生理は女性にとって健康状態のバロメーターでもあります。
生理の基礎知識や、生理中でも快適に過ごすためのセルフケアをご紹介。
もしかして月経困難症?放置はNG!チェックリストで症状を知って適切な治療を
生理周期に起こるさまざまな不調は、「月経困難症」かもしれません。この記事では月経困難症について、チェックリストや症状を紹介します。また、月経困難症の治療法も解説します。
もくじ
月経困難症とは
月経困難症は生理期間中に起こる、日常生活に支障をきたすほどの身体的・精神的な症状のことです。月経困難症の主な症状には、月経痛、腰痛、頭痛、吐き気、むくみ、下痢、気分の落ち込みやイライラなどがあります。
日本では、女性の約4人に1人が月経困難症であるともいわれています。実際に医療機関を受診して治療を受けている人は約55万人、これは月経困難症の患者の中ではわずか数%といわれています。このことからもわかるように、たくさんの女性が月経困難症に悩まされています。
月経困難症チェックリスト
自分が月経困難症かどうか判断するのは難しいですが、まずは以下のチェックリストで確認してみましょう。当てはまるものが多い場合は、月経困難症の可能性があります。
・生理痛が原因で寝込んだり、起きることができない
・生理痛がひどく、仕事や学校を遅刻したり休むことがある
・生理痛が以前より強くなっている
・尿をするときや性行為のときに痛みを感じる
・生理中は毎日鎮痛剤を使っている
・生理中に鎮痛剤を飲んでも効かないことがある
・生理中に頭痛、吐き気、腰の痛みなどの症状もある
月経困難症の症状
月経困難症の主な症状には、次のようなものがあります。
腹痛・腰痛
生理中によくある症状の例が下腹部の痛み・腰痛です。生理中は子宮の内膜から「プロスタグランジン」という物質が出ることで、子宮を収縮させて経血を体の外に出すはたらきをしています。このプロスタグランジンの分泌量が多かったり、効きすぎたりするとこれ子宮周りの腹部、下腹部、腰の痛みのもととなります。また、経血の出口である子宮頸管が細いと、子宮が強く収縮したり経血が上手く出なかったりして下腹部に痛みを感じることがあります。この痛みは初経を迎えたばかりの10代や、出産経験のない若い女性に多くみられます。
頭痛
月経困難症では、頭痛の症状が出ることもよくあります。この原因は、プロスタグランジンに加えて、月経前~月経時にかけて女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が低下することが原因と考えられています。
吐き気
吐き気の原因も、腹痛の原因と同様で、痛みのもととなる「プロスタグランジン」の分泌によって引き起こされます。プロスタグランジンは子宮を収縮させ経血を子宮の外に出すはたらきをしますが、子宮以外にも胃や腸管も収縮させます。そのため吐き気をもよおす、胃のむかつき、お腹の張りといった症状が出ることがあります。
月経困難症の種類と原因
月経困難症には「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2種類があります。両者の違いは、原因となる疾患の有無です。原因疾患のないものは機能性月経困難症、原因疾患があるものは器質性月経困難症と定義されています。
機能性月経困難症
原因となる疾患がないのが「機能性月経困難症」です。子宮の内膜から出るプロスタグランジンという物質が子宮の筋肉や血管を強く収縮させる、子宮の出口が狭く経血が上手く排出できないといったことが原因と考えられています。10代後半~20代前半に多く、月経初日~2日目ころの出血が多い期間に症状が強く出ます。
器質性月経困難症
「器質性月経困難症」は、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、先天性子宮奇形などの疾患が原因です。原因となる病気によって、月経痛、出血量の増加などを引き起こします。20代後半~30代以降に多く、痛みが月経期間中継続することが多いのが特徴です。
月経前症候群(PMS)との違い
月経困難症と混同しがちなのが「月経前症候群(PMS)」です。両者は、症状が出るタイミングが異なります。月経困難症は月経が始まるとともに症状が出ますが、月経前症候群(PMS)は生理が始まる3~10日前くらいから症状が出ます。また、原因も異なります。月経困難症は子宮内膜症や子宮筋腫といった婦人科系の病気が原因となることがありますが、PMSは明らかな原因となる病気がないのが特徴です。
月経困難症を放置するとどうなる?
痛みを我慢して月経困難症を放置しておくと、次のような子宮の病気を見逃し、治療困難になる可能性が高まります。
子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の外にできてしまう病気のことです。癒着や炎症により不妊症になったり、子宮の外にできた内膜が、月経困難症の原因となることがあります。
子宮筋腫
子宮筋腫も、月経困難症の原因のひとつです。子宮筋腫は、子宮筋層にできる良性の腫瘍(筋肉のかたまり)のことをいいます。子宮筋腫の大きさや、腫瘍がどの位置にできたかによって、月経困難症を引き起こすことがあります
子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)
子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉のなかにできる疾患のことです。子宮の筋肉の中にできた組織が生理周期の際に出血してしまい、子宮の筋肉が厚くなることによって月経困難症を引き起こします。
月経困難症の治療法
器質性月経困難症も機能性月経困難症も、辛い症状を和らげることを目的に薬物療法が行われます。用いられる薬には、痛み止めや抗炎症薬、低用量ピルや子宮内避妊具などのホルモン剤などがあります。そのほか、漢方薬や鍼灸などの代替療法も選択肢のひとつです。
さらに器質性月経困難症の場合は、原因となる疾患の治療を行います。子宮腺筋症が原因の場合は、ホルモン療法や子宮全摘出手術などによる治療をします。また子宮筋腫が原因である場合は、ホルモン療法や子宮筋腫の摘出手術、子宮全摘出手術などが行われます。
月経困難症の治療にピルがおすすめの理由
月経困難症の治療に、低用量ピルはとても有効です。卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンが含まれ、服用することで女性ホルモンのバランスを整え、子宮内膜増殖の抑制、排卵の抑制が見込めます。また、子宮内膜症の進行を抑える効果もあるといわれています。
月経困難症は放置しないで
生理痛がひどい人は「いつもの生理痛か」とあきらめたり、我慢したりする人が多いかもしれません。しかしそれが月経困難症なら、放置することで病気が悪化してしまうこともあります。低用量ピルを服用することで、生理痛や生理中の諸症状を緩和することもできます。激しい生理痛は決してそのままにせず、病院やクリニックを受診しましょう。
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