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生理痛に漢方は効く?体質別の選び方やセルフケア、ピルとの違いを解説

生理
更新日:2026.07.23
生理痛に漢方は効く?体質別の選び方やセルフケア、ピルとの違いを解説

毎月やってくる生理痛に、憂うつな気持ちになることはありませんか?鎮痛薬でその場をしのいでも、「できれば薬に頼らずに過ごしたい」「体質から改善がしたい…」と感じている方も多いと思います。
そこで、体質から見直したいという方に注目されているのが「漢方」によるアプローチです。漢方は痛みを一時的に抑えるのではなく、冷えやホルモンバランスの乱れといった生理痛の「原因」そのものに働きかけるのが特徴です。

生理痛に効果が期待できる漢方薬を症状別に紹介するとともに、自宅でできるセルフケアのポイントも分かりやすく解説するので、つらい生理期間を少しでも穏やかに過ごすための参考にしてみてくださいね。

※漢方薬は個人の体質によって合う・合わないがあり、すべての方に同様の効果があるわけではありません。また、天然由来成分であっても、体質によっては副作用が生じる可能性があります。症状が改善しない場合や、体調に異変を感じた際は服用を中止し、必ず医師や薬剤師に相談してください。

生理痛は漢方で緩和される?漢方医学の「気・血・水」の考え方

漢方は、体全体のバランスを整えることで不調を改善へと導くもの。 漢方医学では、体の状態を「気・血・水」の3つの要素のバランスで考えます

気(き):生命活動を支えるエネルギー
血(けつ):全身に栄養や酸素を運ぶ血液
水(すい):リンパ液や汗など、血液以外の体液

これらのバランスが崩れると、さまざまな不調が現れると考えられており、生理痛もその1つです。

漢方医学的な生理痛の原因「瘀血(おけつ)」とは

漢方医学では「不通則痛(巡りが滞ると痛みが起こる)」という考え方があり、生理痛の多くは血行不良である「瘀血(おけつ)」が原因とされています

本来はスムーズに流れるべき「血(けつ)」が、体の冷えやストレス、運動不足、食生活の乱れなどによって骨盤内で滞ると、経血をうまく排出できなくなり強い痛みを引き起こします。生理痛は「あって当たり前」のものではなく、「ない、または軽度」が健康な状態です。
そのため、生理痛の改善にはまず滞った血の巡りをスムーズに整えることが基本であり、食事や生活習慣にも気を配りながら、瘀血を招く原因となる体調不良を合わせて見直していくことが大切です。

生理痛の原因

生理痛の主な原因は、子宮を収縮させる「プロスタグランジン」という物質が過剰に分泌されることです

生理中は、不要になった子宮内膜を経血として体の外へ排出するため、子宮が収縮します。このとき、プロスタグランジンが多く分泌されると子宮が必要以上に強く収縮し、下腹部のキリキリとした痛みや腰痛を引き起こすのです。

また、骨盤まわりの血流が悪くなることや、10〜20代前半では子宮の出口(子宮頸管)が狭く経血がスムーズに排出されにくいことも、生理痛を強める要因と考えられています。

【体質別】生理痛におすすめの代表的な5つの漢方薬

漢方薬は、自分の体質や痛みのタイプ(証:しょう)に合ったものを選ぶことで、本来の効果を発揮します。ここでは、生理痛のケアに広く用いられる代表的な5つの漢方薬を、おすすめの体質の特徴と合わせて紹介します。

1.当帰芍薬散(とうきしゃく薬さん)

冷え症で疲れやすく、貧血気味なタイプの方におすすめの漢方薬です
体内の「血(けつ)」を補って巡りを良くするとともに、水分代謝を促して余分な「水(すい)」を排出する働きがあります。体を芯から温めて血液を満たすことで、冷えからくる生理痛や腰痛を和らげるほか、生理前のむくみや頭痛、めまい、貧血などの症状にも効果的です。

2.桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

比較的体力があり、肩こりやのぼせ、足の冷えが気になるタイプの方に向いています
骨盤内にドロドロと滞った「血(けつ)」の巡りを強力にサラサラへと導く、瘀血(おけつ)改善の代表的な漢方薬です。下腹部が張ってキリキリと痛むような強い生理痛を軽減するほか、生理前のイライラ、肌荒れ、便秘、さらには医師の判断のもと、子宮内膜症や子宮筋腫に伴う痛みの緩和にも広く用いられます。

