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「ピルで太る」は本当?理由・いつまで続くかと対策を紹介
「ピルは気になるけれど、太るのが不安」と、なかなか一歩を踏み出せずにいませんか?ピルを飲むことと体重が増えることの因果関係は、これまでの研究では立証されていません。それでも「太った」と感じる背景には、飲み始めの一時的なむくみや食欲の変化が関わっているとされています。この記事では、ピルで太ると言われる理由や体の変化が続く期間、太りたくないときの対策を紹介します。
もくじ
「ピルで太る」は医学的に立証されていない
ピルの服用そのものが体重を増やすという因果関係は、これまでの研究では確認されていません。それでも「飲み始めてから太った」という声を聞くこともありますが、ピルの成分と体重増加を結びつける医学的な根拠は立証されていないのが現状です。
過去に使われていたホルモン量の多いピルは、副作用により太るといわれていましたが、現在はホルモン量が少ない低用量ピルが主流となっています。また英国の「コクラン・レビュー」によると低用量ピルと体重増加との因果関係は立証されていません。そのため、ピルの服用だけが体重を増やす原因になるとは考えにくいとされています。
※参考:「Combination contraceptives: effects on weight」(Cochrane Library)
ピルを飲むと太るといわれる3つの理由
低用量ピルと体重増加の因果関係は立証されていませんが、太ると語られる背景には体内で生じる一時的な変化や生活環境などピル以外の要因が重なるという事情が存在します。ここでは大きく3つに分けて見ていきましょう。
プロゲスチン(黄体ホルモン)の保水作用によるむくみ
「太った」と感じる正体はピルの副作用によるむくみや食欲の増進であり、プロゲスチン(黄体ホルモン)の水分を溜め込む作用や男性ホルモンを活性化させる作用が影響しているためです。
実際、低用量ピルを服用した方には、むくみ(浮腫)が副作用として0.1~5%の頻度で報告されています。脂肪が増えたわけではありませんが、水分を溜め込んで体がむくむことにより、太ったように感じることもあります。
プロゲスチンの保水作用によるむくみは一時的なものであり、低用量ピルを1〜3か月ほど継続して服用することで症状が治まってくる場合があります。
※参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ファボワール錠21、ファボワール錠28 添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トリキュラー錠28 添付文書」
食欲亢進による食べすぎ
低用量ピルで太る原因の1つに食欲増進があり、配合されている黄体ホルモン(特にレボノルゲストレルの場合)が男性ホルモンの活性を高めて必要以上に食事を摂ってしまうことで体重が増加する可能性が考えられます。
しかし、服用開始から1〜3か月ほど経過すれば、食欲亢進は落ち着いてくるとされています。服用を始めたばかりの時期は食欲が増しても食べ過ぎないように注意しましょう。もし、ピルを始めてから食欲が増加していると感じたら、処方元の医師に相談して、ピルの種類を見直すのも1つの方法です。
ピル以外の生活習慣や年齢による体重の変化
ピルを飲み始めた時期に太ったと感じる背景には、進学や就職、引っ越しなどの環境変化が関係している場合があります。それに伴う食事内容や運動量、睡眠リズムの変動が影響していることも少なくありません。
また、基礎代謝は年齢とともにゆるやかに下がっていくため、同じ食生活を続けていても体重が増えやすくなります。ピルを飲み始めたタイミングとこうした変化が重なると、原因がピルにあるように感じられてしまうこともあります。
体重の変化が気になるときは、ここ数か月間で生活習慣がどのように変わったかをあわせて振り返ってみましょう。
ピルで太ったと感じる方の割合・部位・期間の目安
「何キロ増えるの?」「どこが変わるの?」「いつまで続くの?」という3つの疑問に、報告されているデータをもとに答えていきます。必要以上に不安を感じないためにも、それぞれ確認していきましょう。
体重増加が報告される割合は0.1~5%
低用量ピルの副作用として体重増加が報告されている頻度は、0.1~5%です。日本産科婦人科学会のガイドラインには、何キロ増えるかという増加量の目安は示されていません。
海外の研究をまとめたコクラン・レビューでも、ホルモン配合の避妊薬が体重に大きな影響を与えるという結果は得られていないとされています。ピルを飲んだからといって、体重が大きく増えると考えられる根拠は今のところ見当たりません。
むくみによる変化は体内の水分量の増減なので、数字が動いても一時的なものにとどまるとされています。日によって数百グラム単位で増減するのは、ピルを飲んでいない方にも起こる自然な変動です。
※参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ファボワール錠21、ファボワール錠28 添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トリキュラー錠28 添付文書」
おなか周りや下半身が気になるのはむくみが出やすいため
