生理は女性にとって健康状態のバロメーターでもあります。
生理の基礎知識や、生理中でも快適に過ごすためのセルフケアをご紹介。
超低用量ピルとは?低用量ピルとの違いや効果・デメリットを解説
避妊や生理に関する悩みを軽減するために、多くの女性がピルを飲んでいます。そのピルの中には「超低用量ピル」という種類があるのをご存知ですか?超低用量ピルはどんなもので、どんな効果やメリットが期待でき、低用量ピルとは何が違うのでしょうか?この記事では、超低用量ピルについてご紹介します。
もくじ
超低用量ピルとはどういうもの?
避妊効果が高く、WHO(世界保健機関)も若い世代の避妊方法としてピルを推奨しています。生理に関する悩みの軽減も期待できて、世界中で多くの女性が飲んでいます。中でも代表的なピルには「低用量ピル」と「超低用量ピル」があります。それぞれの特徴と、どんな違いがあるのかを見てみましょう。
超低用量ピルの主な特徴
ピルには、女性ホルモンのひとつである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が含まれています。超低用量ピルは、エストロゲンの含有量が30㎍(マイクログラム)未満ととても少ないのが特徴です。超低用量ピルは、主に月経困難症や子宮内膜症の治療薬として使われています。病院で超低用量ピルを処方された場合には、保険が適用されます。
超低用量ピルと低用量ピルの違い
低用量ピルは、エストロゲン含有量が50㎍(マイクログラム)未満です。超低用量ピルと低用量ピルの違いは、ピルに配合されているエストロゲンの含有量にあります。低用量ピルは、月経周期を安定させたり、PMSや生理痛を改善させたりする効果があるほか、避妊目的で服用されることもあります。超低用量ピルは、低用量ピルに比べて副作用が表れにくいといわれていますが、不正出血が起きるリスクはやや上がります。
超低用量ピルの効果・メリット
月経困難症や子宮内膜症の治療に使われている超低用量ピルですが、具体的にはどんな効果やメリットが得られるのでしょうか?
生理痛が緩和される
まずは、生理痛の緩和が期待できます。女性の体は妊娠に備えて子宮内膜が厚くなっていきますが、妊娠が成立しないと子宮内膜がはがれ落ち、血液と一緒に体外に排出されます。このときに感じるのが生理痛です。超低用量ピルは子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、経血量自体もが減って生理痛も軽減されます。
生理不順を改善できる
女性の生理は25~38日の周期で起きますが、これにあてはまらない場合は月経不順といわれます。そんな月経不順の改善にも、超低用量ピルは役立ちます。超低用量ピルは女性ホルモンの変動を抑制し、それぞれのピルに設けられた休薬期間の間に生理が起きる仕組みになっています。そのため生理周期が安定して、いつ生理がくるのか事前に予測できるようになります。
ニキビや肌荒れを抑える
生理が近づいてくると、ニキビができやすくなったり肌荒れしやすくなったりする方は多いでしょう。これは、皮脂分泌を促進する黄体ホルモンの分泌量が増加するからです。超低用量ピルを服用すると、黄体ホルモンの分泌や男性ホルモンの働きが抑制されるため、皮脂が過剰に分泌して毛穴に詰まることを防げるのです。その結果、ニキビや肌荒れの改善が期待できます。
PMSが改善される
生理前には、むくみが出たり便秘になったり、さまざまな不調が表れることがあります。これはPMS(月経前症候群)と呼ばれるもので、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の変化による影響といわれています。超低用量ピルには、これらの女性ホルモンの変動を抑える働きがあるため、PMSの緩和も期待できます。
超低用量ピルのデメリット・副作用
超低用量ピルで起きる可能性のある副作用には、不正出血、頭痛、吐き気、むくみなどがあります。低用量ピルよりも超低用量ピルの方が、副作用が出現しにくいといわれています。副作用が出るとしても飲み始めたころがほとんどで、そのまま飲み続けることでホルモンバランスが整い、症状は落ち着いていくことが多いのです。
血栓症のリスク
超低用量ピルの副作用には、血栓症のリスク増加があります。これは、ピルに含まれているエストロゲン(卵胞ホルモン)に血液凝固作用があるためです。海外の疫学調査の結果によれば、血栓症の発症確率は、低用量ピルを服用している場合1万人に3〜9人、服用していない場合1万人に1〜5人とされており、低用量ピル服用者の方がわずかにリスクが高まります。
ちなみに、低用量ピルと超低用量ピルの違いは含まれているエストロゲン量にあり、含有エストロゲン量が50μg(マイクログラム)未満のものを低用量ピル、30μg未満のものを超低用量ピルといいます。超低用量ピルは低用量ピルに比べてエストロゲン量が少ないため、血栓症を発症する割合は低用量ピルとは少し異なる可能性があります。ですが発症リスクはゼロではないため、超低用量ピルであっても十分注意が必要です。
血栓症になると、血管が詰まって血液が循環できなくなるため、手足が腫れて痛みや痺れが出てきたり、呼吸がしにくくなったり舌がもつれてきたりします。手足の痺れ・突然の手足の腫れ・激しい頭痛や胸の痛み・息苦しさなどは血栓症の初期症状なので、これらの症状が見られた場合は、ピルの服用を中止してすぐに病院を受診するようにしてください。
超低用量ピルには避妊効果がないって本当?