3.加味逍遙散(かみしょうようさん)

ストレスを感じやすく、情緒不安定になりがちなタイプの方におすすめです
乱れた「気(き)」の巡りをスムーズに整えて神経の興奮を鎮め、溜まった熱を逃がす働きがあります。生理前にイライラしたり、急に涙もろくなったりするPMS(月経前症候群)の精神的な不調に強いほか、それに伴って起こる生理痛、頭痛、肩こりなどをトータルに和らげてくれます。

4.桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

体力があり、便秘がちでイライラやのぼせが強いタイプの方におすすめです
体内の滞った「血(けつ)」を改善すると同時に、大腸の熱を冷まして便通を促す強い作用を持っています。
生理痛が激しく、生理前に精神的な興奮や攻撃性が高まりやすい方のほか、腰痛、頭痛、ニキビの改善も期待できます。

5.芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

生理中に子宮の収縮による急な痛みがある方に適した漢方薬です
筋肉の緊張やけいれんを素早く和らげる作用があり、子宮の過剰な収縮を抑えることで、キリキリとした下腹部の痛みを緩和します。一般的な漢方薬のように毎日服用するのではなく、生理痛が強いときに頓服(必要なときだけ服用)として使用できる点が特徴です。

【症状別】生理痛の改善が期待できる漢方

漢方薬を選ぶ際には、現在現れている症状に合わせて選ぶのも1つの方法です。ここでは、代表的な症状別におすすめの漢方をご紹介します。

肩こりや腹痛をケアする漢方

肩やお腹に痛みが出やすい方は、血行不良や冷え、ストレスが関係している場合もあります
そんなときは、体の巡りを整えて内側から不調を和らげてくれる漢方がおすすめです。

漢方名 効果
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 血行を促進し、下腹部の痛みや冷え
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 急な痛みに即効性があるとされ、筋肉のけいれんや腹痛
当帰建中湯(とうきけんちゅうとう) 体力が低下している人の腹痛や冷え
加味逍遙散(かみしょうようさん) ストレスや疲れによる肩こり・腹痛

頭痛やめまいをケアする漢方

頭が重い、ふらつくといった症状は、気圧の変化やホルモンバランスの乱れが関係していることも
水分バランスや自律神経の働きを整える漢方で、体の内側からアプローチしてみましょう。

漢方名 効果
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 冷え性・むくみやめまい
五苓散(ごれいさん) 体内の水分バランスを整える、頭重感やめまい
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう) 水分代謝の不良によるめまいや不安感
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう) 自律神経の乱れによるめまい

精神症状をケアする漢方

生理前後にイライラしたり、気分が不安定になったりする方も少なくありません
心と体のバランスを整える漢方を取り入れることで、ゆらぎやすい心身をサポートしましょう。

漢方名 効果
桃核承気湯(とうかくじょうきとう) 便秘を伴うイライラや精神不安
加味逍遙散(かみしょうようさん) 情緒不安定や不眠などの精神的な不調

【年代・属性別】生理痛に悩む方向けの漢方薬の選び方

ライフステージや年代によって、ホルモンバランスの変化や体にかかるストレスの質は異なります。ここでは、年代やライフスタイル別にみられやすい生理痛の特徴と、おすすめの漢方薬の選び方を解説します。

中学生・高校生の生理痛

思春期は子宮の発育が未熟で経血のとおり道が狭く、ホルモンバランスも安定していないため、生理痛が強くなりやすい時期です 。また、勉強や部活動などのストレスで「気」の巡りが悪くなり、痛みが増すこともあります。
イライラや気分の落ち込みが気になる場合は加味逍遙散、冷えやむくみ、貧血傾向がある場合は当帰芍薬散がよく用いられます。

20代の生理痛

就職や結婚など生活環境が変化しやすく、仕事のストレスや生活習慣の乱れから、血流が滞る「瘀血(おけつ)」が起こりやすい年代です

下腹部の張るような痛みや肩こり、のぼせがある方には桂枝茯苓丸、PMS(月経前症候群) や生理前の肌荒れ、精神的な不調が気になる方には加味逍遙散が選ばれることがあります。