下半身やおなか周りの張りが気になりやすいのは、重力の影響で体の下のほうに水分がたまりやすいためとされています。体重そのものは変わっていなくても、水分のたまり方によって太ったという実感につながることがあります。
脚のだるさやふくらはぎの張り、下腹部の張り、夕方に強まるむくみは水分貯留の現れです。夕方になるほど下半身のむくみが出やすいのも、同じしくみによるものとされています。朝と夜でスカートやパンツのきつさが違うと感じるときは、脂肪がついたのではなく水分がたまっている可能性を考えてみましょう。
むくみや食欲の変化は1〜3か月を目安に落ち着く
ピルの服用によるむくみや食欲の変化は体が新しいホルモンバランスに慣れる過程で起こるため、服用を続けるうちに1〜3か月を目安に落ち着いてくるとされています。服用を続けることで「体重が増加し続ける」という報告は、公的なガイドラインには見当たりません。
3か月を過ぎても症状が続いたり生活に支障が出たりするときは我慢せず処方元の医師へ相談しましょう。ピルの種類を見直すことで症状が和らぐ場合もあります。
休薬期間やピルをやめたあとの体重の変化
休薬期間に体重が増えたように感じるのは体内のホルモン変動によるむくみや食欲の変化が関係しており、ピルをやめれば自然に痩せるというわけではありません。ここでは、休薬期間中の体の変化と、ピルの中止による影響について解説します。
休薬期間に体重が増えたように感じる理由
休薬期間中に体重が増えたように感じるのは、実薬を飲まないことで体内のホルモン量が一時的に下がり、むくみや食欲、おなかの張りが出ることがあるためです。
休薬期間には消退出血(ピルの休薬によって起こる出血で、生理そのものとは区別されます)が起こるため、生理前後の不調と同じような重さやだるさを感じる方もいます。この時期に見られる体重増加は水分量の変化によるところが大きく、実薬の服用を再開すれば元に戻っていくことがあります。体重計の数字に一喜一憂せず、周期のなかの波として捉えるようにしてみましょう。
ピルをやめれば必ず痩せるわけではない
ピルをやめれば体重が減るという因果関係は立証されておらず、服用の中止でむくみが取れて数字が戻ることはあっても脂肪が減ったわけではありません。
自己判断でピルを中止すると避妊効果が得られなくなるほか、生理痛やPMS(月経前症候群)といった和らいでいた症状が再び戻ってくることもあります。体重の変化を理由にピルの服用中止を検討している場合は、自分だけで判断せず、まずは処方元の医師へ相談してみましょう。
ピルで太りたくないときにできる対策
低用量ピルによる食欲増進やむくみなどの体重増加は1〜3か月程度で落ち着く一時的なものですが、太りたくない方はむくみ対策と食べすぎ対策の2つを試してみることが大切です。それぞれの方法について、詳しく解説します。
むくみを防ぐ生活の工夫
むくみを防ぐには、余分な水分を体に溜め込まないように食事の塩分量を控えたり血流を促したりする生活習慣へ整えることが大切です。まずは日ごろの食事から見直してみましょう。今日からでも取り入れやすい工夫としては以下の4つが挙げられます。
- ・塩分とアルコールを控える
- ・カリウムを含む食べ物を食べる
- ・体を温める
- ・適度に体を動かす
バナナやほうれん草、アボカドなどに含まれるカリウムには体内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。また、入浴で体を温めたりふくらはぎを動かしたりすると血流が改善され、下半身に溜まった水分が流れやすくなることが期待できます。デスクワークが続く日は、1時間に一度立ち上がることを意識してみましょう。
食べすぎを防ぐ食事の工夫
食欲増進による食べすぎを防ぐには、食べる量を無理に我慢するのではなく、食べる順番や回数を工夫して自然と満腹感を得やすくすることが大切です。満腹感を得やすい順番と食べ方に変えるだけでも、自然と食べる量は落ち着くことが期待できます。手軽に実践できる食事の工夫として、以下の4点が挙げられます。
- ・よく噛んで食べる
- ・野菜から食べるようにする
- ・おやつは糖質の少ないものを選ぶ
- ・1回の食事量を減らして食事回数を増やす
野菜から先に食べると血糖値の急な上昇がゆるやかになり、食後の強い空腹感を感じにくくなることが期待できます。よく噛むことも満腹感につながるので、食事に少し時間をかけることを意識してみましょう。また、食事の回数を分けることで空腹時間を減らし、次の食事での食べすぎを防ぐ効果が期待できます。
すでに増えた体重を戻したいときの考え方
すでに増えてしまった体重が気になるときも、極端な食事制限はホルモンバランスの乱れや生理周期への悪影響につながるため避けることが大切です。
まずは、増えた分がむくみによるものなのか、食事量が増えたことによるものなのかを分けて考えてみましょう。朝と夜の体重差が大きい場合や脚のだるさがあるときは、むくみの影響が考えられます。食事量が増えた自覚がある方は、食べ方の工夫から取り入れてみましょう。
体重の変化がつらいときは、ひとりで抱え込まずに処方元の医師へピルの種類の変更などを相談してみてください。
ピルで太ったと感じやすい方の特徴
