PMSはいつから症状が現れる?PMSが起こりやすくなる要因や、対策方法を紹介

生理
更新日:2024.10.02
PMSはいつから症状が現れる?PMSが起こりやすくなる要因や、対策方法を紹介

 

PMSは多くの女性が経験する症状ですが、現れる症状や程度、いつから起こるのかは人によって異なります。この記事ではPMSがいつから始まるのかという疑問を解消し、PMSの原因となるものや悪化させる要因など、症状の緩和につながる情報を解説しています。

PMSとは何か?

PMSは別名「月経前症候群」といい、生理が始まる前の3~10日間続く身体や精神の不調のことです。
生理中の痛みや不快感とは異なるもので、PMSは生理が始まると徐々にその症状は緩和されていきます。
主な原因は⽣理前に女性ホルモンが急激に変動することといわれていますが、そのほかにも体質や生活習慣などさまざまなことが原因で起こり、現れる症状や程度の重さも人によって変わってきます。
そのためなかなか周囲の人たちにつらさを伝えられず、長期にわたって悩みを抱えている人もいます。

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PMSの症状【精神的】

PMSで現れる症状には個人差があるものの、基本的にメンタルの不調をともなう症状が多いといわれています。
代表的なものにイライラや不安感、情緒の不安定さ、極度の落ち込み、無力感、焦燥感などがあげられます。
PMSがメンタルに及ぼす背景には、ホルモンバランスの変化があります。
月経周期の中で、排卵を境に女性の体内のホルモンバランスは大きく変動します。この変動が脳の視床下部に影響を及ぼし、自律神経の乱れにつながることが原因の一つだと考えられています。
また、自律神経は身体のさまざまな機能を調節する重要な働きを担っています。
しかしホルモンバランスが乱れると、自律神経のバランスも乱れてしまいます。
自律神経が乱れると睡眠障害や情緒不安定さを引き起こし、イライラ感や気分の落ち込み、不安感などの精神的な不調に影響します。
さらにPMSが起こる生理前には、プロゲステロンという女性ホルモンの分泌が増加する時期でもあります。
プロゲステロンが増加すると、体温が上昇し眠気を引き起こし、集中力や注意力の低下をもたらします。

PMSの症状【身体的】

PSMで起こる身体的な症状はかなり多く、個人の体質によってさまざまな症状が現れます。
代表的なものに肩こりや全身のむくみ、乳房やおなかの張り、冷や汗、ニキビ、発熱、体重の増減、吐き気、下痢、頭痛などがあります。
身体的な不調の原因には、プロゲステロンの急増による影響があるとされています。
生理前に増加するプロゲステロンは、体温を上げる作用や水分を体内に蓄える作用があります。
体温が上がることで血流を促進し、結果的に肌表面の皮脂の分泌量が増加するため、肌荒れやニキビなどを引き起こしやすくなります。
また水分が排出されにくいため、むくみも起こりやすくなり、体重が増加することもあります。

PMSの症状はいつから起こる?

PMSは生理がある全ての女性に起こり得る症状で、これまでPMSを感じていなかった人も、あるとき突然心身の不調を感じることがあります。
PMSはプロゲステロンが増加する排卵の前後から生理の出血までの間に起こり、生理の10日前から3日前に症状が現れます。
生理が始まると増加していたプロゲステロンが減少し、元のホルモンバランスへと落ち着くにつれて、徐々に症状が消失していくのが特徴です。
そのため、生理中に起こる不快感とは区別されています。

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PMSの原因は?

