生理痛に漢方薬が効果的?悩み別にオススメの漢方薬を紹介

生理
更新日:2024.06.12

生理痛には、一部の漢方薬が効果的な場合があります。では、なぜ漢方薬に生理痛を緩和させる効果が期待できるのでしょうか?この記事では生理痛が起こるメカニズムを解説し、生理にともなう不快感や痛みを軽減する効果のある漢方薬を一覧にして紹介しています。

生理痛(月経痛)とは?

生理痛とは、生理中に生じる下腹部の痛みや体に起こる不快感を指します。
個人差はありますが、生理痛は生理が始まる前日から生理が終わるまで続き、比較的多くの女性が経験のある症状です。
また症状の程度によっては、激しい痛みや吐き気などをともない日常生活に支障をきたすこともあり、これを「月経困難症」と呼びます。

生理痛(月経痛)の原因は?

生理痛は、子宮内膜がはがれて排出される際に起こる子宮の収縮や、お腹周りの血行不良が原因とされます。
生理にともないプロスタグランジンと呼ばれるホルモンが分泌され、子宮の収縮を促します。しかしプロスタグランジンは、過剰に分泌されると痛みや炎症も引き起こしてしまいます。
ストレスなどが原因で自律神経が乱れると、血行不良を引き起こして生理痛がひどくなる可能性もあります。

漢方薬で生理痛(月経痛)が改善できる

生理痛は漢方薬を使って改善できる場合があります。
漢方医学では生理に関する症状を、子宮の発達や消化吸収力、免疫力、自律神経調節などといった要素と関連づけて考えます。
また漢方には「気・血・水(きけつすい)」という考え方があり、このいずれかのバランスが乱れると、体に不快な症状が生じると考えられています。
・気:体をめぐるエネルギーを表し、活力や活動をつかさどる
・血:栄養素や熱を身体中に運ぶ
・水:血以外の体内にある液体を指す

漢方医学では、生理痛や月経困難症は、ストレスや生活習慣の乱れにより「血」に乱れが生じることで起こると考えられています。
また「気」が不足すると、活力が低下し精神面に影響を与えて情緒不安定になり、「水」のバランスが乱れるとむくみやめまいを引き起こすなど、生理中の不快な症状を招きます。
漢方薬ではこれらのバランスにアプローチすることで、生理痛や生理に関連する症状を改善していきます。

悩み別のオススメ漢方薬

気・血・水のバランスが崩れることで起こる、それぞれの症状に対応する漢方薬を紹介します。

肩こり、腹痛 / 瘀血(おけつ)に効く漢方薬

瘀血(おけつ)とは、血液の流れが滞った状態を指します。肩こりや腹痛の原因となり、偏った食生活や冷えによって引き起こされます。

1.桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

のぼせや肩こり、下半身の冷え、女性特有の症状である生理痛、月経不順などに対する緩和が期待されます。

2.桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

体内の「気」や「血」の流れを改善し、月経前症候群(PMS)や生理にともなって起こる痛みやのぼせ、便秘などの症状を和らげる効果があります。

3.当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)

体を温め血行を促進する生薬が配合された漢方薬です。
生理痛、生理不順、腹痛、痔、脱肛の痛みなどに使用されます。また、産後の体力低下にも利用されることがあります。

嘔吐、めまい、頭痛 / 水滞(すいたい)に効く漢方薬

水滞(すいたい)とは血液以外の体のあらゆる水分の流れが滞ることをいいます。胃液や唾液などの体液、尿や汗などの排泄物も含まれ、これらの循環が滞ることでめまいや嘔吐、頭痛などの症状が起こります。

1. 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

血行と水分の代謝を促進し体を温めることで、めまいや頭痛、肩こりなどの改善を行います。
また、代謝が改善することで美肌にも効果があるとされています。

2. 五苓散(ごれいさん)

頭痛やむくみに効果があるとされる漢方薬です。
全身に停滞した水分の排出を促し、頭痛や頭のだるさ、吐き気を和らげる効果があります。

3. 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

めまいやふらつきがあり、尿量が減っている人に効果を発揮する漢方薬です。
立ちくらみやめまい、頭痛、息切れなどの症状に対して使用されます。

4. 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

余分な水分の排出を促すことで、めまいの症状を中心に、頭痛や頭のだるさ、吐き気や嘔吐、手足の冷えなどの改善が期待されます。

5. 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

体を温める効果のある漢方薬です。
冷え性の改善に利用されますが、下腹部痛や腰痛、頭痛にも効果があり、冷えからくる生理痛の改善にも役立つことがあります。

6. 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

おなかを温め、冷えによって乱れた体の不調を整える効果があります。
頭痛の緩和や、胃腸のはたらきを整え、吐き気を鎮める作用もあります。

精神症状 / 気虚(ききょ)、気逆(きぎゃく)に効く漢方薬

気虚(ききょ)、気逆(きぎゃく)とは気の流れが乱れることです。気虚は気力が湧き上がってこない状態を指し、疲れやすくなり食欲不振などを引き起こします。
気逆とは体内の気が逆流している状態をさし、のぼせや頭痛、イライラなどの症状として現れます。

