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国際生理の日に、衆議院議員会館で「月経ミュージアム構想」を発表 医療・行政・政治・企業が、月経を社会全体で支えるあり方を議論
インタビュー
2026年10月19日の「国際生理の日」にあわせ、mederiが月経を社会全体で考える新たなプロジェクト「Period Lab」は衆議院議員会館にて「月経を社会で考える勉強会」を開催しました。国会議員、産婦人科医、厚生労働省、企業人事など、それぞれ異なる立場から女性の健康課題に携わる関係者が参加。医学、政策、企業、教育、文化の視点から、月経を「本人だけが対処するもの」ではなく、社会全体で知り、考え、支えるテーマへと変えていくための議論を行いました。
月経を、個人のことから社会のテーマへ ― 月経ミュージアム構想を発表

冒頭では、mederi株式会社代表取締役/Period Lab代表の坂梨亜里咲より、「月経ミュージアム構想」を紹介しました。
mederiでは、産婦人科医によるオンライン診療を通じて低用量ピルを処方する「mederi Pill(メデリピル)」を運営し、これまで多くの女性の月経や身体に関する悩みに向き合ってきました。サービスを運営する中で見えてきたのは、「月経について相談する場所が分からない」「婦人科は妊娠や出産のために行く場所だと思っていた」「つらくても自分で我慢している」といった声です。
こうした経験から、医療サービスだけではなく、月経そのものについて社会で知り、考え、対話する場が必要なのではないかと考え、Period Labを立ち上げました。
構想のきっかけとなったのは、台湾・台北にある月経をテーマにしたミュージアムです。子宮や身体の仕組みをぬいぐるみや立体展示を通じて学ぶ展示、生理用品や書籍、教材の紹介、一人ひとりが自身の月経経験を振り返る参加型展示など、「勉強する場所」にとどまらず、年齢や性別を問わず月経について触れ、考えられる空間となっています。
Period Labが目指す月経ミュージアムでは、「知る・考える・触れる・語る」の4つを軸に、医学的な知識に加え、歴史や文化、教育、仕事、家族やパートナー、社会制度まで、さまざまな角度から月経を捉える展示や体験を検討しています。
完成した展示を一方的に届けるのではなく、開催する地域や参加者から寄せられた声を取り入れながら、継続的に内容が変化し、育っていくミュージアムを目指します。
慶應義塾大学名誉教授・吉村泰典氏が語る「現代女性と月経」

続いて、産婦人科医で慶應義塾大学名誉教授の吉村泰典氏が、月経の基本的な仕組みや月経困難症、PMS(月経前症候群)、女性ホルモンと健康について解説しました。
吉村氏は、月経が卵巣だけで起こる現象ではなく、脳から分泌されるホルモンと卵巣、子宮が連携する非常に精緻な仕組みによって成り立っていることを説明。
また、過去と現代では女性が生涯に経験する月経回数が大きく異なることに触れ、妊娠・出産回数の減少などにより、現代女性が月経を経験する回数は大幅に増えていると紹介しました。
その結果として、月経困難症や子宮内膜症など、月経に関連する健康課題に向き合う重要性も高まっています。さらに、月経痛やPMSを「我慢するもの」と捉えるのではなく、適切な治療につなげることの重要性を指摘。低用量ピルなどの治療選択肢についても説明しました。
さらに、「女性の健康を支えることは、企業にとってコストではなく人的資本への投資です。女性が健康に働き続けられる環境をつくることが、生産性や企業価値の向上にもつながる」と述べました。
厚生労働省から、女性の健康政策の動向を紹介

厚生労働省からは、健康・生活衛生局健康課 主査・壁谷洸希氏が登壇し、国における女性の健康政策について紹介しました。
国立成育医療研究センターに設置された「女性の健康総合センター」を中心に、女性の健康に関するデータの集積、基礎研究・臨床研究、情報発信、診療体制の充実などが進められていることを説明。また、性差に由来する健康課題への対応や「攻めの予防医療」の推進、女性の健康に関する普及啓発サイト「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」、毎年3月1日から8日に実施される「女性の健康週間」などについて紹介しました。
女性の健康課題を本人だけの問題ではなく、社会全体の健康政策として支える動きが進んでいることが共有されました。
クロストーク:医療・政治・企業の視点から「月経を社会で考える」
イベント後半では、以下4名によるクロストークを実施しました。
衆議院議員/前デジタル大臣政務官/フェムテック議連事務局次長 川崎ひでと氏
産婦人科医/慶應義塾大学 名誉教授 吉村泰典氏
レバレジーズ株式会社 浜村早希氏
mederi株式会社 代表取締役/Period Lab代表 坂梨亜里咲
月経を「本人が対処するもの」から「周囲や社会も理解し、支えるもの」へ変えていくために何が必要なのか。制度、組織風土、教育、政策、データ活用まで、議論は多岐にわたりました。
月経による不調を「言えない」ことが、働き方やキャリアにも影響する

