mederiでは「女性の生きやすさ」の実現を目指し、さまざまな年代・性別の方々へ、女性の身体について正しい知識を共有するセミナーを実施しています。今回は苫小牧市にて、女子アイスホッケー選手約40名と指導者および保護者約20名を対象に実施した「高めようチーム力！ 〜 女性アスリート性教育講座 〜」についてレポートします。

授業実施の背景

今回、授業を実施させていただいた苫小牧市とmederiは、2024年3月に地域活性化包括連携協定の締結をしています。その連携施策の一環として市のスポーツ担当部署より、チームや指導者などの性教育に取り組んでいきたいと考えているとご相談をいただきました。特に女性アスリートの健康についての取り組みを始めたところであるとのお話がありました。

それを受け、mederiではスポーツに打ち込む女性たちにとって、「生理/PMS」などの生理トラブルは切り離せない悩みの一つであるが、正しい知識や対処法を学び、チーム全体として真摯に向き合うことでより安心してスポーツに打ち込める女性が増えるのではないか、と考えています。専門的な知識とアスリート向けにフォーカスしたヘルスケア情報をお伝えし、女性スポーツチームが抱える悩みや不安を少しでも減らしたいという想いから、今回の授業を開催しました。

開催概要

テーマ：「高めようチーム力！～女性アスリート性教育講座～」

• 日時：2024年8月22日（木）
• 場所：nepiaアイスアリーナ
• 対象：女子アイスホッケー選手 約40名、指導者および保護者 約20名

1. 1.女性の体の知っておきたい基礎知識
2. 2.アスリートの悩みと解決策
3. 3.質疑応答
4. 4.グループワーク

登壇者プロフィール

郡 詩織 氏／産婦人科医

産婦人科専門医、がん治療認定医、mederiドクター

産婦人科医、抗加齢学会専門医、mederiドクター 山形大学医学部卒。東京医科歯科大学病院、総合病院 土浦協同病院、青梅市立総合病院を経験。mederiではピル処方のオンライン診療や、妊活サポート事業など幅広く事業に携わっている。

坂梨 亜里咲 / mederi株式会社 代表取締役

明治大学卒業後、ECコンサルティング会社を経て、女性向けwebメディアのディレクター、COO、代表取締役を経験。自らの4年に渡る不妊治療経験からmederi株式会社を設立。オンラインピル診療サービス「mederi Pill」、妊活サポートプロダクト「mederi Baby」を展開。

授業レポート

授業では、前半は産婦人科医の郡先生が講義を行い、後半はmederi代表の坂梨によるグループワークを行いました。 

まず、郡先生より「女性の体の知っておきたい基礎知識」について説明。生理は女性の健康状態を示すバロメーターであり、正常な月経周期を維持することが重要であることをお伝えしました。

講義の途中では、クイズを交えながら昔と現代女性の生涯生理回数について説明。約100年前の女性に比べ、現代女性は生理の回数が約9倍も多いことをお伝えすると、会場からは驚きの声があがりました。昔の女性よりも、より多く生理と付き合う必要がある参加者へ向けて、郡先生は「生理痛や生理不順が起きたときは当たり前ではなく、これらの症状を放置すると、将来的に深刻な健康リスクを引き起こす可能性があるため、我慢せずに産婦人科に相談しましょう。」とお伝えしました。

加えて、アスリート特有の健康問題として、無月経・利用可能エネルギー不足・骨粗鬆症とそのリスクを紹介。なかでも無月経には特に注意が必要であり、3カ月以上月経がない場合には医療機関への受診を推奨していることや、骨粗鬆症のリスクも高まるため適切な栄養補給と体重管理が重要になる点を説明しました。

続いて、「アスリートの悩みと解決策」に関するパートでは、参加者である選手たちの日頃の悩みを払拭できるよう具体的なアドバイスを交えながら解説しました。『シーズン中とオフシーズンで、ストレス症状に違いがあり、PMS（生理前症候群）かどうか判断基準はありますか？』という悩みについては、PMSが女性ホルモンの急激な変動によって引き起こされると考えられており、PMSにともなう身体的および精神的な不調への対策方法として、規則正しい生活や適度な運動などが大切であることをお伝えしました。

