ゴムだけで避妊できる?間違った避妊方法やリスク、理想の避妊方法をチェック

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更新日:2025.04.23
ゴムだけで避妊できる?間違った避妊方法やリスク、理想の避妊方法をチェック

「ゴムなしでも外出しすれば大丈夫」という人もいますが、それは正しくありません。多くの場合で膣外射精では避妊効果を得ることができず、望まぬ妊娠や性感染症につながることもあります。この記事では、外出しをはじめとした誤った避妊方法を一度おさらいしてみましょう。もし当てはまるものが1つでもあった方は今すぐやめましょう。正しい避妊方法の知識をご紹介していきます。

避妊とは

避妊とは、妊娠を希望していない場合に「妊娠を阻止する何らかの方法」を行うことを指します。
日本で最もポピュラーな避妊方法としては「コンドーム」が挙げられますが、低用量ピルと併用することで避妊の確実性を高めることができ,理想の避妊方法といえます。
低用量ピルは、経口避妊薬として開発された薬で、正しく使用できた場合は約99.7%で避妊をすることができます。
しかし、低用量ピルのみでは性感染症の予防はできないため、コンドームと併用することがおすすめです。

ゴムだけでは避妊できない?

「ゴム」と呼ばれているコンドームだけで避妊が完璧にできると思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。
しかし、結論「ゴムだけ」で妊娠を100%防ぐことはできません。
正しくない使用方法や、性交渉の途中で破けてしまった、サイズが合わなかったなど、さまざまな要因で避妊に失敗する可能性があります。

ゴムの間違った使用例

ここでは、ゴムの間違った使用例を3つ紹介していきます。

ゴム(コンドーム)を下までおろさなかった

ゴムの正しい使用方法として、しっかりと下まで巻きおろすといった作業が必要です。
途中の位置までしか、男性器を覆うことができていないと、ゴムで覆われていない部分からカウパー腺液(我慢汁)や精液が膣内に侵入する可能性があり、避妊に失敗するリスクが高まります。

性交渉の途中でゴム(コンドーム)を装着した

ゴムは本来、挿入前に装着するものです。性交渉の途中で付けても、すでにカウパー腺液(我慢汁)などが膣付近に付着したり侵入していると、避妊に失敗する可能性があります。
必ず、性交渉が開始する前に装着しましょう。

射精後にすぐ性器を抜かなかった

ゴムをしていたとしても、射精後すぐに男性器を抜かないと、男性器が徐々に縮小した場合にゴムとの間にできた隙間から、精液が溢れ出る可能性があります。
その場合、避妊に失敗するリスクが高まるため、射精後はすぐに男性器を抜くことを心がけましょう。

正しい避妊方法と避妊成功率

妊娠のリスクを抑えたいなら、正しい避妊方法を選択しましょう。
代表的な正しい避妊方法を紹介します。

低用量ピル

低用量ピルは経口避妊薬として知られ、女性ホルモン剤を含む内服薬です。ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが配合されており、これらの女性ホルモンの作用によって妊娠を防ぎます。
低用量ピルを正しく使用した場合、避妊失敗率は0.3%と非常に低く、効果的な避妊を提供します。避妊効果を最大限に引き出すためには、ピルを毎日同じ時間帯に服用することが大切です。
また生理周期の安定、経血量の低減と月経痛の軽減、子宮や卵巣の病気の改善、ニキビの改善などにも効果が期待できます。
ただし人によっては吐き気、むかつき、乳房の張りや痛み、頭痛、下腹部痛、下痢、むくみ、血栓症などが発生する可能性があります。体質によっても異なるため、ピルは医師から処方される必要があります。

低用量ピルってそもそも、どんな薬?と気になる方もいらっしゃるかと思います。
下記の記事で詳しく説明しているので、あわせてチェックしてみてください。

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コンドーム

コンドームは、性交渉時に使用する極薄のゴムでできた男性用の避妊具です。
コンドームを適切に使用すれば避妊失敗率はわずか2%ほどとなり、高い避妊効果が期待できます。
またコンドームは避妊効果だけでなく、皮膚・粘膜の接触によって起こる性感染症の予防にも効果を発揮します。
ただしコンドームの取り扱いに注意が必要で、正しく装着し、破損しないように使用することが重要です。

