生理が終わらないのはなぜ?原因や対処法・病院に行くべき目安を解説

生理
更新日:2025.12.01
生理が終わらないのはなぜ?原因や対処法・病院に行くべき目安を解説

出血が多かったり、なかなか生理が終わらないと、不安や疲れが募ってしまいますよね。生理が長引く背景には、ストレスや生活リズムの乱れによるホルモンバランスの影響だけでなく、子宮内膜症・子宮筋腫など、婦人科疾患が隠れているケースもあります。

生理が長引く原因や受診の目安、日常でできる対処法をわかりやすく解説しています。年齢別や状況別にも紹介しているので、気になる症状と照らし合わせながら読んでみてくださいね。不安や心配を抱えたままにせず、まずは体の声に耳を傾けて、自分自身をいたわってあげましょう。

正常な生理期間はどのくらい?

生理は毎月、妊娠に備えて起こる大切な現象であり、女性の健康状態を示すバロメーターでもあります。正常な生理期間は、3~7日ほどです。この期間を大きく超えて出血が続く場合は、注意が必要なサインかもしれません。

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生理が長いのは過長月経の可能性

生理が8日以上続く場合は、「過長月経(かちょうげっけい)」と呼ばれる状態にあてはまる可能性があります。これは公益社団法人日本産科婦人科学会が定めている基準で、7日を過ぎても出血が続くと、正常な範囲を超えていると考えられています。

ほんの少量の出血が続いて生理が8日以上続いているときは、あまり気にしなくても良いケースもありますが、「7日経っても出血があり、夜用ナプキンが手放せない」などは、正常ではありません。気になる症状があるときは早めに医師に相談しましょう。

※参考:「正常な生理(月経)の目安を教えてください!」(公益社団法人日本産科婦人科学会)

過長月経を放置すると貧血になる可能性も

過長月経を放置すると、貧血(鉄欠乏性貧血)になるリスクが高まります。これは、生理が長引くことによって、体から排出される経血の総量が増加し、鉄分が慢性的に不足するためです。貧血になると、全身が酸素不足になり、日常生活に以下のような様々な不調が現れ始めます。

  • 強い倦怠感や疲労感
  • めまいや立ちくらみ
  • 頭痛や頭重感
  • 顔色の悪化
  • 肌荒れ
  • 爪の変形 など

また、生理が終わらないと思っている出血が、実は不正性器出血(不正出血)である場合もあります。過長月経と不正出血は痛みの有無などで区別されることがありますが、自己判断は難しいため、生理が長引いていると感じたら放置せずに早めに婦人科を受診しましょう。

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生理が終わらないときに考えられる原因とは(年齢別)

生理が終わらない原因はさまざまですが、年代によってその背景となる要因が異なります。ここでは、年齢別に考えられる主な原因と、年齢にかかわらず考えられる要因を見ていきましょう。

無排卵性周期症(10代)

無排卵性周期症とは、生理のような出血はあるのに、実は排卵が起きていない状態のことです。この状態だと、生理周期が乱れたり、出血がダラダラと長引いたりすることがあります。この症状は、卵巣機能がまだ未熟な10代(思春期)や20代の青年期に多く見られ、ホルモンの分泌が不安定なために生理周期が乱れやすく、出血が長引く原因になるのです。

また、40代や50代の更年期にも卵巣機能の低下によって起こりやすい傾向がありますが、年齢に関係なく、強いストレスや急激なダイエット、卵巣の病気などが原因で発症するケースもあるため注意が必要です。

ホルモンバランスの乱れ(20代・30代)

ストレスや生活習慣の乱れは、女性ホルモンの分泌を不安定にし、生理が長引いてしまう原因になることがあります。特に、20〜30代は、仕事のプレッシャーや人間関係の悩み、忙しさからくる睡眠不足などで、どうしても生活リズムが乱れやすい時期ですよね。食事が適当になったり、体型維持のために無理なダイエットをしてしまったりと、気づかないうちに体へ負担がかかっていることもあります。

できる範囲でストレスを和らげたり、睡眠や食事を整えたりと、少しずつ体をいたわってあげましょう。

更年期(40代後半から50代前半)

更年期になると卵巣機能がゆるやかに低下していくため、女性ホルモンの分泌バランスが乱れやすくなります。その影響で生理が長引いたり、排卵がないのに出血が続く無排卵性周期症が起こりやすくなることもあります。

更年期は、一般的に閉経を挟んだ前後5年間、つまり40代後半~50代前半の時期を指します。この時期は、体の変化を感じたら無理をせず、自分の体にやさしく向き合ってあげてくださいね。