加えて、アスリートにとってバランスの良い食事は極めて重要であり、月経周期別にあわせてカルシウム・鉄分・ビタミンCなどの栄養素を取り入れていくことを説明しました。

次に、『生理痛緩和方法を教えて欲しいです』という相談については、一般的な痛み止めのほかに、低用量ピルや漢方薬の使用を紹介しました。痛み止めの服用タイミングについては、痛くなる前もしくは試合など大切な時の1時間ほど前の服用が効果的であるとお伝えしました。低用量ピルについては、PMSや生理痛などのトラブルから解放されるだけでなく、子宮内膜症の予防にも効果的である点を説明。

漢方薬については、ドーピングに注意が必要であり、適切な使用が求められることをアスリートにとっての注意点としてお伝えしました。最後に、郡先生は「生理痛緩和方法には様々な種類があるので、自分にあった方法で対処していきましょう。わからないことはいつでも産婦人科で相談してください。」と締めくくりました。

グループワークレポート

後半では、選手たち自身が自分の生理や健康管理について考えるグループワークを実施しました。mederi代表の坂梨が司会として自分自身の体験談など交えながらセッションを進行しました。

「自分の生理に名前をつけよう」というワークからスタート。自分自身の生理へのネーミングを通して生理痛の症状や生理期間の気分を伝え合いました。各グループから驚きの声や笑いが生まれるとともに和やかなコミュニケーションが進みました。自分の生理に名前をつけることで、ネガティブなイメージのある生理にも親しみをもって、少しでもうまく付き合っていってほしいという想いをお伝えしました。

その後、「生理の失敗談」と「生理の良い思い出」を共有するワークでは、日頃の練習や合宿などで選手たちがひとりで抱えていた悩みや、選手同士で助け合ってきた場面などがエピソードとしてあがり、それぞれが共感しながら発表に聞き入る様子が見られました。

最後は「自分たちのチームにこれから必要なことは何か？」という視点から、知識面・メンバー同士のコミュニケーション・練習時のサポート体制などについて、一人ひとりの考えをもとにディスカッションを行いました。今後のアスリート生活がより快適なものになるよう、具体的な対策案を共有し、相互理解を深めることができました。

坂梨は「生理は女性の人生にとって必要なことであり、アスリート生活やその後の歩みのなかでどのようにケアして付き合っていくのか互いに支え合えるかが大切です。」とお伝えし、締めくくりました。

授業後の声

＜選手より＞

「今まで、あまりよく考えたり知る機会がなかったので、詳しく知ることができてよかったです。」

「生理の基礎知識から応用知識まで幅広く知ることができてよかったです。」

＜保護者より＞

「すごくためになる話で、子どもに対して、自分も経験してることでの知識しかなく、薬なども飲んだことがないので、疑問なことがたくさんありました。試合でベストパフォーマンスができるように、これからもサポートしていきたかったので、栄養面でもためになる話が聞けてよかったです。」

「とても有意義な講座で、アスリート以外でも必要なお話だと思いました。大人や同性であってもわからないことや他人と比べられないことで、不安や不便がないよう心構えができる良い機会でした。またこのような機会がありましたら、是非参加したいと思いますし、小学生の保護者の方でも興味を持っている方もいて、幅広い層で開催されることを願います。」　

mederiでは、今後も様々な年代の男女へ向けて、生理/PMSに対する正しい理解や、ご自身の身体に合わせた選択肢の提供を目指して、女性の健康課題や性教育に関するセミナー活動を実施していく予定です。またオンラインピル診療サービス「mederi Pill」をはじめ、展開する様々なサービスを通して「女性の生きやすさ」の実現を目指してまいります。

スポーツアンバサダーにつきましては以下のURLより専用サイトをご確認ください。
https://mederi.jp/sportsambassador/