ピルで生理痛は改善できるって本当？ピルの効果を最大化するコツや痛みが変わらないときの対処法を紹介

ピル

更新日：2025.11.05

「毎月の生理痛がつらくて鎮痛剤が手放せない…」「ピルって生理痛にどれくらい効果があるの？」と悩んでいませんか？
世界で多くの女性が飲んでいる低用量ピルは、生理痛をやわらげたり生理不順を改善したりする、頑張るあなたの毎日をより快適にするための心強い味方です。

なぜピルが痛みに効くのかという仕組みから、治療用ピル（LEP）と避妊用ピル（OC）の違いまでをわかりやすく解説します。ピルを飲んでも生理痛があまり緩和しないときに考えられることについても紹介しているので、参考にしてあなたにぴったりの方法を見つけ、毎日をもっと前向きに軽やかに過ごせるようになりましょう。

ピルで生理痛は改善できる
生理痛治療に特化したピルと避妊用ピルの違い
そもそも生理痛はなぜおこる？
ピルは生理痛緩和になぜ効果的なのか
ピルは生理不順にも効果的
ピルを飲んでも生理痛が変わらないときに考えられること
低用量ピル服用時の注意点
ピルを飲んでも生理痛がひどいならもう一度診療を受けよう
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ピルで生理痛は改善できる

毎月起こる生理に伴う、つらい生理痛は低用量ピルの服用で改善できる可能性があります。
生理痛の原因のひとつはプロスタグランジンというホルモンが子宮を収縮させ、経血を排出する働きをして発生する痛みです。
低用量ピルはエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを配合した薬で、服用することによって体内のホルモンバランスを整えてプロスタグランジンの分泌を抑制する作用があることから生理痛を軽減させる働きをします。
生理痛で悩んでいる方は低用量ピルの服用も検討してみるとよいでしょう。

生理痛の治療方法

生理痛には痛み止め（鎮痛剤）が有効です。生理痛の原因のひとつにプロスタグランジンというホルモンによって引き起こされる痛みであり、痛み止めのなかでも非ステロイド性の抗炎症薬がプロスタグランジンに効果的とされる痛み止めになります。
ドラッグストアや薬局では、生理痛に効くさまざまな種類の痛み止めが販売されているので薬剤師に相談して、自分にあったものを見つけてみてくださいね。

根本的に生理痛を改善する方法としては、低用量ピルも有効です。ピルを使うことで生理周期を整え、痛みや出血量を軽くできるなど、さまざまなメリットがあります。なお、薬に頼らず、体質改善や体調に合わせた方法を試したい方には漢方もおすすめです。生理痛には漢方とピル、どっちが良いか迷う方もいるかもしれませんが、どちらにもメリットがあるため、痛みの強さや生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。まずは医師や薬剤師に相談して、あなたに合う方法を見つけましょう。

生理痛治療に特化したピルと避妊用ピルの違い

ピルには、病気や生理トラブルの治療を目的とするものと、避妊を目的とするものがあるのをご存知ですか？ここでは、生理痛などの治療用ピル（LEP）と避妊用ピル（OC）の違いをわかりやすく解説します。

治療用低用量ピル（LEP）

生理痛を治療するための低用量ピル（LEP）は、月経困難症や子宮内膜症の治療を目的として服用するピルで、保険適用になるのが大きな特徴です。基本的には避妊用ピル（OC）と同様の成分ですが、日本では病気の治療薬として区別されています。

LEPは、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬」と呼ばれ、つらい生理痛や子宮内膜症の治療として使用する場合に保険適用となります。LEPもOCと同じく排卵を抑えるため避妊効果もありますが、日本では治療のためにしか処方が認められていません。お財布の負担を軽くしながら、生理の悩みを解決できる心強い薬です。

