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ピルの吐き気はいつまで?辛い副作用の対処法と注意点を解説
低用量ピルを飲み始めたばかりで吐き気に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ピルは飲み始めたばかりはホルモンバランスが安定せず、吐き気をはじめとする副作用が出てしまう場合も少なくありません。しかし、継続して飲み続けることで副作用は次第に軽減されるので安心してください。
この記事では、低用量ピルの副作用による吐き気が続く期間や、吐き気の対処法、吐いてしまった場合の注意点について解説します。
もくじ
低用量ピルによる吐き気はいつまで?
低用量ピルの服用を始めてから吐き気の症状が現れた場合は、ピルの副作用によるものがほとんどです。日本産科婦人科学会による「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」によると、吐き気の症状は低用量ピルの副作用のなかでも比較的多い頻度で現れると報告されています。
【低用量ピルの主な副作用と発生頻度】
| 副作用 | 発生頻度 |
| 吐き気・嘔吐 | 1.2~29.2% |
| 乳房の張り | 0.1~20.0% |
| 頭痛・偏頭痛 | 3.4~15.7% |
| 下腹部痛 | 0.1~6.9% |
| 浮腫 | 1.0~3.2% |
| 食欲不振 | 0.1~1.9% |
| 眠気 | 0.3~1.2% |
参照:日本産科婦人科学会編「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」
低用量ピルを服用することで、体内のホルモンバランスが変わることによって、むくみ、眠気や吐き気などのマイナートラブルが起こることがあります。飲み始めの1〜3ヶ月は副作用が出やすい時期です。
低用量ピルにはエストロゲンとプロゲステロン類似ホルモンが含まれていて、それらのホルモンの働きによって「妊娠した」と脳が勘違いすることで吐き気が発生します。つまり、悪阻(つわり)に似た症状が出てしまうのです。
症状が軽い場合は1~3ヶ月服用を続けて様子を見る必要があります。吐き気が心配な方は、吐き気を感じにくい夕食後か就寝前に服用すると良いでしょう。
その他の症状も、多くの場合は飲み始め2〜3ヶ月以降には落ち着くため、まずはからだが慣れるまで服用を続けてみることが大切です。最低3ヶ月ほどを目安に服用を続けて様子を見ましょう。
なぜピルを飲むと吐き気が起こるの?
ピルを飲むと吐き気が起こる可能性がありますが、それはピルに含まれる女性ホルモンによって、一時的に体内のホルモンバランスが変化するためです。脳がピルによってホルモン量が増えたと認識することで、妊娠初期と似た状態になり、つわりのような症状として吐き気を感じることがあります。この副作用は、体がホルモンバランスの変化に慣れると、数か月以内に落ち着いてくることがほとんどです。
なぜピルを飲むと吐き気が起こるの?
ピルを飲むと吐き気が起こる可能性がありますが、それはピルに含まれる女性ホルモンによって、一時的に体内のホルモンバランスが変化するためです。脳がピルによってホルモン量が増えたと認識することで、妊娠初期と似た状態になり、つわりのような症状として吐き気を感じることがあります。この副作用は、体がホルモンバランスの変化に慣れると、数か月以内に落ち着いてくることがほとんどです。
ピルの種類によって吐き気の出やすさは変わる?
