生理は女性にとって健康状態のバロメーターでもあります。
生理の基礎知識や、生理中でも快適に過ごすためのセルフケアをご紹介。
排卵日に痛くなるお腹がツラい…排卵痛や排卵日の体調不良の原因と対処法
もくじ
卵巣の中で育った卵胞の壁が壊れて卵子が排出される日が「排卵日」です。排卵日にはお腹が痛くなったり、イライラしたりといった体調不良が起こることがあります。その原因と対処法をご紹介します。
排卵日前後にお腹が痛い原因は「子宮内膜症」?
卵巣の中で育った卵胞の壁が壊れて卵子が排出される日が「排卵日」です。排卵日にはお腹が痛くなるなどの体調不良が起こることがあります。それらの原因の一つとして考えられるのが、子宮内膜症です。子宮内膜症があることで排卵痛が強くなることがあります。これは、本来子宮の内側にあるはずの「子宮内膜」という組織が、何らかの理由で子宮の外側などに発生しそのまま発育してしまう病気です。子宮内膜症を発症すると、経血がうまく排出されなかったり、周囲の組織との癒着が起こり痛みを感じたりします。発症年代としては、20〜30代が多いとされています。
子宮内膜症が発生しやすい場所はどこ?
子宮内膜症は卵巣や卵管、ダグラス窩という部分に発生しやすく、稀に肺や腸にもできることがあります。
子宮内膜症はなぜできる?発生原因は一体何?
子宮内膜症の原因は明らかにはなっていませんが、女性の生理的な現象として見られる経血の逆流により起こる、細菌感染が関係していると考えられています。初経の時期が早かったり生理周期が短かったりして生理の回数が多くなると、その分、経血の逆流によって子宮内膜が他の部位(骨盤内など)へ移植されることが原因とされています。
「排卵痛」とは?
「排卵痛」とは排卵の日、またはその前後1日〜2日間に起こる、排卵に伴う痛みのことをいいます。生理周期が28日周期の場合、次回の生理開始日から数えて約14日前に排卵日を迎えるとされています。排卵痛は、卵子が卵巣の壁を破るときに生じる痛みが原因です。卵胞が破れた時に起きる出血は「排卵出血」といいます。
排卵痛の症状・痛む場所
排卵痛の症状の多くは、お腹が張ったような痛みです。また場合によっては、子宮周辺に痛みを感じることもあります。排卵痛は「排卵前」「排卵時」それぞれで症状が異なります。
排卵前は卵子を包む卵胞が発達し、大きくなりすぎて圧迫されます。この圧迫により、下腹部の痛みを感じます。
排卵時は卵胞が破れるため、痛みを感じます。卵胞が発達しすぎると、痛みが大きくなることがあります。
排卵痛は下腹部に痛みが出ますが、下腹部以外の場所が痛むこともあります。たとえば、腰や頭などが痛むこともあるのです。そのほかに倦怠感、むくみ、眠気、吐き気、肌荒れ、便秘、おりものの変化などが排卵に伴う症状として見られることがあります。
受診が必要な排卵痛の症状
排卵痛は、通常排卵時の2日程度で終わります。それ以上痛みが続く場合は、病気のサインである可能性があるため注意が必要です。
例えば卵巣出血、子宮内膜症や卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)などの婦人科の病気でも、激しい下腹部痛が起こる場合があります。
子宮内膜症では、比較的強い生理痛が起きます。思春期でも痛みを感じる人がいて、年齢とともに痛みが強くなることが特徴です。また子宮内膜症の場合は排卵痛や生理痛がかなり強くなり、ピルや鎮痛剤だけではコントロールできないケースもあります。
鎮痛剤を飲んでも痛みがおさまらない、お腹が痛くて動けないといった、日常生活に支障をきたすレベルの痛みが続く場合や、生理日以外に下腹部の痛みが長く続く、痛みが悪化する場合は、早めに婦人科を受診して超音波検査や血液検査を受けるようにしてください。
子宮内膜症の排卵痛以外でよくある症状
子宮内膜症では、排卵痛以外にもいくつか症状が見られます。それらの症状は、以下のようなものです。
月経痛(生理痛)
生理の期間に子宮内膜から分泌されるプロスタグランジンという痛みの成分が、子宮以外からも分泌されてしまうため、生理痛の程度が通常よりも大きくなります。
月経痛以外の下腹部痛
患部の炎症や他の組織との癒着によって、生理でない時でも下腹部に痛みが感じられる場合があります。
性交痛
性交時、腟の奥部や下腹部に痛みが感じられる場合があります。翌日まで痛みが残ることもあります。
生理期間中の下痢・軟便、排便痛
直腸付近に患部があると、腸が収縮したり圧迫されたりすることで下痢になることがあります。また、ひどくなると排便時に痛みを伴うことがあります。
過多月経
子宮内膜が子宮筋層内に移植された子宮線筋症という状態になると、子宮自体が大きくなり過多月経の原因になります。
不妊症
子宮内膜が子宮内以外にできることによって、排卵障害や卵管での卵子の移送障害が起こるとされています。排卵しにくくなることによって、妊娠しづらくなるとされています。
排卵痛が強い場合の対処法とは
排卵痛が強い場合は、無理に我慢せず、痛み止めを服用するようにしましょう。またあまりに痛みがひどい場合は病院を受診し、医師に症状と服用した薬の内容などを伝えましょう。