避妊用低用量ピル（OC）

避妊用の低用量ピル（OC）は、経口避妊薬（Oral Contraceptives）の頭文字をとったものであり、主に避妊を目的として服用する低用量ピルです。副作用が強く出ないよう、ホルモン量をできるだけ少なく抑えていますが、OCには排卵を抑制したり、受精卵が着床しにくい状態にしたりする働きがあります。毎日正しい方法で服用すれば非常に高い避妊効果が期待できます。

OCは保険適用外（自費診療）となりますが、避妊効果だけでなく、生理周期が安定してスケジュールを立てやすくなるメリットもあり、「妊娠の不安を少しでも減らしたい」という方に寄り添ってくれる薬の1つです。

そもそも生理痛はなぜおこる？

生理痛が起こる原因は、プロスタグランジンというホルモンの分泌量が多いことです。これにより経血を排出する時に必要以上に子宮が収縮してしまうため、痛みが生じます。

ピルは生理痛緩和になぜ効果的なのか

毎月やってくるつらい生理痛に鎮痛剤が手放せない…という方も少なくないのではないでしょうか？ピルは避妊のためだけでなく、生理痛の緩和にも効果があります。

ピルは、どのようにして生理痛を和らげるのか、その仕組みや理由を見ていきましょう。

プロスタグランジンの過剰分泌を抑える

ピルは、生理痛の原因のひとつである「プロスタグランジン」の分泌を抑えることで痛みを和らげます。子宮内膜が厚くなると、剥がれ落ちて経血になるときにプロスタグランジンという成分が多く作られ、これが子宮を強く収縮させて痛みを引き起こします。
ピルを服用すると子宮内膜が薄く保たれるようになるため経血量が減り、それに伴い、子宮を過剰に収縮させるプロスタグランジンの分泌量も抑えられるのです。結果として、生理開始直後の強い痛みが軽減されることが期待できます。

ホルモンバランスを安定させる

ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンを体内に一定量供給し、ホルモンバランスを安定させる働きがあります。
自然な生理周期では、排卵の前後でホルモン量が変動するため、体調が崩れたり、PMS（月経前症候群）のつらい症状が出やすくなります。ピルを服用すると、このホルモン量の変動が穏やかになるので、生理に伴う不快な症状全体を抑えることができるのです。

ピルは生理不順にも効果的

ピル服用時のホルモンバランス

ピルを内服することで、ホルモンバランスを一定に整える効果があるため、生理周期安定効果も期待出来ます。
ピルを用いても生理不順が改善しない場合は、子宮や卵巣の病気やその他の病気が関係していることがあるため、そのまま放っておかずに医師に相談しましょう。

個人差はありますが服用開始からだいたい2〜3ヶ月のうちに効果が出ると言われていますので、最低3ヶ月は様子を見るようにしてください。

※3ヶ月以降も効果がなければ医師に相談ください

ピルを飲んでも生理痛が変わらないときに考えられること

ピルを飲んでいるのに、思ったほど生理痛が和らがないと不安になりますよね。

ピルを服用しても生理痛が変わらないときに考えられる原因や、どんな対処ができるかをわかりやすくお伝えします。

飲み始めて3シート服用しきっていない

低用量ピルを飲み始めたばかりで生理痛がまだ改善しない場合、飲み始めてから十分な時間が経っていない可能性があります。ピルが生理痛の改善効果を実感できるまでには個人差がありますが、だいたい1シートから3シートほどかかるといわれています。
これは、服用を始めたばかりで体が薬に慣れる期間であり、体内の女性ホルモン量を調整している最中だからです。服用を始めてすぐには効果を感じにくいこともありますが、3シートほど続けるとホルモンバランスが整い、生理痛の軽減など効果を実感できる方が多いため、継続して様子を見てみましょう。
ただし、服用開始から間もない期間であっても、副作用が強く出ている場合や、気になる症状がある場合は、無理をせず医師に相談してくださいね。

服用時間や頻度がバラバラ

低用量ピルの効果をしっかり感じるためには、毎日ほぼ同じ時間に服用することが大切です。ピルは1日1錠、毎日決まった時間に飲むのが基本のルール。飲み忘れが続いたり、服用時間がバラバラだったりすると、体のホルモンバランスが安定せず、思ったような効果が得られないことがあります。
生理痛の軽減や高い避妊効果といった効果を得るためにも、毎日の習慣に組み込むことを意識してみてくださいね。