1. 加味逍遙散(かみしょうようさん)

上昇した「気」を下に降ろし、全身にめぐらせつつ、たまった熱を冷やして体のバランスを整えることを目的に使用されます。興奮によるイライラ、不眠症などの更年期に起こる精神的な症状に対して効果が期待できます。

2. 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

気虚に対して効果を発揮し、全身の倦怠感や食欲不振などが見られる場合に使用されます。
気力がわかない、疲れやすいといった症状から、消化器系の不調、かぜ、寝汗など、さまざまな不調に対して効果があります。
また、産後の体力低下によって起こる食欲不振にも使用されます。

3. 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

心身が疲れやすいと感じているときや、冷え性に悩んでいる人に用いられる漢方薬です。
不安感や緊張感、抑うつ、イライラ、不眠、神経性胃炎、動悸、めまい、せき、吐き気などにも適応します。

5. 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴんはんげ)

神経の高ぶりをおさえイライラを解消し、筋肉のこわばりや緊張を緩和することで心と体の状態を整えます。吐き気や食欲不振にも効果があります。

日常でできる生理痛の対策6選

漢方薬以外でも生活習慣に取り入れることで、生理痛を緩和させる方法もあります。

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1.身体を温める

漢方薬の中にも冷えを改善するものがありますが、体を温めることは生理痛の改善に高い効果があります。
入浴の際はゆっくりお風呂につかり、喉が渇いたら冷たいものではなく白湯や温かいハーブティーなどを選んで、体を温める習慣を身につけましょう。

2.冷えに注意する

反対に体を冷やす習慣には注意が必要です。
体が冷えると手足がむくんだり、血液の流れが滞って生理痛が重くなることがあります。
外出する際にはしっかりと着込み、室内では厚手の靴下や腹巻きをつけて冷えを防ぐようにしましょう。

3.軽く運動をする

適度な運動は冷えの改善や、ホルモンバランスを整える効果があり生理痛を緩和させます。
ヨガやウォーキングなど、低めの強度で日常生活に取り入れやすいものがおすすめです。

4.ストレスを溜めない

ストレスが溜まると、自律神経が乱れ不眠やむくみなどが起こりやすくなり生理痛が重くなる要因となります。
家族と過ごしたり趣味を楽しんだりして、リフレッシュできる時間を作ることを心がけ、ストレスを軽減する工夫が必要です。

5.食生活に気をつける

生理痛を緩和させるためには、食生活にも目を向けてみましょう。
偏った食事や脂っこい食べ物は、血液の流れの悪化やホルモンバランスの乱れの原因となることもあります。
脂質や糖質を抑え、タンパク質中心の食生活を心がけてビタミンやミネラルなどを含む食材を積極的に摂取しましょう。

6.睡眠不足を解消する

眠っている時間は自律神経を整え、ストレスを緩和させる大切なものです。
規則正しい睡眠習慣を心がけて、しっかりと睡眠時間を確保しましょう。
また寝る前にスマホを触ると、睡眠の質が落ちることもわかっています。

生理痛は我慢しない

生理痛が我慢できないときは、迷わず病院を受診しましょう。
漢方薬やピルをはじめとした、生理痛に効果的な薬を処方してもらうことで、毎月の痛みが大きく緩和されることがあります。
また婦人科系の病気が生理痛となって現れている場合もあるため、違和感を感じたら早めに受診することをおすすめします。

漢方薬には生理痛や不快感を軽減させる効果が期待できる

生理痛の原因や、生理中に起こる不快感を緩和させる効果をもつ漢方薬について解説してきました。
生理痛は子宮の収縮を起こすプロスタグランジンの作用によって起こり、過剰に分泌されることで痛みが悪化することもあります。
漢方薬には血行を促進させる作用や、高ぶった気分を落ち着ける作用があり、生理中に起こる痛みや不快感、イライラ、生理不順などの緩和に効果があります。
痛みの程度によっては病院での治療が必要となることもあるため、いつもと違う痛みを感じたらなるべく早めに産婦人科を受診しましょう。

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監修者

成城松村クリニック院長
松村 圭子
1995年広島大学医学部卒。広島大学医学部産科婦人科学教室へ入局し、2010年に成城松村クリニックを開院。 『10年後もきれいでいるための美人ホルモン講座』(永岡書店)、『女性ホルモン 美バランスの秘訣』(大泉書店)をはじめとする多くの著書を執筆。

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