ピルの種類によって吐き気の出やすさは変わることがあります。これは、ピルに含まれるホルモン量が関係しているためです。一般的に、ホルモン量が多いほど吐き気などの副作用が出やすい傾向にあります。ピルをホルモン量の多い順に並べると、中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルとなります。中用量ピルは最もホルモン量が多いため、吐き気などの副作用が出やすく、低用量ピルは中用量ピルよりホルモン量が少なく副作用が抑えられています。さらにホルモン量を少なくした超低用量ピルは、最も副作用が出にくいとされています。しかし、副作用としての吐き気の感じ方には個人差があります。どのピルを選ぶかは、医師と相談して決めることが大切です。
低用量ピルによる吐き気がひどいときの対処法3つ
低用量ピルの服用後に吐き気がひどい場合は以下の対処法を活用してみましょう。
ひどい吐き気の症状が毎回現れる場合は、医師に相談のうえ種類の変更を検討しましょう。
吐き気止めを飲む
低用量ピルの副作用による吐き気は吐き気止めを服用することで改善する場合があります。
市販の酔い止めや吐き気止めを服用しても問題ありませんが、服用する前に医師に相談すると良いでしょう。メデリピルでも吐き気止めを処方可能です。1~3ヶ月以上続く場合は医師に相談のうえ、ピルの種類の変更を検討しましょう。
ピルは一般的な風邪薬や痛み止め、胃薬、抗アレルギー剤、抗生物質などを併用しても問題ありません。しかし、以下の薬はピルの効果を弱める可能性があるので避ける必要があります。
●抗てんかん薬(バルビツール酸系・ヒダントイン系)
●精神刺激薬(モダフィニル)
●抗結核薬(リファンピシン、リファブチン)
●抗HIV薬(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬・HIVプロテアーゼ阻害薬)
※2020年ガイドラインでは、抗生剤との併用は可能
上記のほかにも、飲み合わせた薬の効果を強めたり弱めたりする可能性のある薬もあるため、服用中の薬がある方は必ず医師に伝えてください。
安楽な姿勢をとる
吐き気がひどいときは楽な姿勢をとることも重要です。以下の工夫をするだけで吐き気が緩和される場合があります。
●自分にとって楽な姿勢をとる
前屈姿勢にならないように、ローソファや座椅子などで足を投げ出して背中のリクライニングを少し倒して座ります。ベッドの場合は背中にクッションや枕を挟んで楽に感じられる姿勢をとるようにします。
●嘔吐がある場合は仰向けを避ける
嘔吐物による誤嚥を防ぐため、横向きに寝るようにしましょう。このときに、クッションや枕を2つ用意し、1つは足の間に挟み、もう1つは抱きかかえるとリラックスした姿勢をとれます。座った方が負担が少ない場合は座っても問題ありません。
●ゆったりとした衣類を着る
衣類の締めつけは吐き気を悪化させてしまう原因になります。特にお腹周りを圧迫しないように、下着や衣類はゆったりしたものを身に着けましょう。
吐き気がひどく吐いてしまう可能性があるときは、洗面器や飲料水、ゴミ箱、ティッシュなどを用意しておくことをおすすめします。吐いてしまった場合は、少量の冷たい水やレモン水で複数回うがいをして、口のなかの不快感を取り除きます。吐いてしまった場合の注意点については後ほど解説します。
病院を受診する
吐き気が長期間続いている場合や吐き気以外にも症状がある場合は、低用量ピルの副作用によるものではない可能性もあります。吐き気だけでなく腹痛や不正出血が長期間続く場合は病気が考えられるため、医師にご相談ください。
ピルの副作用以外の吐き気で考えられる病気は以下のとおりです。
●消化器系疾患
急性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がん、虫垂炎、腸閉塞などが考えられます。吐き気のほか、急な腹痛、胸痛、嘔吐物に血が混じるなどの症状が現れます。
●消化器疾患以外の疾患
くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍、心筋梗塞、食中毒、ストレス(精神的嘔吐)などが考えられます。脳や心臓に関する疾患の場合は緊急性を要するので注意が必要です。
吐き気や腹痛、不正出血で考えられる病気は以下のとおりです。
●子宮内膜症
本来は子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が卵管や卵巣、腹膜など子宮以外の部位に発生してしまう病気です。吐き気や嘔吐、生理痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛などの症状があります。
●子宮付属器炎