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薬や病気の影響で血が止まりにくい状態にある

持病の治療のために、血液をサラサラにする薬(血栓症の薬など)を飲んでいる場合、薬の影響で出血を止める力が弱まり、生理が長引く原因になることがあります

これは、心筋梗塞や脳梗塞などの治療に大切なお薬の作用によって、出血が止まりにくくなるためです。現在服用中の薬がある場合は、必ず医師に相談して、生理への影響がないか確認してもらいましょう。

子宮の病気

過長月経が起こる原因として、子宮内で何らかの病気が発生している可能性があります

たとえば、子宮筋腫や子宮頸がんなど、自己判断が難しく病院で検査してみないと分からない病気が潜んでいることがあります。生理が8日間を超える場合は、病気でなかったとしても何らかの異常が起きている可能性がありますので、早めに病院を受診して検査をしましょう。

ピルの副作用

低用量ピルを服用していた場合、副作用のひとつに不正出血があります。低用量ピルはホルモンバランスを調整する働きがあるので、ピルの服用開始時に不正出血が引き起こされることが多いです。

ただし、出血量が多い場合や出血している期間が長い際には、病気の可能性もあるので、必ず病院を受診するようにしましょう。

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生理が終わらないときに考えられる子宮疾患

生理がなかなか終わらない場合、子宮の病気が関係していることもあります。出血が長引いたり、量が多かったりすると、子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患が原因のことも。

ここでは、生理が終わらないときに考えられる子宮疾患について見ていきましょう。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。30歳以上の女性の3人に1人はあると言われるほど多くの女性に見られる病気です。

この筋腫が子宮の収縮機能を低下させるため、剥がれ落ちた子宮内膜を外に押し出す力が弱くなり、生理が長引く原因となります。筋腫の大きさが小さかったり数が少なかったりすれば治療の対象にならない場合もあります。

治療法:手術での切除、女性ホルモンの注射

子宮内膜ポリープ

子宮内膜の細胞が増殖してできる、良性のできものです。大きなものになると、直径が10cmを超えるケースもあります。

ポリープにより子宮の表面積が大きくなるため、子宮の収縮に時間がかかる結果、生理が長引いてしまうのです。ポリープの大きさが小さかったり、数が少なければ治療の対象にならない場合もあります。

治療法:経過観察、手術での切除

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮の内側にある子宮内膜とよく似た組織が、卵巣や卵管など子宮の内側ではない場所にできてしまう病気です

この組織が月経周期に合わせて増殖と出血を繰り返すため、経血の総量が多くなり、生理が長引く原因となります。

治療法:女性ホルモン剤の内服、病巣切除

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜と似た組織が子宮平滑筋(子宮の筋肉の壁)の中にできてしまう病気です。この病気があると子宮の壁が厚くなり、収縮する力が弱まるため、生理が長引く原因となります。

また、女性ホルモン(エストロゲン)が症状を進行させるため、生理が続く限り症状が悪化しやすく、進行すると便秘や頻尿、さらに不妊症や流産の原因にもなります。

治療法:女性ホルモン剤の内服、該当箇所を焼いたり切除したりする

子宮頸がん

子宮頸がんは、子宮の入り口部分(頸部)にできるがんです。このがんは、初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると性交渉時の出血や生理以外の出血(不正出血)、少量の出血が長期間続くといった症状が現れることがあります。

普段とは違う出血や、生理がだらだらと長引くといった自覚症状がある場合は、早期発見と早期治療が大切なため、早急に婦人科を受診しましょう。

予防法:HPVワクチン

治療法:一部の切除,全摘出,化学療法,放射線治療など

子宮体がん

子宮体がんは、子宮の内側(子宮体部)にできるがんです。この病気は、生理ではない時期に出血が見られる可能性が高いのが特徴です。

少量の出血が長期間続く、あるいは生理期間以外に出血があるといった自覚症状がある場合は、注意が必要です。子宮体がんは、早期に発見し治療を始めることが大切なため、症状に気づいた場合は様子を見ずに、早急に婦人科を受診しましょう。

治療法:子宮と卵巣や卵管の摘出、放射線治療、薬物療法など

婦人科を受診する目安

生理が終わらない、出血量が増えたなど「いつもと違う」と感じたときは、体からの大切なサインかもしれません。ここでは、放置せずに婦人科を受診する目安を紹介します。

8日以上続く「過長月経」の場合

生理が8日以上ダラダラと続く「過長月経」は、受診が必要です。これは、単に不便なだけでなく、長期間の出血が原因で貧血(鉄欠乏性貧血)になるリスクが高まります。

また、子宮筋腫や子宮頸がん、ホルモンバランスの大きな乱れなど、何らかの病気や異常が隠れている可能性もあるため、「8日以上続く状態が2周期以上続く」「生理が終わらないまま次の生理がくる」場合は必ず婦人科を受診しましょう。