30代の生理痛

仕事での責任が増え、妊娠・出産・育児などのライフイベントも重なり、心身の負担が大きくなりやすい年代です 。また、子宮内膜症や子宮筋腫などが原因となる生理痛も増えてきます。

ストレスが強い場合は加味逍遙散、冷えや体力低下を伴う場合は当帰芍薬散、血流の滞りが原因と考えられる場合は桂枝茯苓丸など、体質や症状に合わせて処方を選びます。

40代・更年期前後の生理痛

閉経に向けてホルモンバランスが大きく変化し、生理痛のほか、経血量の増加やホットフラッシュ、不眠、イライラなどの更年期症状を伴うことがあります

全身のバランスを整える加味逍遙散や桂枝茯苓丸、冷えや体力低下が目立つ場合は当帰芍薬散などが用いられます。

妊活中の生理痛

妊活中は、冷えや血流の滞り(瘀血)を改善し、子宮環境を整えることが大切と考えられています 。漢方では、血流を促して子宮や卵巣の働きをサポートし、妊娠しやすい体づくりを目指します。

冷えや血虚(けっきょ)がある場合は当帰芍薬散、血流の滞りが目立つ場合は桂枝茯苓丸などがよく用いられます。

授乳中の生理痛

産後に生理が再開すると、睡眠不足や出産による体力・血液の消耗から、生理痛が強く感じられることがあります

授乳中は赤ちゃんへの影響を考慮して漢方薬を選ぶことが重要です。体力の回復や冷えの改善を目的として、当帰芍薬散が用いられることがあります。

生理痛の漢方薬はどこで買う?市販と病院の違い

漢方薬は薬局で手軽に購入できるほか、病院を受診して処方してもらうことも可能です。それぞれに異なるメリットがあるため、自分の状況に合わせた最適な方法を選びましょう。

ドラッグストアで購入(市販薬)

「病院に行く時間がない」「まずは手軽に試してみたい」という方には、薬局での購入が便利です
処方箋なしですぐに買える手軽さがメリットですが、万が一自分の体質(証)に合わないものを選んでしまうと、効果が出ないだけでなく副作用が生じるリスクもあります。
購入の際は、薬剤師や登録販売者に相談しながら選ぶと安心でしょう。

婦人科などの病院で処方(医療用漢方薬)

「自分の体質に合ったものを正確に選びたい」「しっかり効果を出したい」という場合は、婦人科などの医療機関を受診するのがおすすめです
医師が診察をとおして最適な漢方薬を選んでくれます。医療用漢方薬は成分の濃度が高いため高い効果が期待できるほか、生理痛の原因に子宮内膜症などの病気が隠れていないかを同時に検査してもらえる点も大きなメリットです。

i生理痛に効く漢方は保険適用される?

病院を受診し、医師が生理痛(月経困難症)の治療に必要だと判断して処方した漢方薬には、原則として健康保険が適用されます 。保険が適用されれば、診察代や薬代は基本的に3割負担で済むため、長期間飲み続ける場合でも市販薬を買い続けるより費用を抑えられるケースがほとんどです。

一方で、ドラッグストアで購入する市販の漢方薬や、一部の自由診療を専門とする漢方薬局での処方は保険適用外となるため注意しましょう。

生理痛を和らげる5つのセルフケア

生理痛の緩和には、日常生活でのセルフケアも重要です。以下の方法を実践することで、体質改善にもつながる可能性があります。

体を冷やさない

体が冷えると血行が悪くなり、痛みの原因物質であるプロスタグランジンが骨盤内で滞ってしまうため、痛みが悪化します 。これを防ぐためには、冷たい飲み物や食べ物を控えるのはもちろん、季節を問わず下半身を冷やさない服装を心がけましょう。
生理中は、血管が収縮しやすい状態にあるため、腹巻きや使い捨てカイロを下腹部や仙骨(腰の少し下)に貼って集中的に温めたり、湯船に浸かって体の芯から温めるのもおすすめです。

