ピルで卵巣癌(卵巣がん)が予防できる!ピルでリスクが下がるガンとは?

ピル
更新日:2024.08.22

低用量ピルには排卵を抑制する作用があるため、卵巣癌を予防する効果があります。また、長期的に服用するほど予防効果が高くなることが分かっており、さらに、ピルの服用が子宮体癌や大腸癌の罹患リスクも低減させることも分かっています。

ピルで卵巣癌(卵巣がん)が予防できるって本当?

卵巣は骨盤の中にあり、卵巣癌は発見が難しい癌として知られていますが、低用量ピルの服用は、卵巣癌の発症リスクを低下させる効果があることが分かっています。なぜ、ピルで卵巣癌の予防ができるのでしょうか。

卵巣癌とは

卵巣癌は発見が難しい癌です。そのため、卵巣に癌が見つかった時点ですでに進行していることが多く、生存率も高くはありません。また、日本では卵巣癌に罹患する人が年々増加している傾向にあります。
卵巣癌の主な原因は2つあると考えられています。排卵時に卵細胞は卵巣の表面を破り、卵管の中に入っていきます。このときに形成される卵巣の傷の修復過程で、癌が発生すると考えられています。

また、もう1つの原因は、チョコレート嚢胞が癌化するというものです。チョコレート嚢胞とは、本来は子宮の内側にあるべき子宮内膜が卵巣内に付着し、生理のときに卵巣内で生理のような出血を起こす病気です。チョコレート嚢胞は、出血した古い血液が卵巣内に溜まって卵巣が肥大した状態であり、この状態が長く続くと癌化することが分かっています。

排卵と卵巣癌の関係

排卵によって破れた卵巣に卵管の細胞が付着すること、排卵後に起きる生理によって卵巣内の子宮内膜が出血を繰り返すことで発生するチョコレート嚢胞が卵巣癌の原因として考えられています。つまり、排卵が卵巣癌の発症に大きく関係していると考えられるのです。
卵巣癌の罹患率の高まりの原因の1つに、少子化が関係していると言われています。なぜなら、妊娠中と授乳期間中の約2年間は排卵が起きないからです。一生の間に産む子供の数が多ければ排卵の回数も少なくなるため、かつては卵巣癌の発症リスクも低かったと考えられています。また、チョコレート嚢胞の癌化の確率は、閉経前後から高まることも分かっており、平均寿命の延びも卵巣癌の発症率の高まりに関係していると推測されています。

ピルが卵巣癌(卵巣がん)発症のリスクを下げる理由

月経困難症の症状改善のために処方される低用量ピルには、卵巣から分泌されるホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが含まれています。ピルによって微量のエストロゲンとプロゲステロンが身体に入ると、脳はホルモンが分泌されている状態であると判断し、卵巣に女性ホルモンの分泌を停止させる指示を出します。すると、女性ホルモンが分泌されないため、排卵が止まります。排卵が起こらなければ卵巣が破れることも、チョコレート嚢胞が発達する事もないため、卵巣癌の発症リスクを抑えられるのです。

ピルの早期服用が卵巣癌予防のカギ?

アメリカでは、低用量ピルを長期にわたって服用していた女性は、卵巣癌の罹患率が明らかに低いことが分かっています。低用量ピルの服用を続けていれば、出産経験が多い女性のように排卵の回数が減るため、卵巣癌のリスクが減ると考えられるのです。
年齢を重ねれば重ねるほど排卵回数も増加します。したがって、ピルの早期服用が卵巣癌予防のカギになると考えられています。

ピルの卵巣癌への作用

ピルは卵巣癌の予防に効果を発揮すると考えられています。しかしながら、卵巣癌の予防効果について理解はしていても、中にはピルの副作用が気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
たしかに、低用量ピルには血栓を作りやすくするという副作用があります。しかし、命にかかわるような副作用が発生する確率は10万分の1程度だと言われています。国立がん研究センターが公表しているデータによると、卵巣癌の罹患率は人口10万人あたり20.7例であり、死亡率も人口10万人あたり7.7人です。この数を見れば、ピルの服用によって生じる副作用よりも服用によって得られるメリットの方が大きくなることがわかります。