出血量や期間がいつもと違うとき(大量・少量)

出血量や期間が、これまでと異常に異なると感じたときも受診の目安です。出血量が「大量すぎる」「極端に少量」と感じる場合は、体からのサインかもしれません。

受診する目安 注意すべきサイン
過多月経 1回の生理で140ml以上の出血 ・夜用ナプキンが1時間もたないほどの大量出血

・レバー状の大きな血の塊(500円玉以上)が出る

過少月経 生理期間なのにおりものシートで済む程度の少量出血 ・急に出血量が減った

(特に20代〜30代の成熟期)

・ホルモン異常や病気の可能性がある

また、生理期間が極端に短い場合も注意が必要です。このように、出血量や期間がいつもと違うと感じたら、自己判断せずに一度医師に相談しましょう。

茶色の出血がダラダラと長期間続く場合

生理の始まりや終わりに見られる茶色い出血(古い血液)は心配ないことが多いですが、長期間ダラダラと続く場合は注意が必要です

これは、子宮や腟に小さな炎症、あるいは子宮頸管ポリープや子宮がんなどの病気が隠れているサインかもしれません。特に40代以降は、子宮体がんのリスクも高まるため、茶色でも鮮血でも、生理以外の出血があれば、自己判断せずに早めに婦人科を受診しましょう。

生理以外の不調が伴う場合

生理以外の体の不調や、普段の生活で痛みを感じる場合は、早めの受診が大切です。これらの症状は、婦人科系の病気が隠れているサインかもしれません。

特に以下のような症状には注意しましょう。

  • 激しい下腹部痛・腰痛
  • 排便時、性交渉時の痛み
  • おりものの変化(色や臭いの変化、かゆみ)

気になる症状や不安がある場合は、自己判断せずに体の声に耳を傾け、早めに医師に相談してくださいね。

生理が終わらないときの対処法は?

生理が長引くと、「このまま様子を見ていて大丈夫かな?」と不安になりますよね。ここでは、ご自身でできる対処法をご紹介しますが、8日間以上続く場合や、他に気になる症状がある場合は、自己判断せずに病院を受診してくださいね。まずは、自分でできることから試してみましょう。

低用量ピルを服用する

生理が長引く過長月経の改善には、低用量ピルの服用もおすすめです。ピルはホルモンバランスを優しくコントロールし、生理周期を安定させる働きがあります。服用によって、経血量の減少や生理期間の短縮が期待できますから、毎月の負担を軽減できるかもしれません。気になる方は、一度医師に相談してみてくださいね。

漢方薬を使用する

漢方薬は体全体のバランスを整えるアプローチをするため、血行を良くしたり、ホルモンバランスの乱れを緩やかにしたりすることで、過長月経や生理不順の改善に効果が期待できます

身体を温めて血の巡りを良くする「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や、止血作用がある「芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)」などが、過長月経の治療によく用いられます。漢方薬は体質に合わせて処方されるため、服用を希望される場合は、自己判断せず、必ず医師や薬剤師に相談してくださいね。

生活習慣を整える

過長月経が疑われる場合には、基本的に病院を受診することを前提に考えてください。

ただし、生活リズムの乱れや強いストレスによってホルモンバランスが崩れているケースでは、日々の過ごし方を整えることで症状が落ち着くこともあります。

「今すぐ病院へ行く時間がとれない」という場合でも、まずは食事・睡眠・ストレスの状態を見直してみましょう。

しっかり睡眠をとる

前述の通り、生活習慣を整えることで過長月経が落ち着くことがあります。なかでも、睡眠はとても大切です。仕事や家事で生活が不規則になりがちですが、できる範囲で眠る前の環境を整えてみましょう。

  • 入浴は就寝の2〜3時間前までに済ませる
  • 寝る直前のスマホ操作を控える
  • 朝起きたらカーテンを開け、太陽光を浴びる

朝の光を浴びることで体内時計が自然に整い、夜の眠りにも良い影響があります。「できることから少しずつ」でも十分効果がありますので、無理せず続けてみてください。

まとめ

この記事では、生理が長引く過長月経の原因や対処法を詳しく解説しました。もし、気になる症状や思い当たる原因がある場合は、我慢したり放置したりせず、早めに婦人科を受診しましょう。

また、1年に1回は婦人科検診を受けることも大切です。なかには進行が早い病気もありますから、定期的に継続してご自身の体と優しく向き合いましょう。

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監修者

淀川キリスト教病院 医長
柴田 綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し、2013年より淀川キリスト教病院で産婦人科診療を行う。 2022年よりmederi株式会社において、mederi主催のセミナーやイベントに登壇、mederi magazineの記事監修を担当などを担当。

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