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ピルとホルモン剤はどう違う?代用してもいい?2つの違いについて解説
ピルには女性ホルモンが含まれていますが、ホルモン剤とは何が違うのでしょうか?ピルをホルモン剤で代用してもいいのでしょうか?今回の記事では、ピルとホルモン剤の違いについて解説していきます。
もくじ
ピルとは?
ピルとは、卵胞ホルモン「エストロゲン」と黄体ホルモン「プロゲステロン」の2種類の女性ホルモンが含まれている経口避妊薬です。長期的な避妊効果があり、副効用として生理痛軽減・肌荒れ改善・生理周期の安定などの効果も期待できます。
ホルモン剤とは?
ホルモン剤とは、基本的にはホルモンを含む薬剤を全て包括するので、ピルもホルモン剤のひとつとなりますが、更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)や、一部の月経困難症に対する治療などで使われるお薬のことをホルモン剤と呼ぶことが多いです。女性は40代半ば頃から体内のエストロゲンが減少し、のぼせ・体の冷え・肩こり・疲労感などの更年期障害が見られるようになります。
また月経困難症については、通常だと低用量ピルや超低用量ピルを用いて治療を行うことが一般的です。しかし、これらのピルには血液凝固作用のあるエストロゲンが含まれており、年齢を重ねるとともに血栓症リスクが上がってしまいます。また、喫煙や持病の有無によっても異なりますが、おおよそ40歳頃になるとピルが慎重投与や処方不可になる場合が多いです。
ホルモン剤の種類
このような更年期障害や月経困難症の治療で役立つのがホルモン剤です。ホルモン剤は、含まれているホルモンの種類から大きく以下の3つに分類できます。
エストロゲンと黄体ホルモン両方が含まれたホルモン剤
更年期障害の治療において多くの場合に使用されるホルモン剤は、ピルに比べてエストロゲン量が少量です。更年期障害はエストロゲンの減少によって引き起こされるため、治療ではエストロゲンのみを投与すれば良いように思えます。しかしエストロゲンには子宮内膜を厚くする作用があるため、エストロゲンのみを投与すると子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスクが上がってしまいます。そこで、エストロゲンの分泌を抑えて子宮内膜を薄くする作用がある黄体ホルモンを一緒に投与することで、エストロゲンを取り入れつつも子宮体がんなどのリスクを軽減させることができます。
含まれているホルモン量はピルに比べて少量であるため、ピルの服用が難しくなった年齢の方であっても、ホルモン剤を用いた治療は受けることができるとされています。
エストロゲンのみ含まれたホルモン剤
こちらも更年期障害の治療において使用されることがあるホルモン剤です。
これまでに何らかの理由で子宮を全摘出された方は、エストロゲンを投与しても子宮内膜増殖症や子宮体がんを発症するリスクがないため、エストロゲンのみのホルモン剤を投与する場合があります。黄体ホルモン投与によって見られる可能性がある消化器症状などの副作用を考慮すると、むしろエストロゲンのみの投与の方が良いと言われることもあるようです。
黄体ホルモンのみ含まれたホルモン剤
40歳以上の方の月経困難症治療や副作用や禁忌に該当し低用量ピルが使用できない方、子宮内膜症や子宮筋腫の治療目的では40歳以下の方に使用されることがあるホルモン剤です。
エストロゲンが含まれていないため、体内のエストロゲン量が少なくなり更年期障害のような症状が出る可能性があるほか、黄体ホルモン製剤の副作用である不正出血が見られる可能性が高いです。しかし、黄体ホルモンは子宮内膜を薄く保つ作用が強いため、月経困難症の原因である子宮内膜症などへの効果が大きく、毎日飲むことで生理も来なくなります。また、エストロゲンが含まれていないため、ピル服用時には注意が必要であった血栓症のリスクがほとんどなくなります。40歳以上で月経困難症に悩んでいる方にとっては、非常に便利なホルモン剤であると言えます。
ピルとホルモン剤の違い
それでは改めて、ピルとホルモン剤の違いについてまとめてみましょう。具体的な違いとしては、以下に挙げる3つがあります。
ホルモンの種類の違い
ピルにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれていますが、ホルモン剤にはエストロゲンか黄体ホルモンのどちらかしか含まれていないものがあります。両方のホルモンが含まれているホルモン剤もありますが、そのようなホルモン剤に含まれている黄体ホルモンは、ピルに含まれるエストロゲンの含有量が少ないことが特徴です。
ホルモン量の違い
ホルモン剤に含まれるホルモン量は、ピルに比べて少量である場合がほとんどです。そのため、ピルが慎重投与や処方不可となる40歳以上の方でも、更年期障害の治療を行うことができるとされています。
用途の違い
ピルは避妊や生理痛軽減、肌荒れ改善などを目的として服用することがメインです。それに対してホルモン剤は、更年期障害の治療や、40歳以上の方の月経困難症治療などで使用されることが多いです。
ピルとホルモン剤のメリットは?
ピルとホルモン剤のメリットは、それぞれ以下のようなものになります。なお、40歳という年齢はあくまで目安であり、喫煙や持病など他の条件によっても変わるため、ピルやホルモン剤を使用するにあたっては必ず医師に相談するようにしましょう。
ピルのメリット
・正しく服用すれば99.7%の避妊効果がある
・生理不順の改善が期待できる
・生理痛や月経困難症の症状軽減が期待できる(40歳未満の方)
ホルモン剤のメリット
・更年期障害の治療に効果が期待できる
・閉経後骨粗しょう症の治療に効果が期待できる
・生理痛や月経困難症の症状軽減が期待できる(40歳以上の方)
ピルとホルモン剤は代用できない
ほとんど成分が変わらないピルとホルモン剤ですが、それぞれを代用することは避けましょう。ピルとホルモン剤では含まれているホルモン量が異なるため、ホルモン剤の代わりにピルを飲むと、本来よりも多くのホルモンを体内に取り入れてしまうことになります。また、ホルモン剤にもある程度の避妊効果がありますが、その効果はピルほど強くありません。ピルと同じように避妊目的でホルモン剤を使用しても、きちんと避妊できない可能性があるため、必ず他の避妊方法も併用するようにしましょう。
また、ピルが禁忌で使用できないことから黄体ホルモン製剤が処方されている方は代用しないように注意しましょう。
ピルとホルモン剤はどこで手に入る?
ピルとホルモン剤は、どちらも医師の診療を受けてから処方してもらう薬です。なお、これらの薬は病院やオンライン診療サービスで処方してもらうことができます。ご自身のスケジュールなどに合わせて、病院とオンライン診療サービスを上手く活用してみてくださいね。
まとめ
今回の記事では、ピルとホルモン剤の違いについて解説しました。一見同じように見えるピルとホルモン剤ですが、含まれているホルモン量や用途は異なります。ピルが避妊や生理痛軽減を目的として処方されるのに対し、ホルモン剤は含まれているホルモン量がピルより少なく、更年期障害や40歳以上の方の月経困難症治療の際に処方されるものです。代用はせず処方されたものを適切に使用し、服用中に不安なことが生じた際には医師に相談するようにしましょう。
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