生理痛がないのは普通?痛みを感じない人の特徴や生理痛を減らすためにできること

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更新日:2024.10.02
生理痛がないのは普通?痛みを感じない人の特徴や生理痛を減らすためにできること

多くの女性には生理痛は当たり前のものととらえられていますが、中には生理痛がない人もいます。この記事では生理痛がない人の特徴や、今生理痛を感じている人が痛みを軽減するための方法を解説しています。

生理痛ってどんな症状?その実態を知ろう

生理中に感じる痛みの程度には個人差があり、生理痛が軽い人や、つらい痛みをともなう人などさまざまです。
ではなぜ生理痛には個人差があるのでしょうか?また生理痛がつらいという人は、生活習慣を変えることで改善は可能なのでしょうか?

生理痛はどんな痛み?

生理痛とは、生理中に自覚される痛みや違和感のことです。また下腹部や腰の痛みだけでなく、頭痛、胃痛、吐き気、めまい、下痢などのさまざまな症状をともなうことがあります。
初潮を迎えて間もない頃は、生理痛を自覚することが少ない傾向にあります。その後子宮が発達しホルモンバランスが整ってくると、生理痛を自覚する方が多いです。
(財)女性労働協会による「働く女性の健康に関する実態調査」によれば、25歳未満の8割以上が生理痛を自覚し、およそ4割の女性は強い生理痛を経験しています。
年齢が高くなるにつれて生理痛を感じる方の割合は減少し、45〜50歳未満の方では生理痛がある割合は約6割程度にも減少します。
また生理痛が重い場合、子宮や卵巣に何らかの病気を抱えているケースもあります。

生理痛が起こるメカニズム

生理痛が起こる主な原因は、子宮内膜で産生されるプロスタグランジンと呼ばれる物質です。
生理中、子宮は収縮して子宮内膜を体外に排出する働きをします。このときに産生されるプロスタグランジンは、子宮や血管、腸などさまざまな内臓の働きをつかさどる平滑筋を収縮させる作用があります。
プロスタグランジンの産生量が多いと子宮の収縮が過剰になり、下腹部や腰に痛みが生じます。さらにプロスタグランジンが分泌されると痛みに対して過敏になり、頭痛などの症状として現れることがあります。

生理痛がないのはどんな人?

生理痛を感じない女性全体で2割程度存在し、体質や生活習慣が関係していると考えられています。
生理痛の原因の一つとして、子宮口からの出血の流れが滞ることがあげられるため、子宮口の広さなども影響すると考えられています。
また生理痛を感じない人は規則正しい生活習慣を送っており、長めの睡眠や栄養バランスの取れた食事、適度な運動を取り入れています。
また温かい飲み物をこまめに飲んだり、温かいお風呂にゆっくりつかったりして、体の冷えを防いでいます。

生理痛を感じるようになってきた場合の対策方法

体の成長や生活習慣の変化によって、これまで生理痛を感じていなかった人も、ある時を境に生理痛が起こることもあります。
また、軽度だった生理痛が重くなるということも起こります。
そんなとき、どのような対策方法があるのでしょうか?

生活習慣の見直しで生理痛を軽減

生理痛は体質によって起こることもありますが、生活習慣を改善することで軽減もできます。

・適度な運動習慣
生理痛は、血液の循環が悪くなることによって起こります。適度な運動は、血行を促進し体の正常な代謝をうながすため、生理痛の緩和に効果的です。
またストレスを感じると私たちの体は痛みを感じやすくなりますが、運動にはストレスを和らげる効果があります。
これまで運動経験がない人は、ストレッチやウォーキングなど安全で取り入れやすいものから始めましょう。

・バランスの取れた食事
生理痛には日々の食事内容が関係していることが、順天堂大学の奈良岡佑南氏らの研究結果でわかってきました。
生理痛を緩和するためには、糖分や脂肪分の摂取を抑えることが大切です。
どちらも必要な栄養素ではあるものの、現代人は過剰に摂取している傾向があります。
糖分を過剰に摂取することで、生理痛を感じやすくなるといわれています。また脂肪分はホルモンの代謝をうながす肝臓の働きを低下させるため、生理痛に影響があると考えられています。
反対に抗酸化作用をもつビタミンE、血液を生成するビタミンB12、カルシウムの吸収をうながすビタミンDなどは、生理痛の改善に効果が期待できる栄養素とされています。
これらの栄養素はタンパク質に含まれており、特に魚から摂取できます。
低糖、低脂質を心がけ、バランスの良い食事をとりましょう。