実のところ、PMSのはっきりとした原因は解明されていません。
脳内の神経伝達物質や栄養の偏り、鉄分の不足、外的ストレス、生活習慣などさまざまな原因があるといわれていますが、ホルモンバランスが大きな要因となっています。
生理前にはこれまで優勢だったエストロゲンが減少し、プロゲステロンが増加していきます。
プロゲステロンは脳の中のセトロニンやアドレナリンなどの神経伝達物質に影響し、イライラや不眠、情緒不安定さにつながっていくと考えられています。

PMSが起こりやすくなる要因

緊張やストレス

PMSは、仕事や日々の生活、また学校やアルバイトなどで感じる緊張や外的なストレスによって引き起こされることも報告されています。
苦手な取引先や上司がいる、新しいプロジェクトを任されたなど生活環境の変化によってもPMSが起こる要因となります。ストレスの感じ方には個人差もあるため、周囲から見ると些細なことであっても十分にPMSのきっかけになる可能性があります。

真面目な性格

真面目で几帳面な性格の人は、周囲に気を配り、仕事もきちんとこなせるため、周囲から頼られがちです。
しかし真面目な性格が災いしてストレスを抱えがちで、たまったストレスを発散できないという傾向もあります。
PMSは精神的な作用によっても引き起こされるため、真面目な性格の人は注意が必要です。

バランスの悪い食事

現代人は糖質や脂質を過剰に摂取する傾向があり、栄養が偏りがちです。
食べ物の中には、PMSの症状を緩和するものもあれば、反対にPMSの症状を悪化させるものもあります。
糖質や脂質は私たちの身体を活動的にするために欠かせない栄養素ですが、摂りすぎるとカロリーが過剰になり、PMSの症状も悪化しやすいことがわかっています。
反対にビタミンやタンパク質を豊富に取ることで、ホルモンバランスが整いやすくなり、PMSの症状を和らげると考えられています。

刺激物やカフェインの摂取

辛い食べ物やカフェイン・お酒などの刺激物を好んで食べる人やタバコ(喫煙)は、PMSの症状が悪化しやすいといわれています。
刺激物は自律神経に影響を与え、睡眠の質や発汗作用などに関わってきます。
また神経を過敏にするためイライラを感じやすくなり、PMSの症状を悪化させることもあります。

自律神経の乱れ

PMSの症状と自律神経の乱れによって起こる症状には、類似している点があります。
例えば冷や汗やイライラ、発汗や肩こり、むくみなど、自律神経が乱れることでも起こる症状です。
自律神経は、偏った食事や睡眠不足、不規則な生活習慣によって乱れてしまうことがあります。生理前のPMSが起こりやすい時期には、意識して睡眠をしっかりとるようにしましょう。

体力の低下

加齢や運動不足による体力の低下も、PMSの症状を悪化させる要因となります。
体力の低下によって、これまで感じなかった身体の不調を感じるようになり、PMSの症状として現れることも考えられます。お散歩やヨガ、ストレッチ、スイミングなどの有酸素運動は、PMSの症状を緩和する効果があると言われています。体調のよいときは、意識して運動をするようにしましょう。

PMSと似た症状や病気

子宮内膜症や子宮筋腫

子宮内膜症子宮筋腫はPMSと似たような症状を引き起こします。
腹痛、腰痛、貧血による倦怠感や動悸などの症状を伴います。
PMSと違うのは、子宮内膜症や子宮筋腫が生理中や生理後など、生理前以外の時期にも症状が現れるのに対し、PMSの症状は生理前のみに現れるという点です。

重症型のPMS(PMDD)

PMSと似た病気でメンタル面の不調が強く出るPMDDという病気もあります
PMDDは月経前不快気分障害と呼ばれ、激しいイライラ感や虚脱感を感じ、唐突に泣きたくなったりひどく落ち込んだりする症状です。
PMSと同じく周囲の理解が必要ですが、生理前以外は普通に振る舞えることも多いため、周りに相談できないことでさらに悪化するケースもあります。

更年期障害

PMSの原因はホルモンバランスの変化と考えられていますが、更年期障害もホルモンが減少することによって起こります。
更年期障害は主にエストロゲンの減少によって起こり、PMSと似たような症状を引き起こします。
更年期障害は50歳前後の女性に起こることが多いのに対し、PMSは閉経前の全ての女性に起こり得る症状です。