排卵痛が強い場合の対処法とは
排卵痛が強い場合には、市販の痛み止め(鎮痛剤)を服用してください。
排卵日前後によく見られる腹痛以外の症状と原因
ここでは、排卵日に起こる痛み以外の体調不良を見ていきましょう。
むくみ、冷え
生理前の排卵後に多く分泌される黄体ホルモンは、体内に水分をためやすくする作用があります。これによってむくみやすくなるほか、体が冷えやすくなります。
腰痛
卵巣が剥がれたり、卵子を包んでいる卵胞というものが被れることで、腰に痛みが生じます。
眠気、だるさ
排卵後にはプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えます。プロゲステロンが分解されると、眠気を強くする「アロプレグナノロン」という物質が発生することから、眠気が起きるのです。低用量ピルの服用で改善することもあるため、日常生活に支障をきたすほどの症状が出ているなら医師に相談するとよいでしょう。
吐き気、めまい、頭痛
めまいや頭痛が起きることもあります。排卵期や生理開始前後は、エストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に低下し、脳内物質のセロトニンが減少するため脳内血管が拡張します。その結果、偏頭痛やめまいが出てくる可能性があります。
イライラ
排卵日前後はホルモンバランスが崩れやすい時期です。そのため体調が揺らぎ、気分の変動も起きてイライラや気分が落ち込むこともあります。
胸の張り、便秘、肌荒れ
排卵期は受精卵が着床しやすい、子作りに適した身体になるための準備期間です。そのため、乳腺内の血管が拡張して乳房が張ることがあります。
また腸内水分の吸収や腸のぜん動運動が鈍くなることによって便秘がちになり、肌荒れが起こることがあります。
おりものの変化
排卵前後にはホルモン量が増えるため、透明〜白濁色で量が多いどろっとしたおりものが出るようになります。
排卵日前後の気を付けたい特殊な症状
排卵期出血とは、生理とは異なる少量の性器出血のことをいいます。生理と生理の間に起こることから「中間期出血」とも呼ばれます。
排卵前後は、エストロゲンの分泌量が大きく変化します。それにより、排卵日が近づくと1~3日間に少量の出血が見られることがあります。
また、粘り気のある白っぽい色やクリーム色のおりものが増えます。このおりものに出血が混じり、茶色やピンクのおりものが出ることもあります。
排卵出血は病気ではないので安心してください。出血が大量だったり、長引いたりしなければ治療の必要はありません。
また、下記の記事で詳しく説明しているので併せてチェックしてみてください。
排卵日を穏やかに過ごす方法
排卵日には排卵痛をはじめ、さまざまな体調不良が見られます。なるべく無理をせず、穏やかに過ごすことが最善策です。排卵日を穏やかに過ごす方法をいくつかご紹介しましょう。
身体をしっかり温める
身体をしっかり温めると血流が良くなり、症状の緩和に効果的です。靴下や湯たんぽなどを使って意識的に身体を温めるようにしましょう。とくに下腹部をしっかり温めることが大切です。
バランスのよい食事をとる
バランスのよい食事をとるよう心がけましょう。暴飲暴食を避け、食事をとる時間は毎日同じにするようにし、偏食しないように気をつけてください。
ストレスを溜めない
ストレスは身体にいいことがひとつもありません。
排卵後は、エストロゲンが減少します。このエストロゲンは「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの生成にかかわる女性ホルモンです。セロトニンが不足するとイライラしたり、意欲や向上心が低下したり、うつのような症状が出たりすることがあります。ストレスを感じたら自分の好きなことをして発散し、溜め込まないようにしましょう。
生活リズムを整える
生活リズムの乱れは、ホルモンバランスの乱れにもつながります。ホルモンバランスが乱れると、生理不順や不正出血、イライラ、肌荒れなどの不調が起きやすくなるので注意が必要です。
決まった時間に寝て起きる、適度な運動をする、バランスのよい食事をするなど規則正しい生活を送りましょう。また睡眠の質を上げることも十分な睡眠を取るうえで効果的です。
低用量ピルを服用する
ピルを服用すると、排卵を抑える働きがあるので、排卵痛を抑えることができます。ピルを服用することで継続的な避妊をすることができることに加えて、PMSや生理痛の改善など、様々な副効用をもたらしてくれます。
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まとめ
排卵日には排卵痛のほか、イライラや眠気、倦怠感などの身体の不調が出ることがあります。この記事でご紹介した対処法を取り入れ、不快感を軽減させてみてください。
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