膣から大腸菌やブドウ球菌、クラミジアなどの微生物が入り込み、卵管や卵巣が炎症を起こす病気です。下腹部痛が主な症状ですが、そのほかにも吐き気や嘔吐、発熱、不正出血などが現れる場合があります。
●骨盤腹膜炎
骨盤内にある膀胱、直腸、子宮、卵管などの表面を覆っている腹膜に起こる炎症です。子宮頸管炎や子宮内膜炎、子宮付属器炎などが悪化して発症します。下腹部痛や吐き気、嘔吐、腹部膨満感、下痢、便秘、性交痛、不正出血などさまざまな症状が現れます。
ピルの副作用で腹痛や不正出血が見られることがあるので、1~3ヶ月間は様子を見ましょう。しかし、この期間以上服薬を続けても症状がひどい場合は婦人科を受診する必要があります。自己判断で服薬を中止せず、検査をしてから、ピルの服薬を継続するか、種類を変更するか検討しましょう。
ピルの副作用に関しては、下記の記事で詳しく説明しているので、あわせてチェックしてみてください。
まずは試したい|今日からできる3つのセルフケア
ピル服用による吐き気は、自宅でできる少しの工夫で軽減できる可能性があります。服用時間を変える、食事内容を見直す、こまめな水分補給を心がけるといったセルフケアを試してみることで、副作用を和らげ、ピルを継続しやすくなるでしょう。無理なく続けられる方法をいくつか試してみてください。
飲むタイミングを「就寝前」や「食後」に変える
ピルを飲むタイミングを変えることで、吐き気を和らげられる可能性があります。ピルの服用タイミングに厳密な決まりはありませんが、就寝前に飲むと、寝ている間に吐き気のピークを過ぎさせることができます。また、食後に服用すると、胃の中に食べ物があることでピルの成分が吸収されやすくなり、胃への刺激を軽減する効果が期待できます。ご自身のライフスタイルに合わせて、最も吐き気が出にくい時間を見つけることが大切です。
消化に良い食事を心がける
吐き気を感じやすいときは、食事内容を見直すことも有効です。消化に良いものを中心に摂ることで、胃腸への負担を減らせます。おすすめは、バナナやクラッカー、お粥などです。これらは胃に優しく、エネルギー補給もできます。一方で、脂っこいものや香辛料の強いものは、胃もたれや吐き気を悪化させる可能性があるため、避けるようにしましょう。
低用量ピルの服用後に吐いてしまった場合の注意点2つ
低用量ピルの服用後に嘔吐してしまった場合は以下に注意する必要があります。ピルを嘔吐してしまった場合の注意点や対応について確認しておきましょう。
ピルの効果の低減
低用量ピルの服用後に吐いてしまうとピルの効果が低減してしまう恐れがあります。日本産科婦人科学会の「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)」では、ピルを正しく服用していたにもかかわらず妊娠した137例のうち46%が嘔吐または下痢が原因の可能性があると報告されています。
以下の表を参考に嘔吐の状況に応じて適切な対応をとりましょう。
| 嘔吐の状況 | 服用方法 |
| 服用後3時間以内の嘔吐 | 速やかに再度服用する |
| 24時間以上続く嘔吐 | 服用を一旦中止する |
参照:低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)
●服用後3時間以内の嘔吐
1日限りの嘔吐の場合、ピルの最高血中濃度に達する3時間を過ぎていれば避妊効果が保たれると考えられます。従って、服用後3時間以内に嘔吐した場合は、できる限り速やかに再度服用し、さらに翌日いつもの時間に服用してください。3時間を過ぎている場合は、翌日の決まった時間に1錠服用します。
●24時間以上続く嘔吐
この場合は、ピルが吸収されていないか不完全な吸収で、十分な避妊効果が得られない可能性があるのでピルの服用は一旦中止しましょう。嘔吐の症状がなくなったあとの対応はピルを飲み忘れた場合の対応と同じです。
嘔吐で1錠服薬できなかった場合は症状がなくなったあとに速やかに1錠服薬し、残りの錠剤は予定通りに服薬してください。2錠以上服薬できなかった場合はできる限り速やかに1錠服薬し、そのあとはいつもどおりに服薬を続けます。
こまめな水分補給で脱水を防ぐ
吐き気があるときには、食事がとれなくても、こまめな水分補給を心がけましょう。脱水を防ぐことはもちろん、水分を摂ることで気分が落ち着くこともあります。一度に大量に飲むのではなく、一口ずつゆっくりと飲むのがポイントです。特におすすめなのは、常温の水や生姜茶、ハーブティーです。冷たい飲み物や炭酸飲料は胃を刺激することがあるため、注意してください。
血栓症のリスクの増加