うつ

生理が始まっても気分の落ち込みが治らないというときは、その症状の原因はPMSではなくうつ症状にあるかもしれません。
うつとPMSの症状は非常に似ており、無力感や虚脱感、倦怠感をともなって落ち込んだり、涙を流したくなったりします。
うつは2週間以上の落ち込みが続きますが、PMSは生理前の期間に限定され、症状が現れて10日から3日で一度は落ち着き、また生理期間が近づくと症状が現れます。

妊娠の初期

PMSは女性ホルモンの一種であるプロゲステロンが増加する時期に起こりますが、妊娠するとプロゲステロンの分泌量が増加します。
プロゲステロンには妊娠を維持する機能が備わっており、妊娠の初期症状としてPMSと似たイライラや不安感、お腹の張りなどの症状を訴える人もいます。

PMSの症状は、年齢やストレスで変化する

年齢

PMSは年齢にかかわらず閉経前の多くの女性に現れる症状ですが、主に20歳を過ぎたあたりから表面化してくるといわれています。
10代のうちは身体が未成熟でホルモンバランスも安定しないため、生理周期が乱れがちです。
生理周期が安定しないと、生理前の不調を感じにくく、また生理痛がひどくなることもあるため、生理前に起こるPMSの症状を自覚しにくくなります。
20歳を過ぎると生理周期が安定してくるため、これまでなんとなく感じていた生理前の不調や違和感を毎月感じるようになり、PMSの症状を自覚していきます。

ストレス

これまでPMSの症状がなかったという人も、仕事や人間関係のストレスによってPMSが起こることがあります。
PMSはメンタルの不調として現れやすいですが、ストレスによってもPMSは引き起こされたり悪化します。
仕事や人間関係で生じたストレスは、エストロゲンにも関係するホルモンのセロトニンの分泌量を減少させます。
セロトニンは別名幸せホルモンと呼ばれ、メンタルの安定や幸福感をもたらすホルモンです。
セロトニンが減少すると幸福感を感じにくくなり、情緒が安定せず気分が落ち込みやすくなります。

PMSの対策方法

カルシウムとマグネシウムの摂取する

カルシウムとマグネシウムはPMSの症状である、イライラや情緒不安定さ、倦怠感を解消する栄養素として知られています。
カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品から摂取でき、マグネシウムは魚介類の中でも特に貝類に豊富に含まれています。

血行を悪化させる習慣をやめる

血行が悪化すると排出機能が低下し、むくみや肌荒れ、便秘などの身体の不調を招きます。
血行が悪化する原因には、不規則な生活習慣や、脂質の摂りすぎなどがあります。血液の流れをよくするためには、オメガ3脂肪酸やビタミンEを含む食材を積極的に取り入れることが大切です。
オメガ3脂肪酸はサーモンやマグロなどの脂ののった魚に、ビタミンEはブロッコリーや卵、ナッツ類に含まれています。

有酸素運動をする

軽い有酸素運動は血行を促進し、体内のホルモンバランスを整える効果があります。
気分転換にもなるため、PMSの症状であるイライラや不安な気持ちを落ち着かせます。
ヨガやウォーキングなど、軽く息がはずむ程度の軽い運動を習慣的に取り入れましょう。

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PMSの症状緩和にはホルモンバランスを整えることが大切

PMSがいつから起こるのか解説してきました。
PMSは生理前の10日から3日から症状が現れ始め、生理期間に入ると落ち着いてきます。
多くの女性がPMSの症状を経験していますが、個人差もあるため人によって現れる症状や程度も異なります。
PMSを和らげるには、正しい生活習慣やバランスの取れた食事、適度な運動習慣によって、ホルモンバランスを整えることが大切です。
低用量ピルによって症状が緩和される場合もあるため、かかりつけの産婦人科やオンライン診療で相談してみましょう。

監修者

淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田 綾子
世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。 2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。著書:患者さんの悩みにズバリ回答!女性診療エッセンス100(日本医事新報社)、明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社)など。

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