避妊リング

避妊リングのIUS(ミレーナ)とIUD(銅付加)は、子宮内に装着する避妊器具です。
それぞれ黄体ホルモンと銅イオンを放出して妊娠を防ぎます。IUSは経血量の低減と月経痛の緩和が特徴で、最長で5年間効果が持続します。一方、IUDは経血量の増加がある場合があり、最短2年から最長5年間有効です。
副作用や合併症に注意が必要ですが、一度装着すると長期間高い避妊効果を期待できます。
また使用には、定期的な検診が必要です。

避妊手術

不妊(避妊)手術は、卵管を塞いだり摘出したりすることで生殖能力を喪失させ、妊娠を防ぐための手術です。
ほぼ確実に避妊が可能で、副作用もほとんどありません。
まれに卵管が再びつながることがありますが、一度手術を受ければ避妊効果がほぼ永久に持続し、月経管理の必要がありません。
しかし、生殖能力が永久に失われることを考慮する必要があります。避妊手術を検討する際は、医師の指導を受けてリスクとメリットを冷静に判断する必要があります。

リズム法

リズム法は別名「オギノ式」として知られる避妊方法です。
女性の月経周期から排卵日を予測し、その期間を避けることで避妊を試みる方法です。
副作用なく妊娠のリスクを軽減できますが、リズム法の避妊効果には確実性はありません。リズム法を採用する際は、排卵の予測に不確実性があることを理解し、他の避妊方法と組み合わせて利用することが大切です。

緊急避妊薬(アフターピル)

緊急避妊薬(アフターピル)は、避妊に失敗した後に妊娠を防ぐために使用される薬です。黄体ホルモンが含まれており、性交渉の後24時間以内に服用すれば5%ほど、72時間以内に服用すると約15%の妊娠確率に下げることができます。
副作用には吐き気、嘔吐、頭痛、乳房の張り、不正性器出血、倦怠感、眠気などが含まれます。
緊急避妊薬は性交渉の後で避妊できる唯一の方法ですが、時間が経過すると効果が低下します。

間違った避妊方法に要注意

ゴムなしでの性交渉は、妊娠や性感染症のリスクを高めます。まずは誤った避妊方法の例を紹介します。もし相手から「〇〇だから大丈夫」といわれても、うのみにしないようにしましょう。

生理中の性交渉は安全って本当?

生理中の性交渉は、避妊につながりません。基本的に生理中は排卵が起こりませんが、まれに精子は女性の体内で1週間以上生き残ることがあります。そのため生理終わり頃の性交渉では、排卵時まで精子が生き残って、妊娠することがあります。
また生理中の性交渉は、妊娠のリスクだけでなく、他の危険性もはらんでいます。生理中は免疫力が低下し、ウイルスや細菌感染するリスクが高くなります。また傷ついて出血したとしても、経血との判別が気付きにくく、発見が遅れる可能性もあります。
さらに生理中に性交渉を行うことで、本来排出されるはずの経血が子宮内に逆流することがあります。
逆流した経血にウイルスや雑菌が含まれていた場合は、子宮内で増殖する可能性があり、子宮内膜炎の発症リスクが上昇します。
生理中の性交渉は妊娠だけでなく感染症や子宮内膜炎などのリスクを考慮し、避けることが重要です。

シャワーで膣内洗浄すれば大丈夫?

シャワーでの膣内洗浄が避妊に効果があるという説は、大きな誤りです。
射精された精子は速やかに膣内に進入し、子宮に向かって移動します。
そのため性交渉後に膣を洗浄しても、すでに子宮内に入った精子を取り除くことは難しいのです。
また精子は酸に対して比較的弱い性質を持っていますが、家庭にある食品や液体(例:酢やレモン水)を使用して膣を洗浄しても、精子の活力を避妊効果が得られるほど低下させることはできません。
むしろ膣内の不用意な洗浄は雑菌の侵入を許し、有益な常在菌を排除する可能性があり、膣内の微生物バランスを崩すことがあります。
膣炎やその他の健康問題の原因になるため、性交渉の後の洗浄には意味がないどころか、大きな危険があるといえます。

安全日はいつ?存在する?

