生理は女性にとって健康状態のバロメーターでもあります。
生理の基礎知識や、生理中でも快適に過ごすためのセルフケアをご紹介。
PMDDになりやすい人はどんな人?特徴やチェック方法などを紹介
生理前になると、イライラしたり気分が落ち込みやすい…といった症状はありませんか。そんな精神的な症状が強く出る場合は、PMDDの可能性があります。
この記事では、PMDDになりやすい人の特徴や、セルフチェック方法をご紹介します。また、PMDDの悪化を防ぐために日常生活で意識できるポイントも解説。症状に心当たりのある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
もくじ
PMDDになりやすい人の特徴
自分に厳しく責任感が強い、気配りができる几帳面な性格の方は、ストレスを溜め込みやすくPMDDになりやすい傾向があるでしょう。また、喫煙や飲酒の習慣、仕事や家庭内のストレスもPMDDの引き金となる場合があります。
PMDDはその症状自体辛いものですが、発達障害(自閉スぺトラム症やADHD)をベースとして持っている場合、PMDD症状がより深刻になりやすいといわれています
そもそもPMDD(月経前不快気分障害)とは?
生理が始まる3~10日前から心身に不調が生じる症状をPMS(月経前症候群)といいます。その中でも特に「イライラ」「気分の落ち込み」「不安」といった精神的不調の程度が重く、日常生活に支障をきたすような状態をPMDD(月経前不快気分障害)といいます。
PMDDは2013年につくられた比較的新しい概念で、国際的な精神疾患の診断基準では「抑うつ障害群」にカテゴリーされます。PMDDはうつ病と似た症状がありますが、PMDDは生理前~生理開始1、2日後と発症する時期が限定されることがうつ病との違いです。
PMDDになると、「精神的な不調のせいで仕事に行けない」といった、日常生活に著しい影響を及ぼす場合があります。このような症状がある場合は、医師による診断をもとに障害者手帳をもらえることがあります。
PMDDになりやすい?PMDDかも?セルフチェックをしてみよう
PMDDでは、下記のような症状が多くみられます。生理前に出る症状が5つ以上当てはまる場合は注意が必要です。
・イライラしやすくなる
・気分の落ち込みが激しい
・突然悲しくなる、涙もろくなる
・批判に対する感受性が高くなる
・強い不安や緊張を感じる
・集中力が低下する
・好きなことに対して興味が薄れる
・食べ過ぎてしまう
・睡眠過多、または睡眠不足
・虚無感、挫折感がある
PMDDになりやすいかも?と思ったら:意識したい6つのポイント
PMDDになりやすいかも?と思ったら、症状の治し方が気になりますよね。しかし、PMDDは精神疾患の一つのため、自力で対処することは難しいです。PMDDの悪化を防ぐには、日常生活の中で下記6つのポイントを意識することが大切です。
バランスの良い食事をとる
1日3食、主食・主菜・副菜を揃えたバランスの良い食事を心がけましょう。イメージは定食形式の食事です。なるべく様々な種類の食材を組み合わせることで、多くの栄養素を摂取することができます。忙しい方は、朝食の時間を確保するのが難しい方もいらっしゃるかもしれません。しかし、朝食を抜くと脳のエネルギーが不足し、イライラの悪化や集中力が低下する原因となります。欠食による栄養不足で症状が現れやすくなるため、調理せずに食べれるヨーグルトや果物、納豆、シリアルなどから取り入れてみてください。
トリプトファンを多く含む食品を摂取する
精神状態の安定に重要なのが、セロトニンという神経伝達物質です。このセロトニンを生成する材料となるトリプトファンを多く含む食品を摂取することで、PMDDの予防に繋がると考えられています。トリプトファンは体内で作り出すことができない成分のため、食事から体内に取り入れることが大切です。トリプトファンが多く含まれる食品には下記があります。
・納豆、豆腐、味噌、醤油(大豆製品)
・チーズ、ヨーグルト、牛乳(乳製品)
・米
・ごま
・鶏肉
・魚類(マグロ、カツオなどの赤魚)
・卵
・バナナ
カフェインの摂取を控える