低用量ピル服用時の注意点

低用量ピルは正しく服用することでさまざまな効果を発揮する薬です。
服用にあたって副作用の症状や飲み忘れが生じた場合について知っておきましょう。

副作用はある？

低用量ピルには副作用が出る可能性があります。
しかし、含まれるホルモン量が少ない上に、昔のものに比べると改善されてきているため心配しすぎなくても大丈夫です。
主な副作用としては、吐き気や頭痛、乳房の張り、不正出血、むくみ、下腹部痛などですが個人差があります。
おおよそ3か月ほどで治まってくることがほとんどですが、治まらない場合には医師へ相談してピルの種類変更をするか、漢方薬を服用するなど他の方法を選択するのも一つの手段です。また、副作用を悪化させないためにもピルとそのほかの薬やサプリメントの飲み合わせには気をつけましょう。
詳しい飲み合わせは、下記の記事でチェックしてみてくださいね。

飲み忘れたら？

低用量ピルを飲み忘れた場合には、避妊率が下がる可能性があります。
基本的に飲み忘れが1日（1錠）のみの場合は、気づいた時点で服用し、その日に通常通り服用する分も時間通り服用します。1日に計2錠まで服用する分には問題ありません。
しかし、2日（2錠）以上飲み忘れが発生した場合には一度服用を中止する必要があります。
その際には次回の生理が来てから新しいシートを服用するようにしてください。

ピル服用時にほかの薬を併用してもいい？

ピルを服用する際には飲み合わせに注意しましょう。
低用量ピルとの併用が禁止されているのは、C型肝炎の薬です。
また、互いに影響し合う可能性のある薬は以下の薬です。

薬効	薬剤名
てんかん治療薬	フェノバルビタール、プリミドンフェニトイン、カルバマゼピン、トピラマート、オクスカルバゼピンなど
結核治療薬	リファンピシン
解熱鎮痛薬	アセトアミノフェン
抗真菌薬	フルコナゾール・ボリコナゾール、イトラコナゾールなど
子宮内膜症治療薬	Gn-RH誘導体、酢酸ブセレリン
糖尿病治療薬	血糖降下剤、インスリン製剤、スルホニルウレア系薬剤、スルホンアミド系薬剤、ビグアナイド系製剤
ステロイド内服薬	プレドニゾロン、デキサメタゾンなど
胃酸分泌抑制剤	オメプラゾールなど
抗うつ剤	イミプラミン
免疫抑制剤	シクロスポリンなど
パーキンソン病治療薬	セレギリン塩酸塩など
ぜんそく治療薬	テオフィリンなど

上記の薬をピルと併用してしまうと互いの薬の効能に影響が出てしまい、体に悪影響を及ぼす可能性がありますので気づいた時点で、低用量ピルを処方している医師に相談しましょう。

ピルを飲んでも生理痛がひどいならもう一度診療を受けよう

ピルは多くの人の生理痛を和らげてくれる薬ですが、服用を続けても痛みがひどい場合は、もう一度婦人科を受診してみましょう。飲み始めの1〜3シート目くらいは、体がホルモンの変化に慣れるまで時間がかかることもありますが、それ以降も痛みが強いままなら、ピルの種類が体に合っていない、あるいは子宮内膜症や子宮筋腫など、別の病気が関係している可能性もあります。
正しい飲み方（時間や頻度）ができているかも含めて相談し、あなたに合った方法で生理痛の改善を目指していきましょう。

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公式YouTubeチャンネルでは、産婦人科医が生理やピル、PMSなど、カラダに関するさまざまなお悩みにお答えする「mederi保健室」を定期的に配信しています。今回の動画では、生理痛のメカニズムや痛み止めに関する疑問など、皆さまの「生理」に関するお悩みに医師がお答えします。

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