最初のテーマとなったのは、働く女性を取り巻く現状です。レバレジーズ株式会社の浜村氏は、「企業の中では、月経痛やPMSなどの不調があっても周囲に伝えられず、無理をして働いている人が少なくない」と指摘しました。
上司や同僚が男性の場合には身体のことを話しづらく、相手が女性であったとしても、「自分とは症状が違うから理解してもらえない」という難しさがあります。その結果、十分なパフォーマンスを発揮できなかったり、重要な仕事を任されることに不安を感じたりするなど、健康課題が働き方やキャリア形成にまで影響する可能性があると話しました。
また、生理休暇などの制度が設けられていても、「制度があること」と「実際に使えること」は別の問題です。制度を用意するだけではなく、管理職や周囲の理解、利用しても不利益を感じない職場風土をつくることが必要であるとしました。
「女性だから分かる」とは限らない。経験の違いを前提にする

これを受け、坂梨は 企業向け健康支援・福利厚生サービス『mederi for biz(メデリフォービズ)』を企業に提案する中で見えてきた課題を紹介しました。男性の人事担当者やダイバーシティ担当者が月経ケアの必要性を理解し、導入を進めようとしても、女性管理職から「私たちの時代にはそういう制度はなかった」「私はそこまでつらくなかった」といった声が上がり、導入が進まないケースもあると説明しました。
月経は同じ女性同士であっても症状や感じ方が大きく異なります。痛みの程度、出血量、PMSの症状、生活への影響は一人ひとり異なるからこそ、「自分の経験を基準にしないこと」が重要です。
さらに坂梨は、mederi Pillの利用者から「月経の悩みをどこに相談したらよいのか分からなかった」という声が多く寄せられていることにも触れました。「婦人科は妊娠や出産のために行く場所」と考えている人も少なくなく、月経に関する不調と医療との距離が、いまだに遠い現状を紹介しました。
政策は「整える」だけでなく、「社会に届く」ことが重要

政治・政策の立場から、川崎氏は、「女性の健康課題をめぐる環境はこの数年で大きく前進してきた」と説明しました。
「フェムテック振興議員連盟が立ち上がった当初は、生理用品や関連製品をめぐる規制や制度など、まずは環境整備そのものが大きな課題でした。その後、女性特有の健康課題による経済損失が可視化され、女性の健康総合センターが設置されるなど、国として女性の健康を政策課題として捉える流れが強まってきた一方で、今後は制度をつくる段階から、実際の生活や職場、教育現場へどう浸透させるかという次のステージに入っている」と述べました。
また、「司令塔の整備にとどまらず、その取り組みを企業や学校、自治体、個人にまで届けることが重要である」と強調しました。
男性が月経について発信する難しさも。社会の空気をどう変えるか
さらに川崎氏は、自身が男性政治家としてフェムテックや月経について発信した際、大きな反発を受けた経験も紹介しました。女性の健康課題について男性が語ること自体に対して、「なぜ男性が話すのか」といった批判が寄せられたといいます。
その経験を踏まえ、月経を女性だけの問題から社会のテーマへ変えるためには、男性を含め、さまざまな立場の人が参加できる空気をつくる必要があると指摘。月経について知ろうとする人、支えようとする人が発言しやすい環境そのものを整えていく重要性を訴えました。
「社会全体で考えようという機運を育むためにも、発信する人を批判するのではなく、前向きな発言や取り組みをともに広げていくことが大切である」と述べました。
教育が変われば、月経をめぐる「当たり前」も変わる