いわゆる「安全日」は、排卵が起こりにくい特定の時期を指します。しかし排卵が起こりにくいだけであって、確実に避妊できるわけではありません。
基礎体温の周期からある程度の排卵日の予測は可能ですが、女性の体は複雑です。そのときの体調や精神状態、その他さまざまな要因によって簡単に予定は変わります。
特に不規則な生理周期を持つ人には、安全日が当てはまらないことが多くあります。
さらに卵子や精子の生存期間なども考えると、性交渉の上での「安全日」は存在しないといってもいいでしょう。「安全日だから大丈夫」といわれても、うのみにしないことが大切です。

「ゴムなしでも外出しで避妊できる」は間違い!

ゴムがなくても外出し(膣外射精)することで、避妊になると考えている人もいるでしょう。しかしそれは大きな誤解です。
外出しは効果的な避妊方法にはなりません。ゴム(コンドーム)などの避妊具を使用するか、日常的な低用量ピルの服用や他の避妊方法を用いる必要があります。
信頼性の高い方法を選択することが、 望まない妊娠や性感染症の予防につながります。避妊について正しい知識と情報を得て、責任ある行動を心がけましょう。

ゴムなし・外出し(膣外射精)の避妊リスク

ゴムを用いない「外出し」として知られる避妊方法は、妊娠を確実に防ぐための効果的な方法ではありません。
この方法では射精を膣内で行わないことを主要な避妊手段としますが、実際には妊娠のリスクが高いことが示されています。
しかし日本産科婦人科学会によると、約4人に1人は外出しを避妊方法として実践しており、妊娠しているという調査報告があります。
また、世界保健機関(WHO)による調査によれば、外出しを経験した女性のうち、約22%が妊娠したというデータがあります。
さらに外出しが間に合わず膣内で射精が行われるリスクを踏まえると、実際の妊娠率は調査結果よりも高くなるでしょう。

ゴムなし・外出し(膣外射精)で妊娠する理由

ゴムを使わない外出しで妊娠率が高くなる主な理由は、タイミングの難しさとカウパー腺液によるものです。
射精のタイミングを男性がコントロールするのは困難で、気がついたときには陰茎から精液が漏れ出ているということも起こります。
また、性交渉中に分泌されるカウパー腺液も大きな要因です。カウパー腺液には精子が微量に含まれていることがあり、外出しがうまくいったとしてもそれまでの間に精子が膣の中に侵入しているということもありえます。
また、外出しされた後の精液が膣内に侵入することも考えられます。

我慢汁(カウパー液)とは

カウパー腺液とは通称「我慢汁」とも呼ばれますが、正式名称は「尿道球腺液」です。
男性が性的興奮を覚えた際に尿道の中で分泌される液体で、アルカリ性の性質があります。
カウパー腺液が膣内の状態をアルカリ性に近づけるため、酸性に弱い精子のダメージを減らす役割を持っているといわれています。
カウパー腺液自体には精液は含まれていませんが、微量に精子が混在していることがあります。そのため、カウパー腺液に含まれる精子によって妊娠が成立することがあるのです。

ゴムあり・ピルありが理想の避妊方法

間違った避妊方法と、適切な避妊方法を紹介してきました。
ゴムを使用しない外出しは、ほとんどの場合で十分な避妊効果を得ることはできません。間違った避妊方法は妊娠の確率を高めるばかりか体の不調の原因にもなるため、絶対に避けましょう。
効果的な避妊方法は、低用量ピルの服用と合わせてゴムを使用することです。妊娠のリスクを最小限に抑えつつ、性感染症の予防にもつなげましょう。

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監修者

六本木レディースクリニック医師
波羅 友里恵
2013年杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院で研修。 愛育病院、国立成育医療センターを経て、 2018年より六本木レディースクリニックで不妊治療を行う。 現在は六本木レディースクリニック非常勤。 2024年よりメデリピルにてオンライン診療によるピル処方や、mederi magazineの記事監修を担当。 不定期で企業講演を行う。主に卵子凍結や、体外受精、治療に対する会社のサポートについて発信。

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