低用量ピルの服用後に嘔吐してしまうと血栓症のリスクが増加する恐れがあります。ピルを服用している間、特に血栓症を起こしやすいのは服用開始から3ヵ月以内の時期とされています。ピルの服用を中止して4週間以上経ってから再度服用開始した場合も、初回服用時と同様、血栓症のリスクが再び高まります。嘔吐によって服用を中止して4週間以上経ってから再開した場合、血栓症のリスクが高い期間が繰り返されることになるので、血栓症のリスクが増加してしまうのです。
血栓症を予防するためには、こまめな水分補給をしましょう。体内の水分が不足すると血液の流れが滞って血栓ができやすくなるからです。1日に1.2~2リットルの水分を摂取することが理想的です。また、過度なストレスや疲労感によって血小板が過剰に働いて溶けきれなかった血栓が血栓症を引き起こす可能性があるとも言われています。ストレスや疲労を溜め込まないためにも心身ともにしっかり休息をとるようにしましょう。
血栓症の症状として、以下が挙げられます。
●激しい腹痛
●激しい頭痛
●激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み
●ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている
●見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害
血栓症リスクの高い人の特徴は以下のとおりです。
●40歳以上
●35歳以上でタバコを1日に15本以上吸う
●重度の肥満
●重度高血圧
●血栓症の既往歴がある
●血栓症の家族がいる
血栓症リスクが高い人は多くの場合、低用量ピルを処方してもらえません。しかし、ミニピルであれば処方可能です。ミニピルとは、低用量ピルに含まれる「卵胞ホルモン(エストロゲン)」を含まず、黄体ホルモン(プロゲステロン)のみ含有している薬です。低用量ピルと比較して血栓症リスクがほとんどないことから、低用量ピルを処方できない人も服用できます。正しく服用すれば、低用量ピルと同等の避妊効果が得られます。
ミニピルは低用量ピルと比較して吐き気や頭痛などの副作用が少ないので、吐き気が心配な方はミニピルを検討してみても良いでしょう。
【吐いてしまった場合】効果を維持するための追加服用について
ピル服用後に吐いてしまった場合、体内に成分が吸収されていない可能性があります。
まずは、吐いてしまった時刻を確認しましょう。内服後3時間以内に吐いてしまった場合は、すぐに同じピルをもう1錠内服してください。ただし、追加で服用できるのは1日1錠までです。むやみに服用するとホルモン過多になる恐れがあるので注意しましょう。
なお、服用後3時間以上経ってから吐いてしまった場合は特に問題はありません。ピルの成分が吸収されるのは約2時間のため、3時間以上の時間が経っていれば深く心配しすぎなくても大丈夫です。
しかし、不安な場合は自己判断せず、医師に相談しましょう。
低用量ピルによる吐き気は無理せず対処を
低用量ピルの服用による吐き気はよくある副作用です。副作用による吐き気は長期間服用を続けていると次第に現れなくなります。まずは1~3ヶ月間服用を続けて、吐き気が出た場合は吐き気止めを服用したり、楽な姿勢で過ごしたりしましょう。吐き気が心配な方はピルを飲む時間を夕食後や就寝前にするのもおすすめです。また、消化に良い食事や、こまめな水分補給を心がけるなどのセルフケアも重要です。もしピルを服用後1~3時間以内に吐いてしまった場合は、薬の成分が十分に吸収されていない可能性があります。その場合は避妊効果を維持するため、医師に相談のうえ追加でもう1錠服用することが推奨されます。長期間服用を続けても吐き気が続く場合や、症状がひどい場合はピルの種類の変更や他の原因を調べるために医師に相談してください。
Q&A
低用量ピルを嘔吐してしまった場合はどうすればいいですか?
ピルを服用してから3時間以上経過している場合の対応は必要ありません。服用後3時間以内に嘔吐してしまった場合はすぐにもう1錠服薬してください。
嘔吐が24時間以上続いてしまいましたが、ピルの服用は続けてもいいですか?
ピルの服用は一旦中止してください。症状が回復したらピルを飲み忘れたときと同じように服用を再開しましょう。ピルを飲み忘れた場合の対応は以下のとおりです。
●1錠飲み忘れた場合
飲み忘れに気づいたタイミングが翌日の服用時刻前であればすぐに1錠服用し、翌日分も通常どおりのタイミングで服用します。
●2錠以上飲み忘れた場合
2日以上の飲み忘れに気づいた場合も同様の飲み方となり、基本的には気づいた時点で前日分の1錠を服用して問題ありません。飲み忘れに気づいたタイミングが服用時刻前であればすぐに1錠服用し、服用時刻にも通常どおり服用します。※1日2錠までしか内服できません。3錠以上は飲まないでください
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