カフェインには神経を興奮させる働きがあり、イライラや憂うつ感を強めPMDDを悪化させる原因となります。生理1週間前~生理期間中はカフェインを含むコーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどの飲み物はできるだけ控えるようにしましょう。コーヒーや紅茶が好きで飲むことが習慣となっている方は、カフェインが含まれていないデカフェやハーブティーで代用してみてください。
喫煙・飲酒を控える
喫煙者は、非喫煙者に比べてPMSまたはPMDDの発生率が4倍を超えると考えられています。受動喫煙も自律神経のバランスを崩し症状を悪化させるといわれているため、喫煙の習慣がある方は禁煙することをおすすめします。また、お酒が好きな方も注意が必要です。アルコールは肝臓のアルコール代謝を遅くする作用があるため、症状を悪化させることがあります。アルコールに強い方でも1日1~2杯に控え、休肝日を作るように心がけてください。
質の良い睡眠をとる
睡眠が不足すると、ホルモンバランスの乱れが生じPMDDの症状が悪化しやすくなります。一般的に睡眠時間は6~8時間が理想的といわれていますが、一番重要なのは睡眠の質です。必要な睡眠時間には個人差があり、睡眠時間をきちんと確保できていても、睡眠の質が悪いと寝不足になっている可能性があります。質の良い睡眠を確保するためのポイントは下記の4つです。
・昼寝をする場合は、13時~15時までに30分以内
・夕食は就寝の3時間前までに済ませる
・入浴は就寝の1~2時間前に、40℃程度の少しぬるめのお湯に浸かる
・就寝前はブルーライトをを発するパソコン、スマホを触らない
適度な運動をする
PMDDの治療薬として使用されるSSRIは脳内のセロトニンを増やす作用がありますが、ウォーキングなどのリズム運動もセロトニンを増やすことができます。セロトニンが分泌されるのは運動を始めてから5分後、ピークに達するのは20~30分後のため、1回30分を目安に運動を続けると効果的です。
運動する時間を作るのが難しい方は、エレベーターやエスカレーターを使用せず階段を使ってみる、一駅手前で降りて歩くといった、日常生活の中で無理のない範囲で始めてみてください。適度な運動は良い気分転換になり、ストレスの軽減にも効果的です。
PMDDに悩んだら、低用量ピルが効果的
PMDDの治療には、SSRIなどの抗うつ剤を使用した薬物療法、低用量ピルによるホルモン療法が主流になっています。低用量ピルは、排卵を抑制することで女性ホルモンを一定に保つことができるお薬です。ホルモンバランスの急激な変動を抑えられるため、PMDDの症状を改善することが期待できます。特に「ヤーズ」「ヤーズフレックス」などのドロスピレノンと呼ばれる黄体ホルモンを配合した製剤は、PMDDの症状に有効であると認められています。
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PMDDで悩み、辛い場合は迷わず医療機関の受診を
PMDDはうつ病と並ぶくらい治療が必要な症状です。体験談を見ると、人によって治療方法もさまざま。自己判断で薬を服用することは避け、症状が辛い場合は迷わず医療機関を受診するようにしましょう。
PMDDの受診に適するのは、婦人科と精神科どっち?と迷いますよね。PMDDはPMSと同様に女性ホルモンの変動に影響されるため、まずは婦人科の受診をおすすめします。診療の結果、心の不調による原因が大きい場合は、並行して精神科や心療内科で治療が必要になることもあります。
まとめ
「もしかしたらPMDDかも?」と思ったら、我慢せずに婦人科へ相談してください。ご自身の症状に適した治療法を提案してもらえるはずです。
PMDDは女性ホルモンに影響される病気ですが、仕事をしていない方よりも仕事をしている方の方がPMDDになりやすかったり、真面目で責任感が強いなど、ストレスを感じやすい性格や環境下にいる方が発症しやすいといわれています。日頃から自分を労わってあげることを意識し、ストレスを溜めない工夫をすることも大切です。
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