生理は女性にとって健康状態のバロメーターでもあります。
生理の基礎知識や、生理中でも快適に過ごすためのセルフケアをご紹介。
低用量ピルとは?メリットや副作用、注意点を紹介
世界中では一億人以上の女性が服用していると言われている低用量ピル。避妊効果だけでなく、月経痛、生理不順、PMSなど生理トラブルの改善に有用とされています。
このページでは、低用量ピルの飲み方や効果、副作用などピルの基本知識について、詳しくご紹介していきます。
もくじ
日本のピルの服用率はどれくらい?
国連が発行した「Contraceptive Use by Method 2019」のデータによると、日本におけるピルの内服率は2.9%とされています。これは世界的に見ても非常に低い水準と言えます。
諸外国ではピルの使用率が高く、たとえばフランス33.1%、カナダ28.5%、イギリス26.1%、ノルウェー25.6%と、20〜30%台が一般的です。アジア圏でもタイ19.6%、カンボジア13.7%、ベトナム10.5%、マレーシア8.8%、ミャンマー8.4%、香港6.2%と、日本より高い使用率となっています。
日本と近い使用率としては、韓国が3.3%、中国が2.4%であり、東アジア地域全体でピルの普及率が低い傾向が見られます。
※参考:「Contraceptive Use by Method 2019」(United Nations)
低用量ピルとは?効果は?
低用量ピルは、服用によりホルモンバランスが整うことで、以下のような多くの副効用を併せ持つ女性の生活改善薬です。世界中では一億人以上の女性が使用しています。
個人差はありますが服用開始からだいたい2〜3ヶ月のうちに副効用の効果が出るといわれていますので、最低3ヶ月は様子を見ていただくようお願いいたします。※3ヶ月以降も効果がなければ医師に相談ください。
避妊の効果に関しては、生理1〜5日目以内に服用を開始した場合その日から避妊効果が得られると言われています。飲み忘れがない限り、服用期間は避妊効果が持続します。

出典:Hatcher, RA et al.:Contraceptive Technology:Twentieth Revised Edition, NewYork:Ardent Media, 2011
1日1錠同じ時間に服用します
低用量ピルは1日1錠、毎日同じ時間に服用するお薬です。1錠目は、生理開始日から5日目までに服用を開始します。
28錠タイプの場合、最後の7錠(プラセボ期間)が有効成分が入っていない偽薬となっており、その期間に生理が始まります。
飲む時間がバラバラであったり、飲み忘れが大きくずれると効果が弱まったり、不正出血の原因にもなるため、きちんと毎日同じ時間に服用することが重要です。

低用量ピルを服用するメリット7つ
低用量ピルは、避妊以外にも多くの体調改善効果があるとされています(副効用)。以下に、代表的な7つのメリットをご紹介します。
生理痛の軽減
低用量ピルには子宮内膜が厚くなるのを抑える作用があり、経血量が減少して生理痛が軽減されることが期待できます。
生理周期の安定
低用量ピルを服用することでホルモンバランスを一定に保つため、生理が毎月規則正しく来るようになり、予定が立てやすくなります。
PMS(月経前症候群)の緩和
低用量ピルによって、排卵が抑制されることでホルモン変動が少なくなり、イライラや気分の落ち込みなどのPMS症状が改善されることがあります。
生理日のコントロール
旅行やイベントなどに合わせて、生理日を前後にずらすなどのコントロールができるのも、低用量ピルの大きなメリットの一つです。
卵巣がん・子宮体がんのリスク低下
低用量ピルの長期使用により、卵巣がんや子宮体がんのリスクが下がることが複数の研究で報告されています。
子宮内膜症の予防・治療ができる
子宮内膜の増殖を抑える作用があるため、子宮内膜症の症状を軽減したり、再発予防にもつながるとされています。
肌荒れ・ニキビの改善
男性ホルモン(アンドロゲン)を抑える作用のある第三世代のデソゲストレルや第四世代のドロスピレノンを含んだピルでは、ニキビや皮脂の分泌が抑えられることで肌トラブルが改善されることもあるとされています。
誰でも飲めるお薬なの?
低用量ピルは誰でも飲んでよいお薬ではありません。
年齢や喫煙の可否、過去の病気など条件によって処方できない場合がございます。服用する前に処方条件を確認して、自分に当てはまるものがないかチェックしましょう。不安な場合は医師に相談してみましょう。

副作用はあるの?
飲み始めの1〜3ヶ月は下記のような副作用が出やすい時期です。飲み始めから3ヶ月ほどで治まる場合がほとんどですが、3ヶ月以上続く場合には医師に相談をしましょう。
副作用症状
吐き気/乳房の張り/不正出血/頭痛/下腹部痛/むくみなど…
服用中、注意すべきことは?
低用量ピルを服用していると、わずかですが血栓症のリスクが高くなります。血栓症は血管の中で血管を詰まらせてしまう症状のことです。ピルを服用していない女性の発生率が1〜5人/1万人であるのに対し、低用量ピルを服用していると3〜9人/1万人で、わずかですが血栓症のリスクが高くなります。
特に肥満、喫煙者、高齢、家族に血栓症にかかったことのある方がいる場合は注意が必要です。

低用量ピルを服用するために必要な検査
低用量ピルを安全に服用するためには、診療時にいくつかのチェックが行われます。まず必須とされるのが血圧の測定です。ピルには血栓症のリスクがあるため、高血圧の有無は必ず確認されます。
また、問診によって既往歴や家族歴、喫煙の有無などが確認され、服用に問題がないかを慎重に判断します。特に、過去に血栓症や脳梗塞を起こしたことがある人、または乳がんの既往歴がある人などは、服用が制限されることがあります。
血液検査は強制ではありませんが、ピルの服用で肝臓に負担がかかることがあるため、可能であれば半年に1度は受けると安心です。
血液の状態によっては、医師の判断でピルの服用が制限される場合があります。
さらに、婦人科検診(子宮頸がん検診や乳がん検診など)は義務ではないものの、2年に1回程度の受診が推奨されています。長期的に安心してピルを継続するためにも、定期的な健康チェックは大切です。
よくあるFAQ
よくあるFAQ① ”ピルを服用すると太る”はウソ!
低用量ピルと体重の増加は関係ないといわれています。 しかし、ピル服用初期の副作用であるむくみの症状により太ったと感じる場合があります。また、体調が改善して食欲が増進する場合もあるため、一時的に体重が増加してしまうことがあります。 食事量に気をつけたり、栄養バランスのよい食事を摂ったりすれば問題ありません。
よくあるFAQ② ピルの服用と不妊には関係がない
ピルの服用が不妊に関係することはありません。また、ピルにより排卵を抑えることで卵巣の傷つく回数を減らすことができ、また、子宮内膜症の予防や治療につながることで、不妊のリスクの軽減にもなります。
※卵子の数が減らないというわけではありません
よくあるFAQ③ 効果が出ても服用続けるの?
低用量ピルは服用停止すれば元の状態に戻ってしまうので、1日1錠、継続的に服用する必要があります。妊娠を望むまでは服用継続することを推奨いたします。
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