入浴は湯船に浸かる

生理中はシャワーだけで済ませがちですが、ぬるめのお湯(38~40℃程度)の湯船にゆっくりと浸かることで、生理痛の軽減につながります
入浴によって骨盤まわりの血管が広がり、硬くなった子宮の筋肉がほぐれるため、滞っていた血流がスムーズになります。また、お湯の適度な水圧は足元に溜まった血液を心臓へ戻すサポートをしてくれるため、下半身の冷えやむくみの解消にも効果的です。お腹の張りが強くてお湯に浸かるのがつらいときは、無理をせず足湯だけでも行うと体がじんわりと温まります。

適度に体を動かす

ウォーキングや軽いストレッチ、またはヨガやピラティスなどの運動を無理のない範囲で取り入れてみましょう 。運動不足や血行不良で子宮周辺の筋肉が硬くなっていると、経血を排出しようとする子宮の収縮がさらに促され、痛みがひどくなる場合があります。
適度な運動で全身の血流が促されることで、子宮周辺の血行が改善され、痛みの原因物質であるプロスタグランジンがスムーズに排出されやすくなります。運動はストレス発散にもなるため、心身のリフレッシュにも効果的です。

ストレスを溜めない

ストレスは、女性ホルモンや自律神経のバランスを乱す要因となり、生理痛を悪化させます 。仕事や家事、人間関係など、毎日を頑張るなかで、知らず知らずのうちに心と体が緊張していませんか?
つらいときこそ、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけて、意識的に「休む時間」を作りましょう。
好きな音楽を聴く、温かいハーブティーを飲む、趣味に没頭するなど、心がホッとする時間を持つことが大切です。

生理痛をケアする「ツボ」を押す

外出先や仕事中などで体が冷えたり、急に痛みが強くなったりしたときは、生理痛に効く代表的なツボを押してみるのがおすすめです

三陰交(さんいんこう):女性特有の症状全般や冷えに効果的

ツボ_三陰交(さんいんこう)のイメージ

血海(けっかい):血流(瘀血)の改善に役立つ

ツボ_血海(けっかい)のイメージ

イタ気持ちいいと感じる強さで、息を吐きながら3〜5秒かけてゆっくりと押し、これを数回繰り返すことで骨盤内の血行が促され、痛みが和らぎやすくなります。

生理痛の改善にはピルもおすすめ

生理痛の改善と避妊も同時に行いたい方には、低用量ピルも選択肢の1つです
低用量ピルは排卵を抑え、子宮内膜が厚くなるのを防ぐことで痛みの原因となるプロスタグランジンの分泌を減らします。その結果、子宮の過剰な収縮が抑えられ、生理痛や経血量の改善が期待できます。

また、服用を続けることで生理周期が整いやすくなり、生理前のイライラや気分の落ち込み、ニキビなどの症状が改善することもあります。ピルと漢方薬は作用の仕組みが異なるため、それぞれの特徴を理解し、自分の症状や目的に合った方法を選びましょう。

ピルの主な副効用のイメージ

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生理痛と漢方に関するよくある質問

ここでは、生理痛と漢方に関するよくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。

生理痛がつらいとき、漢方とピルどっちを選べばいい?

避妊もしたい方や、生理痛をしっかり改善したい方には、低用量ピルが適しています 。また、子宮内膜症などが原因の生理痛では、治療の選択肢として低用量ピルが用いられることもあります。
一方、冷えやむくみ、PMS(月経前症候群)など、生理痛以外の不調もあわせて改善したい方や、体質改善を重視したい方には漢方薬が向いている場合があります。

自分で体質に合う漢方が分からないときは?

漢方薬は、症状だけでなく体質(証)に合わせて選ぶことが大切です。そのため、市販薬やインターネットの情報だけで判断するのはおすすめできません。
同じ生理痛でも、冷えが強い方とほてりがある方、体力がある方と少ない方では適した漢方薬が異なります。 婦人科の受診や、薬剤師へ相談するのがおすすめです

漢方を飲んで「生理痛がひどくなった」と感じる理由は?副作用?

漢方を飲んで痛みが強くなったと感じる場合は、体質に合っていない可能性があります 。痛みが続いたり悪化したりする場合は医師や薬剤師に相談してください。
特に、血流を促す漢方薬は、体質によって腹痛や胃の不快感などが現れることがあります。自己判断で飲み続けず、症状に合った処方へ見直してもらうことが大切です。

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監修者

郡 詩織

大学病院に入局したのちに、総合病院で勤務。産婦人科専門医・がん治療認定医・抗加齢学会専門医を取得。
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