産婦人科医で慶應義塾大学名誉教授の吉村氏は、「医療現場における月経困難症の治療が、この十数年で大きく変化してきたことを紹介しました。以前は月経痛に対して鎮痛薬を使うことが中心でしたが、現在は症状や状態に応じて低用量ピルなどを用いることも一般的になりつつあります。一方で、医療側の治療選択肢が増えても、本人が月経痛は我慢するものと考えていたり、周囲が正しい知識を持っていなければ、適切な医療にはつながりません。こうした状況を変える上で教育が非常に重要だ」と強調しました。
そして、「小学校や中学校の段階から、性や生殖、月経について正しく学ぶ機会を設けることが、社会全体の理解を深めることにつながる」と述べました。
教育の話題から、川崎氏は女性アスリートと月経の関係にも言及しました。激しいトレーニングによって月経が止まった際、本人が「試合と重ならなくてよかった」と前向きに捉えてしまうケースがある一方で、それが身体からの重要なサインであることを知らない場合もあります。
そして、女性アスリートを支えるコーチには男性も多く、本人だけでなく指導者側にも月経や女性の身体についての知識が必要だと指摘しました。この議論からは、月経について学ぶ対象を「月経を経験する本人」に限定しないことの重要性が浮かび上がりました。
本人だけでなく、家族、教員、指導者、上司、同僚など、周囲の人が知識を持つことで、早期の気づきや適切な支援につながる可能性があります。
女性活躍は「管理職比率」だけでは測れない

企業における女性活躍について、浜村氏は、「管理職比率を増やすことだけに注目するのではなく、その手前にいる女性たちが健康課題によってキャリアを諦めない環境を整える必要がある」と話しました。
女性管理職を増やすという目標があっても、月経やPMS、妊娠・出産、更年期など、ライフステージごとの健康課題によって働き続けることが難しくなれば、候補者そのものが減ってしまいます。「管理職になった女性をどう支えるか」だけでなく、「管理職になるまでのキャリアをどう途切れさせないか」という視点が必要であり、そのためにも企業側からの支援が重要だと述べました。
女性の健康は「コスト」ではなく「人的資本への投資」

クロストークの中で繰り返し共有されたのが、女性の健康を企業の「コスト」ではなく「投資」として捉える考え方です。
吉村氏は、「健康課題を抱えながら無理をして働くことで、生産性が低下したり、離職につながったりするのであれば、健康を支援することは従業員本人だけでなく、企業側にも大きな意味がある」と強調しました。
川崎氏も、「人口減少が進み、人材確保が難しくなる中で、従業員一人ひとりを大切にできる企業でなければ、今後は働く人から選ばれにくくなる」と指摘。福利厚生や健康支援は「余裕のある企業が行うもの」ではなく、採用、定着、生産性、企業価値にもつながる経営課題になっているという認識が共有されました。
さらに、国や自治体、企業が連携し、女性の健康に積極的に取り組む企業が社会から評価される仕組みの重要性にも言及しました。認定制度などを活用し、採用や企業評価の面でもメリットを得られる環境を整えるとともに、「女性の健康に取り組むことが、会社のパフォーマンス向上につながるという成功事例を増やすことが、社会全体の変化につながる」と述べました。
また、AI・データの活用にも触れ、「女性の健康総合センターやフェムテック企業などの取り組みをつなぎ、質の高いデータやエビデンスを蓄積することが、より良い医療・サービスの開発や健康課題の解決につながる」との考えを示しました。
月経について「知らない」から、「話せる」社会へ

クロストークの最後には、月経ミュージアム構想の今後について意見が交わされました。
坂梨は「一つの企業や団体だけでつくるのではなく、医療、教育、企業、行政、市民、アスリートなど、多様な方々と一緒に考えながら育てていきたい」と述べ、正しい知識や多様な経験に触れ、対話できる場を社会全体でつくっていくことを呼びかけました。
Period Labは今後、展示や対話を通じて集まった一人ひとりの声を取り入れ、さまざまな分野との連携を通じて、誰もが月経について知り、考え、語ることのできる「月経ミュージアム構想」の具体化を進めてまいります。
開催概要
名称:月経を社会で考える勉強会
開催日:2026年10月19日(月)
会場:衆議院第二議員会館
主催:Period Lab
発起:mederi株式会社
主な登壇者
衆議院議員/前デジタル大臣政務官/フェムテック議連事務局次長 川崎ひでと氏
産婦人科医/慶應義塾大学 名誉教授 吉村泰典氏
レバレジーズ株式会社 浜村早希氏
mederi株式会社 代表取締役/Period Lab代表 坂梨亜里咲
厚生労働省 健康・生活衛生局健康課 主査・壁谷洸希氏
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