アフターピル（緊急避妊薬）の仕組みとは？費用や副作用、避妊成功の確認方法も解説

予期せぬタイミングでの避妊の失敗。そんなとき、頼りになるのが、アフターピル（緊急避妊薬）です。
この記事では、アフターピルの気になる避妊率や、効果を高めるための正しい服用タイミング・方法、さらには避妊が成功したかを確認する方法まで、専門的な視点からわかりやすく解説します。いざというときのために、正しい知識を身につけておきましょう。

アフターピルが必要なケース

以下のような状況では、アフターピルの服用が推奨されます。

・コンドームが破れた・外れた
・避妊せずに性行為をした
・ピルの飲み忘れがあった
・性交中に腟外射精に失敗した
・性的暴行などで避妊手段が取れなかった

アフターピル（緊急避妊薬）の避妊率は？

日本で認可の下りているノルレボ（レボノルゲストレル）の避妊率は、性交渉から72時間以内の服用で84％、72〜120時間以内の服用で63％とされています。
より早く服用すればするほど妊娠を阻止できる可能性が上がります。

参照：「緊急避妊法の適正使用に関する指針 （平成 28 年度改訂版）」

アフターピルとは？

アフターピルは避妊に失敗した際に使用する緊急避妊薬です。
低用量ピルと違い、1錠で高い避妊効果を発揮します。あくまで妊娠を回避するための薬のため、着床してからの服用では効果を発揮できません。

アフターピルの効果と避妊の仕組み

アフターピルには多量の女性ホルモンが含まれているため服用することで、排卵を抑制・着床を阻止などの働きをすることで妊娠を回避します。通常、妊娠を受け入れる場合に増殖する子宮内膜を薄く保ち受精卵を着床しにくい状態を作ります。

アフターピルの種類

アフターピルには全部で2種類あります。それぞれの特徴や服用時間について見ていきましょう。

アフターピルの副作用

アフターピルの副作用には、吐き気や頭痛、めまい、乳房の張りなどが挙げられます。
特に、服用から3時間以内に嘔吐してしまうとアフターピルの成分を十分に吸収できないままの場合があります。その際は医師に相談し、状況によってはもう1錠服用します。

アフターピルの費用目安

アフターピルは保険適用外（自由診療）のため、医療機関ごとに費用が異なります。ここではオンラインピル診療サービスのメデリピルでの金額を紹介します。

※保険適用外の自由診療となります
※薬代のほか、処方の有無にかかわらず診療代が1,650円（税込）かかります

アフターピルで避妊率を高める飲み方

次にアフターピルを服用する際の避妊率を高めるための服用方法について見ていきましょう。

性交渉後72時間以内に服用する

ノルレボ（レボノルゲストレル）を服用する場合は、とにかく性交渉から短い時間で服用することで避妊率を上げることができます。24時間以内の服用が理想ですが、72時間以内までに服用することを心がけましょう。それ以降は、避妊率が下がる一方です。

服用後3時間以内に嘔吐しない

前述にもあったように、アフターピルは成分が吸収されるまでに3時間程時間を要します。そのため、服用してから3時間以内に嘔吐してしまうと成分が吸収されないまま体外に出てしまう場合があります。この際は必ず医師に相談するようにしてください。

水かぬるま湯で飲む

アフターピルに限らず、薬を服用する際は水かぬるま湯で服用するようにしましょう。
例えば、アルコールには吐き気を催す危険性やピルと同じ肝臓で分解されるため危険です。ほかにも、カフェインを含んだ飲料も避けましょう。特にグレープフルーツジュースにはフラノクマリンという成分が含まれており、ピルの成分が強く出たり副作用が出やすくなる危険性があります。

サプリメントや薬との飲み合わせに注意する

アフターピル服用時は、いつも飲んでいるサプリメントや薬などの飲み合わせにも注意しましょう。種類によっては、アフターピルの効果が弱まったりする可能性があります。必ず常用しているサプリメントや薬は医師に申し出るようにしてください。

アフターピルによる避妊成功の確認方法

アフターピル服用後の避妊が成功したかどうかは気になるところです。避妊成功の確認方法について説明していきます。

消退出血の有無

アフターピルを服用した後には、「消退出血」と呼ばれる出血が見られることがあり、避妊に成功したサインの1つでもあります。
個人差はありますが、一般的には服用から3〜7日ほどで起こることが多いとされています。
出血の期間や量にもばらつきがありますが、生理よりも少量で、2〜3日程度でおさまるケースが多いようです。