低用量ピルは避妊目的で服用することがありますが、超低用量ピルは生理痛の軽減や月経困難症の治療のために使われる薬です。超低用量ピルにも一定の避妊効果はありますが、日本では避妊に関する試験が行われていないことから、避妊目的での使用は認められていません。
超低用量ピルの種類は?
超低用量ピルには、次の5種類があります。
ヤーズ配合錠
ドロスピレノンと呼ばれるプロゲステロン(黄体ホルモン)を含む超低用量ピルです。
ヤーズフレックス配合錠
ヤーズ配合錠と同じく、黄体ホルモンであるドロスピレノンを含みます。国内で初めて、最長120日間まで連続しての服用が可能となりました。
ドロエチ配合錠
ヤーズ配合錠のジェネリック医薬品です。成分や用量などは同様で、ヤーズ配合錠よりも安価に購入できます。※ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が切れた後に、新薬と同じ有効成分を使って作られる薬のことをいいます。
ルナベル配合錠ULD
ノルエチステロンと呼ばれる黄体ホルモンを含みます。
フリウェル配合錠ULD
ルナベル配合錠ULDのジェネリック医薬品です。ルナベル配合錠ULDよりも安価に購入できます。
超低用量ピルの服用方法
超低用量ピルの服用方法は、低用量ピルと同じです。1日1錠を決まった時間に飲んでいきます。超低用量ピルでも低用量ピルでも、28錠で1セットになっているタイプは、4錠が有効成分が入っていない偽薬になっています。偽薬を飲んでいる期間に生理が始まります。毎日飲む時間がバラバラだったり飲み忘れたりすると、効果が弱まり不正出血などが起きる原因になります。超低用量ピルは、毎日決まった時間に飲み続けることが大切です。
超低用量ピルを服用する際の注意点
超低用量ピルの副作用には血栓症があります。これは血管のなかで血液が固まり、血管が詰まってしまう病気です。そのため血栓症のリスクが高い方は、超低用量ピルを服用できないことがあります。まずは医師に相談してから服用するようにしましょう。
超低用量ピルの購入方法
超低用量ピルは、低用量ピルと同じように医師による診療を受けて処方してもらう必要があります。産婦人科を受診する、オンライン診療を行っている医療機関を利用するなどを検討しましょう。オンライン診療が可能なら、自宅で生理や避妊に関することを相談できます。副作用の心配も相談できますから、どんなピルを飲んだらいいのかアドバイスを受けるといいでしょう。
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まとめ
超低用量ピルは、低用量ピルと同じように生理に関する悩みを軽減してくれる心強い味方です。「生理痛がひどい」「生理周期がバラバラ」など、毎月の生理トラブルに悩んでいる方は少なくないでしょう。生理のために憂鬱になったり、せっかくの外出ができなくなってしまったりするのはつらいものです。毎日を過ごしやすくするために、超低用量ピルも選択肢のひとつに加えてみましょう。
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