわずかながら高くする作用があるため、自己判断によって服用中止と再開を繰り返すことは避けるべきです。
実際に低用量ピルの服用をやめる場合、基本的には1シートを飲み切ってから服用を中止します。服用中止のタイミングを早めたい人は、医師に相談することでタイミングの調整を検討しましょう。
服用を中止した後は一時的にホルモンバランスが不安定になることがあります。服用中止後は肌に関するトラブル、生理周期が不安定になるといった副作用が起きる場合がありますが、3か月ほど経過した頃に副作用は治まってくることが一般的です。
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