・体を温める
生理中はプロスタグランジンの影響で血管が収縮し、体が冷えやすくなります。
体が冷えるとむくみやすくなるため、生理中の痛みを悪化させてしまいます。
そのため体を温める生活習慣を取り入れることで、生理痛の緩和が期待できます。
入浴時にシャワーだけで済ませる人より、お風呂にゆっくり浸かる人の方が生理痛は軽い傾向があります。
また冷たい飲み物よりも温かい飲み物を積極的にとって、体の冷えを防ぐことが大切です。

・生活リズムを整える
女性の体は体内のホルモンの影響を強く受けます。
ホルモンの分泌が不規則になることで生理痛を悪化させるほか、さまざまな症状が現れます。
そのため毎日決まった時間に就寝し、適切な量の食事をとり、ホルモンバランスを一定に保つことが生理痛の軽減につながります。

医療の力で生理痛を改善できる?

生活習慣を変えたいものの、仕事やライフスタイルによってはなかなかそうできないという人もいます。しかし、生理痛は医療の力によって治療も可能です。

生理痛に対する医療的アプローチ

生理痛の原因は病気が原因の器質性のものと、ホルモンバランスなどによって起こる機能性のものに分かれます。
生理痛の原因となる病気には子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などがあり、投薬やホルモン治療によって改善できることがあります。
病気以外が原因で生理痛が起こる場合は、鎮痛剤、漢方薬、低用量ピルを使って痛みを軽減することができる場合があります。

・鎮痛剤
鎮痛剤にはプロスタグランジンの生成を阻害する抗炎症薬が含まれており、子宮の収縮を和らげ痛みを軽減します。痛みを感じる前の段階で、生理の予兆があった時点で服用することも効果的です。

・漢方
漢方薬の中には、血流の改善やイライラ感、痛みの元となる筋肉の緊張を抑える効果をもつものがあり、生理痛にも効果があるとされています。

・低用量ピル
低用量ピルは、体内のホルモンバランスを整えることで生理痛を和らげる薬です。
経口避妊薬とも呼ばれ、生理痛の緩和以外にも避妊効果を得られます。低用量ピルについては、次の章で詳しく解説します。

低用量ピルの服用による生理痛への効果

低用量ピルには、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが含まれています。
生理痛はプロスタグランジンの働きが関係しています。通常、子宮内膜は排卵に備えて成長サイクルを繰り返し、成長を終えた段階で生理が起こります。低用量ピルを服用すると、ホルモンの働きにより排卵が抑制されるだけでなく、子宮内膜が厚くなりにくくなり、生理時の出血を減少させます。内膜が薄くなることでプロスタグランジンの産生が減り、生理痛を感じにくくなる効果が期待できます。
低用量ピルはかつて避妊目的で使われることがほとんどでしたが、今では生理痛の緩和や月経困難症の治療など広く用いられています。

生理に対する意識を見直してみよう

生理痛は、女性にとって当たり前の痛みであると考えている人は多くいます。しかし痛みを抱えながら仕事をしたり学校に通ったりすることは、とても辛いことといえるでしょう。
生理痛を当たり前のものととらえずに、改善できるものとして向き合うことで、日常生活がより快適になるはずです。
また生理痛だと思っているものの中には、病気や他の原因が隠れていることもあります。
生理痛に対して、意識を見直してみましょう。

これって生理痛?わからない場合のチェックリスト

生理痛だと思っているものの中には、原因が全く異なるものもあり、生理痛ではない可能性もあります。以下の症状に思い当たる場合は、異所性妊娠と骨盤内炎症疾患(PID)の可能性もあります。

・生理中以外にも痛みがある
・排便時に痛む
・経血量が多い
・生理期間が長い
・鎮痛剤が効かない
・歩行や日常生活が困難

医師に相談するタイミング

生理痛がつらい場合は、我慢せずに早めに産婦人科を受診しましょう。生理痛は女性にとって普通であると捉えて痛みを我慢してしまうと、その背後にある重大な病気に気がつかないことがあります。
「いつもの痛みと違うな」とちょっとでも違和感を覚えたら、早めに病院で診てもらいましょう。原因によっては、これまでつらく感じていた生理痛が改善することも十分考えられます。

生理痛がひどくなってきたら医師に相談

生理痛がない人は全体の2割程度いるとされています。しかし生理痛がない人がいつからか生理痛を感じるようになったり、生理痛が軽かった人が痛みを強く感じるようになったりした時には、まず医師に相談しましょう。病気が原因になっている場合は適切な治療を受けられますし、生理痛を軽くするための改善方法も提案してもらえるかもしれません。

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監修者

産婦人科専門医・がん治療認定医
郡 詩織
産婦人科専門医・がん治療認定医を取得。大学病院に入局したのちに、総合病院で勤務。 現在はmederiドクターとして、日々のオンライン診療や監修、セミナーやイベントに登壇。

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