ピルで太ったと感じやすいのは個人の体質や飲み始めのタイミングが関係しており、同じピルを服用していても体の変化の感じ方には差が生じます。どのような方が変化を自覚しやすいのか、その特徴について順番に確認していきましょう。
もともとむくみやすい方や飲み始めの時期の方
生理前に体が重くなりやすい方や、立ち仕事・デスクワークで脚がむくみやすい方は、ピルの保水作用による変化も自覚しやすい傾向があります。また、飲み始めの1〜3か月は体が新しいホルモンバランスに慣れていく時期のため、変化を感じやすくなります。
塩分の多い食事や水分不足もむくみの原因となりますが、体質に合わせた対策を取ることで和らぐ場合があります。症状が気になる方は食事や水分補給を見直してみましょう。
合わないと感じたら医師に相談してピルを見直す
低用量ピルは含まれるプロゲスチン(黄体ホルモン)の種類によって、体に出る変化が少しずつ異なります。そのため、つらい症状を我慢して無理に続けるのではなく、医師に相談して自分に合うものを探していくということも手段の1つです。
1〜3か月以上ピルの服用を続けても食欲亢進やむくみがおさまらない場合や症状が強い場合は、服用しているピルとの相性が良くない可能性も考えられます。低用量ピルには多くの種類があるので、自分に合ったものを服用することが大切です。自分に合ったピルを選ぶためにも、産婦人科医に相談してみましょう。
ピルを飲むうえで注意したい副作用
ピルを服用する際は体重や体型以外にも飲み始めに出やすい副作用が存在するため、継続により和らぐ症状とすぐに受診が必要なサインの双方を把握しておくことが大切です。
飲み始めに出やすい副作用と経過
ピルには、むくみや食欲増進のほかにも、飲み始めを中心に以下のような副作用が現れることがあります。

これらの副作用の多くは飲み始めたばかりのころに症状が現れやすく、服用を継続することで体が慣れ、症状が落ち着く場合があります。はじめは少しつらい場合もあるかもしれませんが、日常生活に支障がなければ3か月は様子を見てみましょう。
ただし、個人差があるため、3か月過ぎても症状が続くときや日常生活に支障をきたしている場合は無理をして続ける必要はありません。低用量ピルには多くの種類がありますので、我慢せずに処方元の医師に相談し、ご自身の体質に合った種類へ変更を検討しましょう。
すぐに受診したい血栓症のサイン
ピルの重大な副作用である静脈血栓塞栓症(血管の中で血のかたまりができる病気)のサインが現れた場合は、重症化を防ぐため直ちに服用を中止して速やかに医療機関を受診することが必要です。
次のような血栓症の兆候とされる症状が現れた際は自己判断で放置せず受診しましょう。

片脚だけが急にむくんで痛むといった場合は、これまで説明してきたピルによる一時的なむくみとは異なります。左右差や痛みを伴うむくみに気づいたときは、自己判断せずにすぐに服用を止めて医師に相談しましょう。
まとめ
ピルの服用そのものが体重を増やすという因果関係は、これまでの研究では立証されていません。「太った」と感じる背景は、プロゲスチン(黄体ホルモン)の保水作用によるむくみと、一時的な食欲の増進が原因のことがあります。むくみや食欲の変化は体の慣れに伴い1〜3か月程度で落ち着くことがあるため、塩分を控えたり食べ方を工夫したりして様子を見ることが大切です。
3か月を過ぎても症状が続くときや、つらさが日常生活に影響しているときは、我慢せずに産婦人科を受診してピルの種類変更などを医師にご相談ください。
「ピルで太る」に関するよくある質問
ここでは、ピルで太るという噂に関するよくある質問に回答します。
ピルを飲むとどんどん太るって本当なの?
飲み続けるほど体重が増えていくという報告は、公的なガイドラインには見当たりません。飲み始めの時期にむくみや食欲の変化を感じることはありますが、多くは1〜3か月を目安に落ち着いてくるとされています。3か月を過ぎても体調の変化が続いていると感じるときは、ピルとの相性や生活習慣の変化もあわせて、処方元の医師にご相談ください。
超低用量ピルやミニピルでも太ることはあるの?
超低用量ピルやミニピルは含まれるホルモンの量や種類は低用量ピルと異なりますが、いずれも体重増加との直接的な因果関係は立証されていません。ただし、どちらも、飲み始めにむくみや食欲変化が起こることがあり、体に出る変化の感じ方には個人差があります。どの種類が合うかはご自身の体質や使用目的によって異なるため、診療の際に気になることや不安な点を医師へお伝えください。
ダイエット中にピルを飲み始めても平気?
ピルの服用とダイエットは両立できるため、適切な方法であればダイエット中にピルの服用を開始しても重大な影響があるとの報告はありません。ただし、極端な食事制限を行うとホルモンバランスの乱れにつながるおそれがあるため注意が必要です。
体重管理を行いながらピルを始めたい場合は、その希望も含めて事前の診療時に医師にご相談ください。
体重が増えたらピルはやめたほうが良いの?
体重が増えたと感じた場合でも自己判断でピルの服用を中止するのは避けましょう。服用をやめると避妊効果が期待できなくなり、生理痛やPMS(月経前症候群)など、ピルで和らいでいた症状が戻ってくることもあります。体重の変化が気になるときは、まず処方元の医師に相談し、種類の変更や対策を一緒に考えてもらいましょう。
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