生理の再開

アフターピル服用から3週間以内に生理が来た場合、避妊成功のサインの1つと捉えられます。しかし、アフターピルの服用後によりホルモンバランスの一時的な変化で生理が遅れることが稀にあります。とはいえ、大幅に生理が遅れる際は妊娠の可能性もあるため産婦人科を受診するようにしましょう。

妊娠検査薬による確認

アフターピルの服用後、避妊が成功しているかを確認する最も確実な方法は、妊娠検査薬によるチェックです。服用から約3週間後を目安に、検査を行うようにしましょう。
もし妊娠の可能性がある場合や不安が残る場合は、産婦人科を受診して検査を受けることもできます。

アフターピルに関するよくある質問

最後にアフターピルに関するよくある質問に回答していきます。

Q.アフターピルを服用すれば確実に避妊できる？

アフターピルは100%避妊が成功するものではありません。ノルレボ（レボノルゲストレル）の場合の避妊率は、性交渉から72時間以内の服用で84％、72〜120時間以内の服用で63%とされています。妊娠を望んでいない場合は、必ずコンドームや低用量ピルなどの避妊方法を取り入れましょう。

参照：「緊急避妊法の適正使用に関する指針 （平成 28 年度改訂版）」

Q.アフターピルの服用と不妊は関係ある？

アフターピルを服用したからといって不妊に繋がるわけではありません。
アフターピルには多量のホルモンが含まれるものの、体内のホルモンバランスに変化を与えるのは一時的なものです。そのため、服用後は徐々に元のホルモンバランスに戻ります。
医師の指導をきちんと受けて正しく服用するようにしましょう。

参照：WHO「Fact sheet on the safety of levonorgestrel-alone emergency contraceptive pills (LNG ECPs)」

Q.アフターピルはどこで購入すればいい？

アフターピル含むピルは、日本においては医師の処方が必要な薬です。
そのため、産婦人科など医療機関を受診して処方してもらうかオンライン診療サービスなどで処方してもらうようにしてください。稀に海外から個人輸入したアフターピルを医師の処方無しで購入できる通販サイトがあります。しかし、これらは模造品の可能性もあるほか、医薬品副作用被害救済制度の対象外になるため、重篤な副作用があっても国からのサポートを受けることはできません。必ず医師の処方の元、服用するようにしましょう。

Q.アフターピル服用前・服用後にアルコールを飲んでも大丈夫？

少量のアルコールであれば大きな影響はないとされていますが、アフターピルの効果を最大限に発揮するためには、服用前後の飲酒は控えるのが望ましいです。特に、アルコールの摂取は吐き気が出る可能性もあるため注意が必要です。

Q.性行為から72時間経過したらアフターピルの効果はない？

一般的に「ノルレボ錠（レボノルゲストレル錠）」は72時間以内の服用が推奨されていますが、72時間を過ぎた場合は「ウリプリスタール酢酸エステル（エラワン）」のように120時間以内に効果があるアフターピルもあります。時間が経過しても、まずは医師に相談することが大切です。

Q.アフターピルを処方してもらうのに保険証は必要？

アフターピルは緊急避妊が目的のことから自由診療となるため保険適用にはなりません。そのため保険証は不要です。

Q.性行為から72時間経過したらアフターピルの効果はない？

服用するアフターピルによって異なるものの、ノルレボ（レボノルゲストレル）は性交渉から72時間以内の服用が推奨されており、72時間を過ぎると避妊効果は薄れていきます。
しかし、エラワン（エラ）であれば性交渉から120時間以内であれば避妊効果を発揮するため、まずは経過時間を医師に申告して判断を仰ぎましょう。

アフターピルの避妊率は100%ではないから早めの服用を心がけよう

ここまでアフターピルの避妊率を軸に、アフターピルの避妊の仕組みや服用方法などについて解説してきました。アフターピルは服用すれば必ず避妊に成功するわけではありません。避妊に成功するには、性交渉から72時間とは言わず、できる限り早めの服用が成功のカギとなります。緊急時こそ冷静に落ち着いた対応を意識しましょう。

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