参照:がん種別統計情報 卵巣

ピルで卵巣癌(卵巣がん)の予防が期待できる

ご説明してきたように、若い頃からのピルの服用は、卵巣癌の予防につながると期待されています。日本では、卵巣癌の罹患率が高まっているとご紹介しましたが、実は、日本以外の先進国では、卵巣癌に罹患する女性は減少傾向にあります。なぜ、他の国とは反対に日本では卵巣癌に苦しむ女性が増えているのでしょうか。

日本人の卵巣癌が多い理由

日本人の卵巣癌が増えている原因には、ピルの普及率の低さが関係していると考えられています。卵巣癌の発症には排卵が関係しているのは前述のとおりですが、ピルを服用していれば、排卵を抑制するために卵巣癌の罹患率は低下します。
しかし、少子化が進む日本では女性が一生に出産する子供の数は減っているにも関わらず、ピルの普及が進んでいないために、他の先進国に比べて卵巣癌の発症率が増加しているのです。

ピルで卵巣がんを予防する

出産の回数が減れば、排卵の回数が増えるため、卵巣癌の発症リスクは高まります。排卵の回数を抑えるために出産回数を増やすことは難しいですが、低用量ピルの服用はそれほど難しいことではないはずです。
ピルは、避妊効果だけでなく、月経困難症を改善したり、卵巣癌を予防したりする効果も期待できる薬です。今後、ピルについての理解が浸透し、ピルの普及が進めば、卵巣癌に悩む日本人女性を減らすことができるはずです。

卵巣癌(卵巣がん)だけじゃない!ピルの服用でリスクが下がるガン

実は、ピルの服用は卵巣癌だけの発症リスクを低減させるだけではありません。ピルの服用が発症率に影響する癌には次のようなものがあります。

子宮体癌(子宮体がん)

ピルは、子宮体癌の発症リスクと死亡率を低下させると言われています。ピルの服用期間が長いほど、子宮体癌の発症リスクが低下するとした研究報告やピルの服用を中止した後も、長期にわたって子宮体癌の予防効果が持続するという報告もされています。

大腸癌(大腸がん)

ピルは大腸癌の発症リスクも低下させるという報告がなされています。しかしながら、未だピルの使用期間との関係性などははっきりとはしていません。

乳癌(乳がん)へのリスク

ピルの服用が乳癌に与える影響については、発症リスクを高めるという報告と低下させるという報告の両方があります。ピルの種類によっては発症リスクの変動が認められないという発表もあるため、ピルと乳癌の関係についてはまだ十分なデータが蓄積されていないと言えます。

若い頃からのピルの服用が卵巣癌リスクを下げる

卵巣癌は、早期発見が難しい癌であり、死亡率の高い癌でもあります。卵巣癌の発症には排卵が関係していると考えられており、排卵回数が多いほど卵巣癌の発症リスクは高まります。そのため、少子化が進む日本では、女性が生涯のうちに出産する子どもの数が減っているために排卵の回数が増え、卵巣癌の罹患率が高まっているのです。
しかしながら、日本以外の先進国では卵巣癌の罹患率は低下しています。日本の卵巣癌の罹患率の高さは、ピルの普及率の低さに関係していると考えられています。
ピルは排卵を抑制するため、長期のピルの服用は卵巣癌の発症リスクを低下させる効果があります。日本でもピルの正しい理解が進み、早い段階からピルを服用する女性が増加すれば、卵巣癌を予防できるのではと期待されています。

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監修者

六本木レディースクリニック医師
波羅 友里恵
2013年杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院で研修。 愛育病院、国立成育医療センターを経て、2018年より六本木レディースクリニックで不妊治療を行う。 現在六本木レディース非常勤。

※1 初月無料は低用量ピルのみ対象となり、別途送料550円(税込)かかります

※2 低用量ピル/超低用量ピルのみ対象となります

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